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204 人は切れません・・・逆刃刀?いや違います。



「いてててて。」


「もう、本気出さないからやられちゃうのよ?」


「す、すいません。」


僕は今日殴られました。例のアリアさんに言い寄っていた男にです。そしてその僕が殴られた所を見たアリアさんはブチ切れて、その男を半殺しにしてました・・・女って怖い・・・訳では無くて、普通の結果だと思います。僕が頼りないのは横に置いといても、アリアさんは女性ですが、森でサバイバル生活?一人暮らしが出来てしまう人です。そんな女性が街に居る男に後れを取るはずがありません。そんな人に手を出そうとするから、ボコボコにされるんですよ?・・・僕が殴られてブチ切れてくれたのは嬉しかったですけど、殴られた僕はカッコ悪かったです。はぁ。


「煉君は日本刀を持てば強いんだから、桜花だっけ?あれを持って斬ってしまえばよかったのよ。」


そうアリアさんは言ってたけど、僕には人を切る事は出来ないと思います。日本人ですから・・・いや正確には現代日本人だからかな?昔は人斬りとか居たって聞いたからそうでしょう。


「僕は人を斬れませんよ?」


「冗談よ。」


「なんだ。冗談かぁ~。」


「でもね。この世界ではいざって時が来るわよ。その時は躊躇ってはダメよ。」


急に真剣な顔で諭されてしまったが、僕には何故かアリアさんが怯えている様な気がした。


「あの?大丈夫ですか?」


「うん?何でも無いわ?」


あれ?気のせいだったのだろうか?う~ん。


「さぁ、明日からは冒険者として活動するんだから、今日は確り美味しい物を食べて休みましょう?」


「はい。じゃあ、ご飯はあそこですね?」


「そ・う・よ。あそこ以外考えられないわ。」


嬉しそうに笑うアリアさんを見て僕も嬉しくなる。僕たちは半年間に渡るこの街での滞在期間で、街をあっちこっち探索した。そして、二人して気に入ったお店がある。

天ぷら屋『イソベ』である。この世界に和食があるのは何となくわかっていた。味噌や醤油などが普通に売られていたからだ。だが、本格的な天ぷらを食べる事が出来るなんて思ってもみなかったので、初めて見た時は、とてもビックリした。ただ、この世界の人にはあまり受けが良くないのか、繁盛しているようには見えなかったのだが、何と高級店だったのだ。美味しく頂いて満腹になって会計になった時のアリアさんのヒクヒク顔は記憶に新しい。


「あっ、なんか変な事考えてない?」


「いや。そんな事無いですよ?」


「あやしい~。」


ジトーとした目で見てくるアリアさん。


「あはははは。」


笑って誤魔化そうとする僕。

そんな時に二人のお腹が『ぐ~』となった。ナイスタイミング!


「お腹もすきましたし、早く行きませんか?」


「う、う~。仕方ない。食べに行こっか~?」


「はい。」


間髪入れずに返事をして、アリアさんの手を握り部屋を出た。アリアさんは僕の手をそっと握り返してくれた。


ルンルン気分で天ぷら屋『イソベ』に入って行く。


「あら、いらっしゃい。今日も仲が良いわね?」


ここの女将さんであるワカメさんが出迎えてくれた。ここの大将の奥さんで、とても愛想が良い人だ。しかも、日本人なんじゃないのか?って思う程に容姿は純日本人ポイ。狐族である尻尾と耳が無かったらなんだけど。で、大将は金髪青目の如何にも白人さんって感じの人。見た目はそんな感じなのに、言動は『THE・職人さん』で、基本的に無口。ほとんど話している所を見た事がない。こういう人を昭和の職人って言うのかな?そんな感じ。この微妙に違う取り合わせの二人なんだけど、店の味はとても良い。とは言え、僕の地球時代に高級店で天ぷらを食べた事なんて一回ぐらいしかないから、どれだけ凄いのかを伝えるのは難しいけど、出てくる料理は『あれ?今日本に居るんだっけ?』と錯覚させられる位のクオリティーなんだ。だから、高くてもついつい来てしまう。何でも、年に数回ほど王様に呼ばれて王城で料理を提供したりするみたい。


「えへへへ。」


「また、来ちゃいました。」


「いつも、ありがとう。贔屓にしてくれて嬉しいわ。さぁ、いつもの席を用意するから少しそこに座って待っててね?」


「「は~い。」」


ここは高級店なので、色々な席が用意されている。僕達はカウンター席で、奥の席にいつも用意してもらう。丁度、油がある場所の逆側で、大将やお弟子さん達が揚げている後姿を見ながら食事をするという格好になる。

ちなみに、ワカメさんは丁度10代目の女将さんらしい。代々ワカメさんの血筋がこの天ぷら屋『イソベ』を営んできたらしく初代のカツオさんが、父から作り方を教わって始めたとかなんとか。たぶんなんだけど、初代のお父さんは転移者かな?って思う。だって、初代カツオで二代目はマスオ。という風に海の生物?にちなんだ名前ばかりの様だ。祖先にはイカさんって女性がいたそうです。

で、海鮮天ぷらなのか?と思いきや、山菜天ぷらが主役です。


「いつ来ても、ここの天ぷらは美味しいね。」


「本当に美味しいです。」


アリアさんは天ぷらと清酒。僕は天ぷらとお米です。そう、この世界にはお米があり、日本酒もあるんです!!日本クオリティー万歳!!!


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