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243 神の使徒の力に感謝を。


私は、この世界に着て≪神の使徒≫という力が有る事を本気で感謝した事は無かった。

目の前で死にかけている自分の前世での孫を見て初めてそう思った。

『もしかすると、私がこの世界に来たのはこの為だったのではないか?』と思うほどに私に≪神の使徒≫として転生させてくれた存在に感謝した。


顔も良く分かっていない存在に対して感謝するとういうのはオカシイ事だと思うと自然に笑顔になる。


「ザバルティ様、どうされたのですか?」


ミーリアに気を使われたみたいだ。心配そうな顔で私をのぞき込む。


「いや。想像したら笑ってしまったようだよ。」


「そうですか?」


先ほど、回復し意識を取り戻した神崎煉という青年と挨拶を交わした。

彼にはアリアという名のカーリアン帝国から追われている者を探している過程で、アリア捜索隊のリリアーナ隊が遭遇した。彼は四肢を分断された上、体中の骨が粉々になっていた。

生きていたのが不思議な状態だが、そんな彼を精神的に助けたのは間違いなく、あの刀【村正・桜花】であろう。あの日本刀は主人と認めた神崎煉を守ったのだ。だから、その【村正・桜花】も私はコッソリと回復させた。刃こぼれがする筈のない日本刀が刃こぼれしていた。それほどの魔力を使用したという事だろう。【村正・桜花】の精神性を感じた。


また、彼の話の中に出てきた者。≪邪神の使徒≫ナベリウス。

私とは対を成す存在であると認識したその者はあろう事か、アリアを連れ去ったらしい。

最後に煉に残した言葉を考えると、直ぐに殺される事態は無いだろう。

少なくとも、邪神でも神は神だ。その使徒であるナベリウスが「楽しみにしている。」と言ったのであれば、少なくとも直ぐには殺さないだろう。


私が助けに行く事は可能だが、それでいいのだろうか?

さて、そうなると後は煉をどうしてやるのか?という事になる。


「どうしたもんかな?」


「何がですか?」


「いや。アリアの事だよ。煉さんの良い人だって言うから、直ぐにでも助け出す為に動いた方が良いのか?それとも、煉さんが助ける為の力をつけて差し上げるのが良いのか悩んでいるんだよ。」


「煉さん、ですか。ふふふ。そうですねぇ。悩ましい所ですね。ですが、私がアリアさんの立場なら、知らない人より、知っている人。そして恋仲ならその恋仲に助けてもらいたいですね。」


「そうだよなぁ。その為の手助けをするかぁ~。神様にお願いできるのかな?」


「出来るんじゃないですかね?」


「ミーリアは簡単に言うけど、私の方から願って会えた事は無いんだよ?」


「ふふふ。そうでしたか?」


「そうだよ。」


ただ、微笑むミーリア。だけど、私の心は決まった。ここは煉を鍛える事とサポートに徹しようと決めた。


「決めたよ。」


「そうですか、では今回の煉さんの訓練内容はトーマスに任せてみましょう。トーマスなら、煉さんの力を分析して良い訓練が出来るでしょう。」


話してない事を言うミーリアを驚きの顔で見てしまった。


「そんなにビックリしなくても、貴方(ザバルティ)の事でしたら、わかりますよ。長い月日を一緒に過ごしているのですから。それに貴方は直ぐに顔に出ますからね。」


「そ、そうか?」


「ええ。そうですよ。」


そういうもんかな?そういえば前世でも奥さんに色々と気づかれていたっけか?私は分かり易いのかもしれないな。


「わかった。煉さんは転移者のようだから、ラムザにも協力を仰いでくれ。魔法が使えないと言っていたが、適正は私が見るところ有るのがわかった。もしかすると、何か原因があるかもしれない。」


「わかりました。もしかすると精霊との契約が必要かもしれませんね。ではラムザ様だけでなく、ペレ様にもお願いしましょう。」


「えっ?知ってるの?」


「もちろんです。ザバルティ様がわかる事は従者である私もわかりますよ。ふふふ。」


微笑んで答えるミーリア。

おかしいな?こんなに出来る人だったっけ?あれ?


「ふふふ。そんなに見つめられると照れてしまいます。」


「あ、ごめん。」


どうも、今日は調子が狂うな。


「では、早速手配してきますね。」


「うん。よろしく。」


「はい。」


微笑んでミーリアは返事をして部屋を出て行った。


「ふぅ。」


ミーリアが出ていくと、直ぐにシーリスが入ってくる。


「ミーリア様がザバルティ様が呼ばれているとお伺いしてきたのですが?」


「あ、あぁ。そうだ。シーリス。先日の≪邪神の使徒≫ナベリウスの捜索をしてくれ。たぶんカーリアン帝国に現れるのではないか?と思う。カーリアン帝国に忍ばす事は出来るか?」


「わかりました。ではシェリルに任せてみましょう。」


「そうだな。後は色々な地域にアリア捜索の手を広げてくれ。≪邪神の使徒≫はどうやら色々と不穏な行動をとっている様だから、色々とわかるかもしれない。シャルマン商会に協力を貰ってくれ。ゲートの拡大を許可する。ゲート設置についてはブリエンドに一任する。全ての統括はアイリーンに任せる。トーマスは忙しくなるだろうから、ロバートを副統括に任命して協力させる。警備隊の統括のユカも呼んでくれ。緊急会議をおこなう。」


「はい。」


シーリスは有能なメイドだ。今一気に言った事を直ぐに行動に移す。

私はその時を待つだけだ。


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