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212 初めての洞窟探検・・・どうよ?


「僕はどうしたら?」


「何、簡単な事だよ。この洞窟の主になれば良い。」


「それは無理ですね。」


僕の質問に対して、困難な事を答える『聖剣ダモクレス』に対してあっさりと回答を出す『村正・桜花』を目の前に僕は益々悩みが深くなる。


「それに、こういう事は本人が考えるべき事だと思います。」


「それは確かにそうだが、少々正論過ぎないかい?」


真っ直ぐな考えを述べる『村正・桜花』に対して苦言的に『聖剣ダモクレス』が答える。


「まぁ、確かに決めるのは煉君だ。」


そう言って、『聖剣ダモクレス』は僕の方に向く。それにつられるように『村正・桜花』も。

その二人に見つめられ、この静かな空間に居るからなのか、少しずつ心が落ち着いてきた。


「時間的余裕は無さそうなんですか?」


「どうでしょうか?まだ特定には至って無いと思いますが。正直な所わかりません。」


どうすれば良いのか?

単純に考えるなら、追い返すだけの力を手に入れる事だと思う。

だけど、現在の状況を考えるとそれは最善策とは言い難い。

僕には特別な力が有る訳じゃない。ただ、純粋にアリアさんと一緒に居たいだけだ。


「逃げる・・・しか無いですかね?」


沈黙が包む。僕を見る目が幾分かキツイと感じるのは僕の勘違いだろうか?


「そうだね。今はその方が良いかもしれないね。」


沈黙を破ったのは『聖剣ダモクレス』だった。


「現状では多数に攻め込まれると、厳しいのは間違いない。もし、その追手に強者が居れば、厳しくなる一方だ。逃げるという手段は一時的な戦略的撤退。悪い考えではないな。だが」


一応は同意を見せてくれたのだが、気になる言葉。


「だが?」


「だが、それをはたして、聞き入れてもらえるのかな?」


「それは・・・。」


正直無理かもしれない。だけど、絶対では無い。可能性はある。


「それに、その逃げる準備をする前に襲撃がきてしまったらどうする?」


それは、どうしようも無い。対抗しながら逃げる事になってしまう。はたして、僕という足手まといが居て無事に逃げ切れるか怪しい。


「どうやら、そんなに待ってくれる事は無いみたいです。斥候が近づいているみたいですね。」


冷静な声で『桜花』が言う。


「が、その前に時間が来てしまったようだ。君を呼ぶ声が聞こえるかな?」


「えっ?」


「残念です。では、またお会いしましょう。貴方は私が守ります。」


心強い『桜花』の宣言を聞いた途端、そこで意識は無くなった。


=======================


「・・・・煉君!・・煉君!!」


僕を呼ぶ声がする。う~ん。この声は・・・アリアさん!?


「はい!イタっ!!」


「痛い!!」


揺らされる体を、ガバッ!と起こした僕は何かぬぶつかってしまった。

頭がズキンズキンする。


「イタタタタ。」


「痛いのはこっちだよ?!」


アリアさんに怒られた。どうやら、ぶつかった相手はアリアさんだったようだ。


「すいません。」


「本当にビックリしたんだから。心配したんだよ?」


「坊主。お前は本当にヒョロいのぉ~。もっと鍛えんか!」


「大丈夫?心配した。」


「本当に、情けないわねぇ~。そんなんでアリアを守れるの?」


「何故、あれほどの事で私の魔障壁が破られてしまったのか?」


思い思いの言葉を話すパーティーメンバーの方々に僕は何故かホッとした。

中に一名程、僕の事では無く自身の張った魔障壁の事について話している方がいらっしゃるけど、それはたぶん中に居た僕の刀『桜花』の責任があるような、『聖剣ダモクレス』に責任があるような感じだから敢てスルーだ。


「本当にすみません。確りと鍛えます。ところで、倒されたんですか?」


「そうよ。瞬殺よ。」


「秒。」


つまり、僕が気絶した瞬間から数秒で首を落としたらしい。そして僕が気絶しているのを見て直ぐに駆けつけてくれて起こしてくれたらしい。つまり数秒。長くても二、三分しか経っていないという事になる。あの世界の事がたった数秒の出来事であるという事だ。


「そんなに早くに終わったんですね?皆さんは本当に強いですね。」


「当たり前よ。」


「当然。」


なんて余裕のある言葉だ。こんなに強い人が逃げ出さなければいけない相手ってどんだけなんだよ。


「本当に大丈夫?顔色悪いわよ?」


「大丈夫です。」


僕が考え事を始めてしまった為に変な顔になっていたのか、アリアさんが心配そうな顔で僕を見る。何とか笑みを作って答える僕の何と説得力に欠ける事かと自分のことながら思った。


「それより、討伐したんだったら、今日は終了ですか?」


「そうね。それに煉君も調子悪そうだし終わりにするつもりよ。ね?」


アリアさんが同意を求めて、仲間を見渡すと皆が頷いた。約一名を除いて。彼はこっちの話など聞いていない。単純に先ほどの魔障壁の事で頭は一杯なのだろう。それだけ納得していないのが伺える。


「それに今日は変だしのぉ~。有り得ないレベルの魔物が10階の階層主じゃったからのぉ~。」


「本当に。まさか最上位種のミノタウロス阿修羅がでるとは思いませんでしたね。」


あれ?ミノタウロス阿修羅って?阿修羅っていったら、神の世界の住人なんじゃ?

でも、異世界だからちがうのかなぁ?それを簡単に倒すこの人達って、どうよ?


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