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24 入試1



ミーリア参戦を聞いてからの試験までの日々は本当にあっという間に過ぎた。

翌日より、アレンとエンリカが特別休暇をとり、付っきりで私達に5人の模擬テストや解答合わせ等を手伝ってくれたのだ。先生といっても過言ではない。


「ザバルティ様は問題なく特等生になれるでしょう。お世辞抜きに首席になれるでしょう。」


との太鼓判を押してくれた。最後の日にはあのアリソンですら何とか特等生になれると思うと言われた程に追い込みをかけ勉強をした。正直、ミーリア参戦のおかげで、アリソンが慌てくれた事が大きい。


「ミーリアに負けては、フォラン家の恥だよ~。それだけは父上が許してくれない~。(泣)」


なんて言葉を聞いた時は、しめしめとも思った。

私は座学・実技共に不安は無かったが、前世の記憶に【段取り八分・仕事二分】という技術職の人の言葉を思い出したので、仕上げる事に注力した。



◇◇◇◆◇◇◇



~王立アスワン学院~

アスワン王国が設立した将来を担う若者を養成する学び場。

学び場であると同時に横の繋がり、縦の繋がりを育む場でもある。

王国に住まう者であれば、15歳になる歳に受験資格が与えられる。

しかし、受験するには一定以上の金が必要となる。

資格を得ても直ぐに受験する者もいあれば、資金を貯めて受ける者もいる。

ましてや、試験に合格するにはそれなりの力が必要となる。

力なき者は入学できない。力ある者は逆に優遇される。

力がある事を証明する必要がある。その証明が試験だ。

力とは純粋な魔力や剣技だけではない。能力とは裁縫術や錬金術に医術・農業や商業等、多岐に渡る。

つまり、自身が得意とする項目においての力を見せるという事だ。

力を見せる項目は自分で申請する。ある意味、立場等関係ない。5年間の学院期間で、各自の能力をより磨き将来の国の発展を支える若者を育てる事、将来有望な人間同士の付き合いをさせて人脈を構築させより良い環境を作らせる事が国にとって有益であると考え創立されたのである。



◇◇◇◆◇◇◇



試験当日、私達は各自が別々の会場に向かう事になった。

それぞれが、違う項目を申請したからだ。お互いに同じ項目での特等生の権利を被る事を嫌ったからだ。

アリソンは魔術、ロバートは剣術、トーマスは交渉、ミーリアは料理。そして私は迷った挙句に建築だ。もちろん座学は一般教養。実技は剣技や魔力。これらは皆一緒だ。だが、これらだけでは測れない能力があるとこの国の指導者達は考えたのだ。だからそれら以外の技術の対象となっているのだ。

その中で私は前世の知識を活用し、建築に選んだ。この世界の建築は魔法もあるので、斬新な物が作れるのではないか?と思ったからでもある。


「では、皆。絶対、特等生になるぞ!!」


「「「「おう~(ですぅ~)」」」」


円陣を組んで出発した。

今回は護衛も従者も居ない。安全は街でもあるし、この試験がある日は全ての大人たちが見守ってくれる上に在校生が各試験場へ向かう場所への通り道を巡回してより安全性が増しているのだ。国家プロジェクトでもあるから、それを脅かす者への制裁は苛烈を極める。よって犯罪者も大人しくする日でもあるのだ。


私が指定された会場は王都の西に位置する川の近くの大きな建物だ。いつもは精霊使いの協会が管轄する場所のようで、隣は空き地が広がっている。どうやら、川も山も多く林の広がる地区で精霊が活動しやすい環境な上に火など使っても燃え広がる場所が林のみで都合が良いのだろう。


座学の試験は難しくなかった。システムがあるのも反則技のような物だろう。

勝手に答えがわかってしまうのだから。なので、座学については教科書通りの回答に終始した。

真理は別にあるとも言える問題も多数あったのだ。ただ、ここで私の存在が異常であると思われるのは避けたかったからだ。当面「神の使徒」である事をかくしておきたいからだ。なので、沢山勉強したわけだ。記録能力は利用したが。利用したというより、自動的にそうなるのだが。


で、実技である。

この試験会場は基本的に建築と錬金と音楽を申請した者ばかりなので、剣技と魔術を申請した者達の場所よりランクは低いと思われているようで、試験官も義務としてやっている感がどうしても抜けないようだ。


「では次、スイード・ルボンド。」


「はい。よろしくお願いします。」


剣を構え、試験官が開始の合図をおこなう。

すると、彼は圧倒的スピードで、試験官への距離を縮めると一閃。試験官の剣を弾き飛ばした。


「いつも間に・・・。」


どうやら試験官は見えていなかったのだろう。いくら油断が試験官にあったとはいえ、圧倒的実力差があったのは疑いようがない。彼の姓はアクセラと言ったか?アクセラ公爵家のご子息か?あれだけの技量がありながら、彼は何を申請したのだろうか?


「スイード・アクセラ試験終了」


「ありがとうございます。」


一礼をすると退室していった。


「次、ザバルティ・マカロッサ」


「はい。」


さて、あれくらいなら問題はないという事だ。

良い見本があった。ありがたい。では、行くとしよう。









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