218 信者の私・・・驚愕
「おっ?着いたか?待ってたぞ。」
「ラムザ様。その様に言われましても、初対面ですよね?」
ラムザと呼ばれた男は黒髪の男にツッコミを入れられている。そんな場面に出くわしたら貴方はどうする?私は引いた。
「ほら、お二人共。リリアーナ隊長以下、捜索隊のメンバーが皆引いてますよ。それ位にしておいてください。」
「すまん。つい。」
「申し訳ない。」
ロバートさんの口調的に判断してお客様であると思う。のだが。
「俺は、ラムザだ。ザバルティの古くからの友人だ。で、こいつが、アイゼンだ。俺の部下であるらしい。」
「私はアイゼン・エンデ。ラムザ様の部下である事でザバルティ様のお力をお借りした者です。」
「えっ?アイゼン・エンデっておっしゃいました?」
「ええ。そうです。」
「都市国家スパルタの独立王ではないですか?」
「一応、そうですね。」
「はぁ~?」
「ですが、都市国家の王と言っても、ラムザ様の部下である事に変わりありませんよ?」
「ええと。」
ザバルティ様のご友人であるラムザ様。そのラムザ様の部下であると言うアイゼン王?
「「「「「「えぇ~?!」」」」」
「こら、リリアーナに皆、失礼だぞ?」
ロバートさんの注意を聞いても驚愕するばかり。
「仕方がないだろ?急に目の前に今話題のアイゼンが居るんだからな。」
「何言ってるんですか?ちゃんと名乗らないラムザ様の所為ですよ。世界を牛耳るシャルマン商会の商会長で、世界に冒険者を派遣しているクラウン・シャルマンの代表をしている人がちゃんと説明しないからですよ?」
「えっ?あのシャルマングループの総帥?」
「世間ではそう呼ばれてるんですか?」
「総帥って、カッコいいな。おい。」
私がビックリにビックリを重ねている間も二人は、お二方はふざけているのか、楽しんでいるのか、ニコニコしながら話をしている。
「おふざけはそれ位にしておいて頂きたい。リリアーナ隊長もそんなに驚かないでください。」
ロバートさんが正論で諫めて私にも正気に戻る様にと言ってくれてようやく収拾した。
「とまぁ、ザバルティとの関係は深く友好的だから、このあたりの事は気にせず動いてくれて良い。これが証明書だ。何かあれば、これを見せて対応してくれ。」
そう言って都市国家スパルタの証明書(身分を証明するという物で、国が発行する物としては最上級の物。ザバルティ様の配下(仲間)として扱う事。つまり国賓扱いを求める証書だ。)を渡された。
「はい。」
「後、俺たちの顔も覚えておいてくれると助かる。」
「も、もちろんです。」
「そう、緊張するなよ。ザバルティの仲間って事は俺たちの仲間でもあるんだ。」
「わかりました。」
緊張する面会はこのようにして終了した。
「では、皆はとにかくこの地下都市ハイマ―を案内しよう。」
ロバートさんはそう言うと軽く挨拶をラムザ様とアイゼン様にしてその場を辞去した。私達はとにかく驚きつつも、挨拶をしてロバートさんについて屋敷を出る。
「緊張したか?」
「そりゃするでしょう?しない者はいませんよ?」
「そりゃそうだな。俺も初めは緊張したしな。でも、あれぐらいで驚いていたらやってられなくなるぞ。」
「えっ?」
「まぁ、上を見てみろ。」
「はい。」
素直に私達は上を見た。物凄く高い天井が見える。しかもそれが明るい天井だ。後で説明されたが人口太陽という設備らしいのだが、屋敷周辺は太陽に照らされているように明るい。これが地下都市だとは思わないだろう。ただ上を見ると、ここが地下である事が理解できる。
「すごい。」
私はこれが今日何回目かわからない『すごい』という言葉を漏らしたが、私だけではないようで周りにいる者たちも口々に同じ言葉を言っている。地上の街に居るのと変わりがない。違いが有るとすれば、有限のスペースであるがゆえに、天井と壁が有る事。そしてその天井に繋がる高い建物が有る事位ではないだろうか?
「これ、全部をザバルティ様が構築されたんだ。」
「えっ?」
「実労働としてはスペースを作る事や、人口太陽を設置するとかのレベルだが、あの人口川とかの設備に関するものは全てザバルティ様が構築された。細かい所はダンバル一家が調整しているがね。」
ヤバい。ある意味でこれは天地創造と言われる事の内容ではないかと思うのは私だけだろうか?『神の使徒』ではなく、やはり神そのものではないのだろうか?
「本当に凄いですね。凄いとしか言えない自分が恥ずかしいですけど。」
「そうだな。本当に凄い人だと思うよ。あの人は現人神とでも言うべき存在かもな。」
「そうですね。」
「でもな。そんな存在の方が、俺達を部下ではなく仲間だって言い張って聞かないんだから、笑っちゃうよな。」
そうかもしれない。ここまで人離れした人が普通に私達を仲間と呼ぶ。神が仲間っていう事が凄いのか、そのような存在の方と仲間になれた事が幸運なだけなのか?この時の私は分からなかった。
ただ、一つ。そんな存在の方に仲間と言って貰える自分で居よう。いつまでも。そう思った。




