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22 温泉宿



凄すぎて「凄い」の一言しか出ない。先ずは王宮をフル活用した内装だ。

元謁見の場はホテルの正面玄関としてカウンターが並んでいる玄関ホールになっている。王座があったであろう場所には王座ではなく、獅子の置物があり、その口からお湯が流れ出ていてそのお湯は水路を通ってホール内のあちらこちらに流れている。ついホテルと言ってしまったが、そう高級ホテルを想像してもらったらわかりやすい。水路がガラス張りになっており、地面の中にあり、その上を歩ける為邪魔になっていない。中央には植物が植えられており、高級感が半端ない状態になっている。

緊張してきたが、そのままボーっとしていられない。すすすと近くにいた従業員らしき執事姿の人が近づいてきた。


「いらしゃいませ。本日はご宿泊ですか?」


「は、は、はい、そうです。」


「ありがとうございます。ではカウンターへご案内させて頂きます。」


本当に良かった。話しかけられたのがトーマスで。私も絶対に噛んだと言える状況だった。

その後、そのままカウンターで名前を伝え、部屋へと案内された。部屋もやはりホテル。しかも王様かっ!と突っ込みを言いそうなぐらいの広い部屋だった。案内してくれた執事風の男の人がチリリンと呼び鈴を鳴らすと入り口とは違う扉からメイド服を着た女性が1人入ってきた。


「宿泊中、仕えさせて頂きますシーリアと申します。ザバルティ様一行の専属のメイドですので、メイド専属部屋にて待機しております。御用があれば呼び鈴をお鳴らしください。」


と挨拶してくれたのは金髪の美女で胸も大きい20歳位の女性だった。うむ。と頷くしか出来なかったが、専属メイドは当家にもいたので、そこはビックリせず。逆に落ち着いてきた。


「何かご質問等ありますか?」


「宿泊客には全員貴方のようなメイドがつくのですか?」


「いえ、スイートルームのご予約を頂いたお客様のみです。」


ですって。カンガリ伯爵はスイートを用意してくれたみたいです。私の今後は大丈夫ですか?

なんて心配もしたりした。執事さんらしき男の人は部屋をでていった。そして、四人で寝る部屋を決めた。今いる場所はソファー等の応接間で寝所は四か所もあったので各自一人ずつでなる事にした。

ベットも超フカフカで布団も地球でいう羽毛布団で軽くて暖かい。一通り部屋を堪能した後、シーリアさんに案内してもらって露天風呂へ向かった。



男湯なので、むさくるしかった為に省略する。ただ、日本の露天風呂のような感じではない。ヨーロッパ的な見た目だった。本当にゴージャスだった。獅子の口から出るお湯。大理石で囲まれた浴槽。もう言う事無かった。夕食も見た目ゴージャスで味も抜群だった。勿論、直ぐにプラスぐっすり寝てしまった。



◇◇◇◆◇◇◇



「ザバルティが出立して、もう一か月経ったか?」


「そうですね。もう予定では王都へ着くころではないですか?」


笑顔で話をする老夫婦の姿がある一室。それは落ち着きのある部屋でソファが2つあり、暖炉を前にして世間話を一通り話をした後、ふと老夫婦にとっての孫の話になった。


「もしかすると、あの子の事ですから、どこかの貴族に気に入られてしまって婚約とかの話になっているかもしれませんよ?」


「かっかっか。そうかもしれんのぅ。カンガリ伯爵辺りが怪しいのぅ。」


「可愛い孫の為にも人肌脱いでやってくださいな。お爺さん。」


「そうじゃの。では一筆書いておくかの。」


ゆっくりした時間の流れの中でゆっくりとした会話。老夫婦にとって孫の話はとても楽しい話なのであろう二人の顔は幸せな顔をしている。


「で、お主らはいつまでそうしているつもりじゃ?そろそろ顔を見せんかのぅ?お主らの一人の綺麗な赤髪がみえておるのじゃが?」


「くっ?!」


すると、漆黒の闇の中からフードを被った男が姿を現す。


「あんたは精霊が見えるのか?それは、まぁ良い。協力してもらいたい事がある。」


「名前も名乗らず、勝手に入ってきておいて図々しいのぉ。」


「それは謝罪しよう。俺は、ラムザ。人探しをしている。その手助けをして欲しい。」


「ほぉ。人探しのぉ。どんな人をさがしておるのじゃ?」


「わからん。が、会いたい人物が居る。シャルマン・マカロッサ。アンタの孫だ。」


「ふむ。で、私の孫にどんなようだ?」


「会って、話がしたい。それだけだ。」


「それは無理な相談だのぉ。」


それまで、黙っていた老婆が声を出す。


「お爺さん。精霊の加護を持っている人間は稀です。この人の話を聞いてあげてはどうですか?」


「ミネルバ。お前はそう言うが。」


「大丈夫ですよ。火の精霊よ、問題はないのですね?」


≪問題はない。大精霊フェニックス様の眷属火山のペレが保証しよう。≫


「精霊様がそういうなら、大丈夫じゃろうて。良かろう会わしてやろう。」


「ありがたい。」


精霊と話が出来る老婆にックリした顔をしている男を老婆はニッコリとした顔で見つめる。


「それに、もしシャルマンに何かあったら、あの子が黙っていませんよ。」


「そうじゃな。」


と言って男と精霊を前にして、二人の老夫婦がニッコリと見つめ合うのだった。














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