239 変な人ばかりですが、皆優しい人達です。
「ふん!ふん!ふん!」
僕は毎日の日課として『村正・桜花』を使って素振りをしている。
『村正・桜花』はあの洞窟以降は声を伝えてくる事がなくなっている。
ただ、スキルのおかげなのか剣技は上っている気がする。練習は欠かしていないからだろうと思っているから毎日必ず素振りを欠かさない。
今の僕にはこれしかないからだとも言えるのかもしれない。
「精が出るのぉ~。」
「あっ、ブライトさん、おはようございます。」
「ふむ。上達しておるようじゃのぉ~。」
「ありがとうございます。」
素直に嬉しい言葉を言ってくれるブライトさん。
「じゃが、驚くべき上達じゃな。数週間しか経っていないのにそんな動きが出来る様になるとはのぉ~。」
「そ、そうですかね?」
ブライトさんはうむと頷くとその場を去って行ったんだけど、一体何だったんだろうか?
「ふふふ。おはよう煉君。」
「おっと、バーナードさんじゃないですか?おはようございます。つうか驚かさないでくださいよ~。ぬぅって現れるのは止めて下さいよ。」
急に後ろから現れたイケメン様がニコニコしながら挨拶してくる。
「ふふふ。すまないねぇ。ついね。あははは。」
意味わかんねぇ~よこの人は本当に。同性愛者なのかな?不思議な人ってだけじゃない気がするんだよね。揶揄われているだけなんかな?とも思うけど、この人はよくわからないんだよね。後もう一人、不思議人がもう一人居るんだよね。そうこの人。
「おはよう。」
「おはようございます。」
クリスチーナさん。殆ど単語しか喋らない人。この人も凄く綺麗な顔をしているんだけど、不思議人だ。
「上手くなった。」
「えっえぇ。毎日やってますから少しは。」
「謙遜。不要。」
「あっ、はい。ありがとうございます。」
ほら?ね?変でしょう?変だよね?人間として単語しか喋らない。不思議でしょう?
「継続。大事。」
「はい。頑張ります。」
だけど、この人も優しい。そうなのだ。本当に優しい人ばかりなのだ。しかも、皆顔が綺麗なんだ。ブライトさん以外はね。ははははは。
「何にやついてんの?朝から?」
「いえ?何も無いです。」
「怪しいなぁ~。何か隠してる?ねぇ、何隠してるの?もしかして、良い事でもあった?昨日、あの後に?」
「いえ?無いですよ?」
「ちょっと?!皆ぁ~。何か良い事が煉君に起こったみたいだよ~。昨日。」
「止めて下さいよ。何も無かったですよ。ただちょっと、思い出し笑いしてただけですよ?」
「はぁ?じゃあ何を思い出してたのよ。このぉ~うりぃ。」
そう言いながら棒で僕の頬を突き刺す。
「いてっ!何すんですか?」
「ふん。素直に言わない方が悪い。」
「意味わからんのですが?」
僕が居たがる姿を見て満足したのか、ミスコンティさんは宿の中に戻っていく。一体あの人は何がしたかったんだ?こうしていつも僕は弄られている。
「全く。僕が何をしたって言うですか?」
「ふふふ。何もしないのが問題なんじゃないかね?」
僕のボヤキに返事をする感じでバーナードさんが答えた。つうか、まだ居たのこの人?
「えっ?それはどういう意味ですか?」
「自身考察。」
こんどはクリスチーナさんだ。自分で考えろって事かな?そうして二人は笑いながら戻っていった。
◇◇◇◆◇◇◇
「さぁ、出発するぞい。」
ブライトさんの掛け声で馬車は動き出す。
今日は王都を出る日になっている。街道を使って都市国家スパルタに行くにはどうしても大回りになってしまうが仕方がない。変に街道からそれると紛れる事が難しくなるからだ。
だから、この旅は僕の見識を広める為に街を見る事も含まれているから街道を使い。街から街への移動繰り返している。
「次はディエイトの街でしたか?確かあそこは美食家キュース伯爵の領都でしたかね?」
「そうじゃな。じゃが、キュース伯爵家は、今は領都に居るまいて。」
「ほぉ、ではやはりあの食通が集まる世界大会に行っているという事かな?」
「何ですか?その世界大会って?そんなのしてるんですか?」
僕はビックリして聞いた。
「そのようですね?」
「ふん。まぁ勝手に『世界大会』と銘打っているだけじゃ。じゃが、4年に一度の事とあって結構にぎやかにやっておるようじゃな。」
「他にも『世界大会』という名の大会は結構あるのよ。武術という総合的な物から魔術や剣術のみに特化したモノまで各種あるみたいよ?」
「そうなんですか?」
「ええ。その大会で優勝すると開催国におきて名誉と称号と賞金が贈られるみたいで、かなり賑わうみたいよ。」
「マジですか?凄いですね!」
「世界大会ばかりじゃなくて、国ごとにも色々なイベントを開いているわよ。」
「へぇ~。」
「学園の武闘大会っていうのもあるな。」
「知ってる。有名なのはロードスト大陸にあるアスワン王国にあるアスワン王立学院の武闘大会が有名だよね?」
「そうだな。特に今年の大会がヤバかったらしいな。」
「そうらしいわね。何だったっけ?優勝者の名前?」
「確か、闘技王ジレックを倒した、えぇと、ザバルティ?だったかしら?」
「そうだ。そんな名前だったな。確か学生だったんじゃなかったか?」
「それ、本当なのかしらね?」
「本当じゃったら、凄い者が現れたもんじゃな。」
そんな話をしながら僕達は次の街へ向かっていたんだ。




