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23 王都



ようやく、王都テーストについた。

温泉街ヌレイにて三日程ゆっくりした。ゆっくりしたとはいえ、勉強合宿といった感じだったが、やはりそこは温泉宿。英気も養われた気がする。


で王都はいうと、これまた、整った綺麗な街であり、小高い山に王城が築かれている。その麓に街が形成されているという形だ。王城の向こう側は川が流れている。その川は王城がある山の半分位を囲う形になっている。壮大な自然を利用した王都をである。王が居るに相応しい外観である。


現在は、王都にある貴族区画にあるマカロッサ家の屋敷に居る。大きくも無く小さくも無い。父が王都に勤める期間住まう場所であり、重要度が低いのだ。が、何故かミーリアが来ていた。私専属のメイドだ。

確か、領都アンバーに居るはずなのだが。


「お帰りなさいませ。ザバルティ様。」


「ただいま、君が何故ここに居る?」


「それは、私は貴方の専属メイドですので。」


「う、うん。そうか。」


それ以上、何か言うのが憚れた。私が気弱なだけだろうか?この満面の笑みの美しいメイドミーリアにこれ以上聞けなかったのだ。


「では、皆さまはこちらへ。」


と言って応接室へ案内してくれた。その後に、お茶と茶請けを出してくれた。


「入学までの期間はこちらに全員が寝泊まり出来る準備は出来ております。皆様の部屋も準備できております。」


「わかった。では各自の部屋にそれぞれ案内してくれ。」


「かしこまりました。」


そういうとそれぞれにメイド達が案内を始めた。

私もミーリアに連れられて自室に案内される。三階の私達家族のみスペースのある一室である。


「懐かしいな。」


「そうですね。私が初めてザバルティ様にお会いして以来、こちらに来ていないですからね。」


そう言って、ミーリアは顔を赤くして目を閉じた。昔を思い出しているようだ。

そう、私とミーリアが会ったのは、私が8歳の時だ。かれこれ7年前の事になる。勿論自分の前世を思い出す前の事だ。ミーリアはこの街に奴隷としてやってきたのだ。ミーリアが奴隷となった経緯が問題なのだ。人間の世界ではよくある事であるが、攫われてきたのだ。しかもミーリアの家族は惨殺されていたのだ。野党と組んだ商人とそして貴族がグルとなり一大組織ができあがっており、その壊滅に一役かった父が保護した一人だ。実際その時にマカロッサ家は個人的に保護した奴隷は100人にのぼる。

その全ての保護した奴隷に等しく自身の希望に沿う形で救済した。その内、50人はミーリアと同じ様に家族は惨殺されていた。その全てをマカロッサ家は引き取る形をとった。本人達の希望にのっとって。ミーリアは私と同年齢の15歳だ。


「すいません。旦那様より手紙を預かっております。こちらを。」


と言って渡された手紙を受け取り読む。


~~~~~


愛する息子へ


この手紙を読んでいるという事は無事着いたという事だろう。

先ずは、貴族社会の洗礼にビックリしたのではないだろうか?

これから先には、当然のようにお前にも貴族との付き合いという物がついて回る。

これは、お前が貴族として生まれた宿命だ。仕方がないと諦めろ。つまり貴族の責任でもある。

無駄な争いを避ける為にも政治は必要だ。マカロッサ家の嫡男として立派に成し遂げろ。

さて、今回の王都までの道のりはワザと遠回りをさせて色々な貴族に挨拶をしてきたであろう。

隣のトーマスの実家であるシュベルツ領から始まり、最後はプロスペクター領を通り王都だ。

この遠回りの行程も今後のお前にとって重要な事柄である事は理解しているだろう。

我が、マカロッサ家の置かれている立場が王族と何ら変わらない。

この国にとってのマカロッサ家が担う重さも理解しているであろうが、この旅で良い感情と悪い感情がある事も理科出来たのではないだろうか?

常に王族と比べられ更に監視される立場の家なのだ。

我がマカロッサ家に王族にとって代わるという野望は無いが、強すぎる力は警戒心を与えてしまうのも事実なのだ。

今後も、色々あるだろうが、気にする必要は無い。

私はいつでもお前を信じている最大の理解者であり最大の協力者である。

だから、お前の信じる通り、お前の思う通り動くが良い。

私達を心配する必要はない。


アルカティ・マカロッサ

エスネス・マカロッサ


追伸

ミーリアも試験を受けたいとの要望を受けた。許可を出した。後は頼む。


~~~~~


ジーンとした。領を出る前にもこれと似た話を何回もされたが、改めて文章でもらうと感じが違い改めて嬉しく思った。

はて?でも何か違和感がある?うん?


「という事で、私ミーリアも試験を受けるつもりですので、よろしくお願いいたします。」


それだ!

最後に丸投げ文章があった!!


「お、おう。で、準備は出来ているのか?」


「勿論です。昨年より密かに準備していました。アレンやエンリカに習っておりました。」


「お、そうか。なら安心だな。」


冷静を保ちながら答えたが、本当にビックリした。アレンにエンリカとは2歳年上のマカロッサ家が保護した元奴隷でマカロッサ家に使える執事とメイドだ。現在は私達が入学予定の学院。王立アスワン学院に入学中なのである。


私は確か、神の使徒のはずなのに、回りの人が凄い気がするのはなぜだろう?


≪解。マスターには「幸運の星」という運がついています。神の寵愛を受ける者の環境が良くなっているのは至極当然の事です。≫


うん。そうだね。と一人納得したのだ。







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