224 建築神の傍で・・・設計
さて、今回の建築物は『街の中に街』を造るとの事です。
確かに、今回購入された土地は街の中にある広大な敷地です。小高い丘のような感じになっている林が中心の敷地です。元々は乗馬を楽しむための施設があったらしいので、自然が豊かな場所であるのは間違いがありません。
「先ずは、夕食をとりませんか?」
「しかし、早く。」
「先ずは夕食にしましょう。」
「あ、あぁ。そうしよう。」
残念ですが、ミーリア様がそうおっしゃるからには仕方がありません。ワタクシ達はどうしても集中してしまうと、時間の概念が無くなってしまうのですから。建築神ザバルティ様の事を考えると、食事を優先した方が良いでしょう。
「では、食堂へ先ずはいきましょう。」
こうしてワタクシ達は食堂で夕食を済ませる事になり、今日はトンカツという食べ物を頂いたのです。
油で揚げた豚肉らしいのですが、これが本当に美味しい。
そもそも、このザバルティ邸で頂く食事はどれもこれも美味しい。
今まで、そこそこに王様より晩餐会などに呼ばれて色々な食事を頂きましたが、このザバルティ様の仲間(弟子)になってから、この屋敷で頂く食事は今までの物が何だったのか?と思ってしまう程に美味しいのですが。この食事で胃袋を掴まれた方も居るのでは無いかと思うのです。
「おぉ、トンカツかぁ。懐かしいな。もしかして、ソースもあるのか?」
「あるぞ。ミーリア。」
「どうぞ。」
ザバルティ様が言う時には既に準備を終えていた感じのミーリア様のタイミング。
「おぉ、ありがとう。やっぱりトンカツにはソースだよな。」
「私は醤油とマヨネーズが好きだけどね。トンカツにソースがってのはわかるけどね。」
ちなみにワタクシはマヨネーズが好きです。何にでもかけて食べる事が出来る万能調味料だと思います。
美味しい食事を頂いた後に設計の時間になる。図を起こすのは基本的にザバルティ様がやられる事になる。今回はワタクシだけでなく、ラムザ様も一緒です。
「街の中に街を造るとはどういう事なんですか?」
「ストレートだね。そうだね。ショッピングモールを造ろうと思っているんだよ。」
「ショッピングモール?」
益々わからなくなりました。ショッピングモールとは何なんでしょうか?
「そう。一つの大きな建物の中に沢山のお店を設置する施設なんだよ。」
「大きい建物の中にお店ですか?」
「そう、例えばそうだな。この世界の大きな建物と言えば城だと思うんだけど、その城の部屋の部分が全てお店になると考えたらわかるかな?」
「そう言う事ですか?!確かに街ですね!」
なるほど。確かに街並みを新たに造る事になりますね。ですが、街の中心地から離れてますが。
「で、地下を街を用意するのと、大型の移動手段を考えているんだ。」
「はい?移動手段ですか?ゲートがあるのでは?」
「ゲートは確かに便利だけど、それを多用するのは避けたいんだ。だからそれに代わる物を造るつもりだ。その為には、領主の承諾も居るんだけどね。まぁ、それは後で良い。先に施設を作成してゲートの力を利用した商品ラインナップをラムザに用意してもらう事がスタートだ。」
まさかの新移動手段の構築まで考えておられるとは。流石です!
「では設計を始めようか。」
「はい!」
それからワタクシ達は夜が明けるまであ~だこ~だと話し合いをしながら設計しました。朝だと気づいたのはミーリア様が来られて。
「朝食の準備が出来ましたので、少しご休憩をなさっては?」
とおっしゃってくれたからです。またやってしまいました。
ですが、そのおかげもあって八割がた完成しています。
「う、うん。そうするよ。」
ミーリア様の目が怖いです。それをザバルティ様もお気づきになられた様です。
そうして、ワタクシ達はミーリア様に連れられて食堂に行き朝食をとりました。
今日の朝食はハムとスクランブルエッグという物です。ワタクシは心の中で『やったぁ~。マヨネーズが合う朝食だ!』と思いました。はい。
「で、どうなんですか?順調なんですか?」
「うん。そうだね。順調だよ。ねぇ?」
「はい。お昼には出来上がると思います。」
ミーリア様は、設計中には基本的に部屋には入って来られないので、現状がわからないようです。
気を使ってらっしゃるようで、邪魔にならない様にされているみたいです。
「そうですか。では昼食後には少しはお休みになられますね?」
「そうだね。うん。そうしよう。」
「わかりました。ではラムザ様の部屋も用意いたしましょう。」
「いや。良いよ。俺は朝食を食べ終わったら帰るよ。あそこ迄完成していたら、もう俺はいらないだろ?それにすげぇ眠たいわ。」
という事で、朝食後はザバルティ様と二人での設計構築となったのです。
そして、ミーリア様が呼びに来られる前には何とか完成しました。
「思っていたより、難しかったな~。」
「そうですね。やはり敷地の広さが決まっているからでしょうかね?」
「そうだね。これまでは好きに構築していたからね。あはははは。」
ワタクシ達の一つ目の仕事は終わりました。後は造るだけです。




