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235 我は神獣なり・・・新たな友


我は嬉しかった。名をつけて頂けたのだから。【銀千代】【誾千代】【ギンチヨ】うむ。良い名じゃ。

我は心の中心へ。体の隅々へ名前が浸透していくような不思議な感覚を覚えた途端に我の体は輝き出した。


「こ、これは?」


我も初めての経験じゃから、少し驚きはあるが、あのステファネスとか言う小娘よりは落ち着いていたのじゃ。


『ふふふ。名前と言う【言霊】が発動したに過ぎん。少し安心して待っておれ。』


我は小娘に向けてそう諭した。


「なるほど、ギンチヨ苦しかったりはしないか?」


今度は我の主人いや、それを言うとガッカリさせそうだが、我の友と書いて我の主人なのじゃが、ザバルティ様が心配してくれている。


『大丈夫です。もう少しで落ち着くと思います。』


「わかった。」


我の体が小さくなっていく。そんな感じを受けている。そしてようやく体の輝きが収束して普通になった。


「まさか、擬人化ですか?」


絶句と言うのだろうか?我の体を見た小娘がそんな事を言う。


「そんな訳ないだろう?」


あれ?声がオカシイ気がする。我の声がどうも人のそれと変わらない気がするのだ。


「声まで変わってるじゃないですか?でもお腹はちゃんと出てますね。」


我は自分のお腹の部分を見ようとする。あれ?この小山が二つあるが何だ?


「何揉んでるんですか?それは人族のオッパイですよ?」


「はぁ?本当に擬人化しているのか?」


「その様だね。だけど、人と言うか神化?と言う方が正しいかもしれないね。種族は亜人神となっているよ。」


ザバルティ様がそうおっしゃった。本当にそうなのだろうか?

こんな事になる話は聞いてないが。ただし、人族は神の姿を模していると言われている。神としてのランクが上がって神獣から亜人神になったのかも知れないな。


「これでは、フェンリルとは言えないかもしれないなぁ~。」


我は自分に起こった出来事をようやく落ち着いて考える事が出来る様になってきた。そしてある事に気づく。


「いえ、【獣神化】と言うスキルが新たにあります。これで何時でもフェンリルの姿に戻る事が出来るようです。」


つまり、擬人化と獣神化を自由に出来ると言う事になる。勿論、亜人神の状態でもフェンリルとして歩んできた経験が無くなるわけではないのでスキルや能力は利用できる。スイッチ可能な神と言う事が出来るかもしれない。


それに、能力も上がっている。名前を貰う事での進化なのだろうか?

漲る力に心が躍る。


「うん。凄いね。パワーアップしているようだ。」


「そのようです。ありがとうございます。」


「・・・。またライバルが増えた気がします。しかも亜人神とは・・・。」


我とザバルティ様が話している横で別の声が聞こえるが気にしない方が良いのかもしれないな。


「ところで、お腹の子はどうなのでしょうか?」


「私が見る限り、問題はなさそうだけど・・・うん。そうだね。擬人化になってるね。」


これは一体どういう事だろうか?


「それより、番の旦那さんが困るんじゃない?」


「我の番はここに逃げる間に残念ながら死んでおる。」


「ごめん。いらない事を聞いてしまったわ。」


「気にせんで良い。死を覚悟していた身だ。それに愛情など無い。種の存続の為の物だ。」


「そ、そう?」


うん?小娘は、少し引いているのか?


「う~ん。種の存続という意味では進化が良かったのか悩むところだね?」


ザバルティ様がそんな事を言うがそれも心配事がわかっている。


「それも問題は無いでしょう。フェンリルという種がワタクシが居る間は絶える事が無くなったと言えます。亜人神となりましたから。」


「あぁ、そういう事か。なるほどね。神の力だね。」


その通りだ。神の力は凄すぎる。

全知全能では無いが、創作するスキルがあるのだ。それに狼事体はこの世に存在している。その狼の中から進化させる事は今の我であればそれほど難しい事では無い。

ルーツは狼、その狼が進化すれば。言わずもがな分かると思う。その進化を手伝ってやればいいのだから。


「でもこれで、美味しい料理が食べれるんじゃないか?」


小娘がまた何か変な事を言うておる。不思議とこの小娘は我に絡みたがる。今では亜人神となった我にだ。放置が良かろう。


「それにしても、神獣を進化させてしまう様な力を持っている≪神の使徒」とは一体どういう事なのでしょうか?」


「それは、ザバルティ様だからでしょう。≪神の使徒≫と言っても格があります。この世界の創造主である創造神様である可能性がありますね。」


そんな事を言い出すミーリア様。やはりこの方は・・・まぁ良い。何かお考えが有るのだろう。それよりその理由で有れば、先ほどの奇跡も頷けるという物だ。

この世界には種・レベルとは別に格という物が存在する。簡単に言うと同じ種であっても格が高い者はより優れるというモノだ。行える範囲や起こせる現象が変わってくるのだ。

つまり、神獣であった我よりも神の使徒であるザバルティ様の方が格が上であるという事。そして今、亜人神となっていても神の使徒であるザバルティ様の方が上なのだろう。恐ろしくもあり頼もしい。そんな存在がザバルティ様なのだ。


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