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229 死んだ後に・・・警告


「イテテテテ。」


昨日は飲み過ぎた。朝起きたら頭が痛いし気持ち悪い。


「情けないわねぇ~。はい、お水。」


「うぅ~。」


何こいつ。腹立つ。アタシより飲んでたくせに、ケロッとしてやがる。


「はいはい。もう行くわよ?」


「もうそんな時間か?」


マジ、イテェ。頭が割れる。


「仕方無いわね。アンタは馬車の後ろで寝てなさい。」


そうして、無理やり宿から引っ張り出されて、馬車に乗せられた。

ここから、ビテングの街まではおよそ2日位。野営の時間までには復活したい所だが、今は何も考えられない。

今回の馬車は普通のタイプの馬車で、ゲートはついていない。が、亜空間は用意されている。正直言うと宿で寝る必要は全くない。アタシは馬車の奥にある扉から亜空間へ入ってベットに横になった。

今日のアタシは使い物にならんね。



◇◇◇◆◇◇◇



その日の夜はアタシが夜間の見張りをする事になった。

そりゃ、そうだね。寝てたからね。


「一人じゃ、暇だろ?」


て事で、パインが前半の半分を、残り半分をベリーが相棒として一緒に見張りをする事になっている。

二人共、その分別の時間に寝る予定になっている。


「ステファネス。実際の所どこまで進んでいるの?」


唐突に聞いてきた。


「何を?」


「わかってるでしょ?ザバルティ様との関係の話よ。」


「はぁ?」


「何とぼけてんのよ?ザバルティ様にアプローチしまっくっておいて私達に話さないつもり?」


パインは少し怒り気味に問い詰めてくる。


「とぼけるつもりは無いけど、そもそもアプローチしてないし。」


「いやいや、あれだけしといてそんな事言う?この間だってお姫様抱っこで帰って来たじゃない?」


目ざといというか何というか。


「あれは、不可抗力よ。」


「うそ言わないで。一度くらい抱いてもらったの?」


「そんな事あるわけないじゃん!」


「怪しい。」


≪ありません。≫


ここで、カミコちゃんが助け船。って何でも知ってんの?それも怖いんですけど。


≪ご安心ください。他言はしません。≫


否定して、お願い。それ肯定だから。

ひょんな事から隠し切れない相手が居る事が分かった。対策を考えねば。って、それ考えてもしょうがない事にも気づく。


「はぁ~。」


「何よ。急に落ち込んで?」


そりゃ落ち込むでしょうよ。どう頑張っても相手にしてもらえ無さそうな人でもあるし、そもそもライバルが多い上に皆ハイレベルな女達なのだ。


「アンタが、言う様に関係が進んだりしたら良いけど、ザバルティ様相手では、ライバルが手強過ぎてため息ばかりよ。」


「あぁ、そりゃあそうよね。」


ほらね。パインだって納得するメンバーが揃ってザバルティ様に恋心を持っている。とアタシ達は勝手に思っている。が、ほぼ間違いない。王女二人に秘書三人。それにミーリア様。どなたも綺麗な上に優秀だ。特にミーリア様は能力も考え方も凄すぎる。神々しい時も多々ある。


「まぁ、でもわかんないじゃん?男と女ってさ。」


「それはそうだけど。」


確かにわからないモノだ。美女と野獣なんて言葉があるくらいだ。世の中、男女の事はわからない。

そんな事を話していた時。


≪警告。敵と判別できるモノが近づいています。到着予定はおよそ5分後。≫


「おい?聞こえた?」


「聞こえた。直ぐに態勢を整えよう。」


頷き合って、パインに馬車の中のシェリルたちに声をかけに行ってもらう。カミコちゃんの声が届いているから大丈夫だと思うけど、指示を仰ぎたいという事も理由の一つだ。


≪標的への索敵完了。敵は魔物。大牙黒虎(ビックファングブラックタイガー)の群れです。11頭です。北東から接近中。≫


「ちっ、面倒だな。しかも数が多いな。」


≪標的はフェンリルの様ですが、こちらに近づいて来ている事から、戦闘になる見込みです。≫


大牙黒虎(ビックファングブラックタイガー)は一体で冒険者ランクB相当とされている。それが群れになると、一気に危険度は跳ね上がりSS級になる。普通は一ランク上がる程度だけど、群れになると、ボスが存在する。そのボスが統率する事で、驚異的な敵になってしまうと言われている。

そう言われていると言うのは、倒したという履歴が無いのだ。群れる事自体が異常事態なのである。元々自然界では大牙黒虎(ビックファングブラックタイガー)は単体でも十分生活出来る。敵は早々居ないのだ。なので、群れる必要が無い。つまり統率者が登場した時点で群れとなるのだ。因みに何故SS級と判断されているのかと言うと、記録ではS級冒険者グループが壊滅したという記録があるからだ。

大牙黒虎(ビックファングブラックタイガー)の群れは狩りはするようだが、基本的に人に害をなそうとする行為はしない。関わらなければ、基本的に襲われる心配は無いとされている。

なのに、敵とカミコちゃんは判断した。そこがヤバい事だ。


「なぜ?」


≪フェンリルが襲われているのは狩りの為ではありません。縄張り争いかと思います。森の主を決めるモノでしょう。しかも集団対集団だったようです。それの決着がつく前に逃げ出したフェンリルがここを目指している様なのです。それが問題です。≫


「どういう事だ?フェンリルと関係のある者なんか、ここには居ないハズ。」


説明を受けている間にようやくシェリルが出てきた。これで、5名揃った事になる。



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