210 初めての洞窟探検・・・進化する?いや、気絶じゃない?
「斬る!」
クリスチーナさんが正面から斬りかかった。
「待て、まだじゃ?」
クリスチーナさんが顔に斬りかかった。が、その攻撃をミノタウロスの腕が受け止める。
「あれ?」
腕は確かにアリアさんとミスコンティさんに斬り落とされており、切り口はバーナードさんの魔法によって再生を阻まれている。それなのに、何故?
「新しい腕をはやした?」
僕は一人離れて見ているだけだから、呟いているだけだけど。
「ちっ!もう腕を出してきたか!」
どうやら、腕は生えてくる物らしいってマジかい?生物としてどうなん?
それから、直ぐにドン!という大きな音がして、ミノタウロスの周りに無数の魔法陣が浮かび上がり、ミノタウロス自身も新たな魔法陣に包まれる。
「皆、一端引いて!」
アリアさんの一言で、全員が一度、僕が居る所まで戻ってくる。
「もう最終形態になるなんて、そんなに追い詰めたかしら?」
「まぁ、一方的だったからのぉ~。」
「仕方無い。殺るだけ。」
「わかりました。今のうちにバフをかけておきましょう。後、雑魚は任せておいてください。」
「はいはい。じゃ行きましょ。」
ミスコンティさんの言葉で散開する面々。直ぐにバーナードさんが魔法の準備を始める。先ほどより大きい魔力の高まりを感じる。って、やっぱり宙に浮いてる。
そして、そうこうしている内に、ボス側の魔法陣から姿を現すミノタウロス達。中央に先ほどのミノタウロスが変態した最上位種。その両サイドにはボス程じゃないにしても大きいモノ。そしてそのまた横にミノタウロスが10体程が姿を現した。
「ふふふ。久し振りですね。」
そんな声が聞こえた後にバーナードさんの左手から水がうねりを上げてミノタウロス達に襲い掛かる津波が向かうそんな感じに見える。ただの水だけどうねりと水圧は半端ないんじゃないかな?そして今度は右手をバーナードさんがつき出す。よく見ると、バチバチした感じの塊?が浮いている。それが徐々に大きくなりながら、ミノタウロスへ向かって行く。決して早くはないけど徐々に大きくなるソレは段々と全容がみえてくる。その球体の中は雷が走っている。それも一つや二つじゃない。無数の雷が走っている。そして水圧に逆らっているミノタウロスの元に到着する頃にはミノタウロス達を包み込む大きさにまでなっていた。その雷の塊が水の壁に触れた瞬間にバチン!と音がしてミノタウロス10体は炭になっていた。流石に最上位種と上位種は炭になってはいなかったけど、苦悶の表情を浮かべていた。そして水は消え去りそのまま、三体に雷が突き刺さる。
「やはり、水と雷は相性が良いですね。」
「ふん。雑魚が2匹まだ残っているでは無いか。」
「仕方ありません。もう一度魔法を使いますよ。」
上位種を雑魚呼ばわりするこの人達って一体何?って思っている側から、また、バーナードさんが魔法を放つ。基本的に無詠唱みたい。で、今度は最初の青い炎が左手に。右手には渦巻く球体が見える。
青い炎の壁がミノタウロスに向かって包み込むように進んで行く。が流石に消し炭にはならなかったが焦げていたりしているのが見える。そこに、渦巻く球体がいくつも向かって行く。今度はそのままの大きさのまま無数にある渦巻く塊が飛び込んでいくとミノタウロスの体に無数の傷が出来ていく。それも青い炎がくっつく感じでその傷に覆いかぶさる。見ていて痛々しい。さすがにこれには耐えられなかったのか上位種のミノタウロスの2体が膝をつき、傷口と思われるところから燃え出す。
「まぁ、良いじゃろう。始めるぞ!!」
ブライトさんの掛け声の下に一斉に攻撃が再開された。先ほどと違うのはアリアさんが左の上位種のミノタウロスを、ミスコンティさんが右の上位種のミノタウロスの首を落とした事だろう。首を落とされた上位種の二体は崩れる様に消えた。あまりにも凄く早くて細部まで見れなかった。そんな中、中央にいるミノタウロスは依然として傷に青い炎を湛えながら立っている。ただし、最初の雷のせいか、動きは悪い。しかもサポートしてもらえるはずの状況だったのに、一気に削られて一体になっているせいか、苛立ちを覚えている感じだ。それでも、腕を4本動かしてそれぞれに攻撃を仕掛ける辺りをみると戦意は失われていない様だ。
「しぶといですね。」
「そうじゃないと、つまらんわい!」
ブライトさんが盾で攻撃をひきつけ、クリスチーナさんが連撃を浴びせる。そこに両サイドからのアリアさんとミスコンティさんの援護が加わる事で、最上位種のミノタウロスは攻撃を集中させる事が出来ずに攻撃を受けるばかりだ。苛立ちを押さえるかのように、ミノタウロスは全身を使った咆哮をあげた。
「ブォ~!!」
空間にある物全てが揺らされるようなそんな感じに揺れていた。空気の振動だと思う。皆が少し飛ばされる。流石のブライトさんも飛ばされていたから、凄い衝撃なんだと思う。
えっ、僕?僕は勿論魔法で守られているからさ、進化して髪の毛が逆立つぐらいだよ?と、考えていたら、吹っ飛ばされて壁に打ち付けられた。・・・気絶しました。




