202 ジャパニーズソードの奥深さ・・・知りませんよ?
僕の頭にある映像を言葉で伝える・・・こんなに難しい事だとは思わなかった。
ブライトさんは鍛冶師だから、ある程度の事は解るけど、製法が違う事で戸惑いを見せる事がある。そんな時が問題だ。
「折返し鍛錬とはなんじゃ?」
「だから、鍛えた鉄を何回も折って打ち直す事ですよ。」
「何?なるほどのぉ~。これが妙技か。」
何て事になる。一般的に西洋剣において鍛錬はしないようだ。しなくても良い鉄があったからとも言えるのではないかな?日本で手に入る鉄は硬くて脆い鉄だったらしいから。逆に良い鉄が手に入れば、素晴らしい日本刀が出来るんじゃないかな?
「だから、あの綺麗な模様が出来るのか!!」
「そうみたいです。鋼の質が違う物を二種類使う事で、強靭さと切れ味を出すみたいです。」
「なるほどのぉ~。うんうん。」
という感じで分かってもらえるみたいだ。だけど、僕の趣味でもないただ、頭に流れてきた映像を伝えているだけだから、僕は面白いわけじゃないけれど。ただ、理解してもらえた時の達成感?は嬉しい。それが嬉しくてツイツイ長く話してしまう時が有る。そんな時はアリアさんの冷たい視線が降り注ぐ。
「まだ?もう遅いよ?帰らないの?」
「あっ、はい。カエリマス。」
そんな時は、ブライトさんと僕は冷ややかな視線を受け流すように、パッと帰る準備をする。ブライトさんは帰らないのだけど、何かその場の様子?に合わせた行動になっている。
そんなこんなで時間は経過していった。
◇◇◇◆◇◇◇
結論から言おう・・・半年かかりました。
だって、作成段階まで手伝えって言われて手伝う事になったんだよ?仕方なくない?
「今回のお弟子さんは長くもっているわねぇ~。」
「本当よね?ブライトさんとこはいつも1週間持てば良い方だったんだから。」
とは、近所のお嬢さん方のお話。お嬢さん?と呼ぶように教えられたのはつい最近の事で、『おばさん』と呼んで激怒され、そして隣にいたアリアさんからも何故か強い説教を数時間に渡り受ける羽目になった・・・。僕は大人の階段を一段上った気がしている。
「駄目よ!女性を呼ぶときに『おばさん』と呼んでは!!そうね・・・『お嬢さん』と呼びなさい!!」
たぶん、この言葉は一生忘れないだろう。それぐらい衝撃的だった。日本では問題ない言葉だけど、こちらは長寿の方が多いので、『おばさん』はどうやら侮蔑の意味が強いようだ。
恐ろしい・・・。だから、今では僕はすっかり近所の方々を『お嬢さん』と呼ぶようになっている。では本当のお嬢さんは?そこは深く考えてはダメだ。『お子さん』と付けるのが無難なのかもしれない・・・。
「やったぞ!遂に出来た!!」
「ようやく納得できる物が出来ましたか?」
「いや、まだじゃ!ようやく形になっただけじゃ!!ここからじゃ!!!」
「ブライト。私たちはもう良いでしょう?」
「お、おう。そうじゃな。ここから先は一人で追及する事にしよう?!」
まだ、時間を取られる事を懸念したアリアさんは釘を刺して、ブライトさんはしぶしぶ了解した感じだ。
ちなみに、村正・桜花の日本刀は頂いたから、その時から素振りなど時間が空いている時におこなった。初めて触れた時の様な桜花の言葉をあれ以降は聞いてない。
偶に桜花が喜んでいる様な気がする時があるが、それは全て桜花を使って素振りなどをする時だ。
ちなみに、アリアさんも売り子としての技術が上がっているようだ。この世界にはスキルという概念があるようで、『利益察知』や『暗算』等の商売に向いたスキルが発生したみたいで、商売人の顔になっている時が偶にある。
「何このスキル?『スマイル』って?!」
「おぉ、すごいのぉ~。儂は持っておらんぞ?!」
何て事を言っていた気がする。営業スマイルってあった気がしたが、あれもスキルの一つなのかな?面白い。えっ?いつの間に地球じゃないって気が付いたのか?アリアさんの話をじっくり聞いた時点で気づくよね?でも僕は信じられずにいて、この街に着てブライトさんと話をしてからなんだ。地理?歴史?強くなくってね・・・はぁ、もっと色々とちゃんと勉強しておけば良かったと最近思う神崎煉です。
「煉君は自分のステータスとか解るの?」
「はい?」
何ですかそれは?ステータス?ゲームの?
どうもこの世界ではステータスという物を見る事が出来るらしい。どうも鑑定系のスキルがあると他人の迄見れてしまうとか?『ステータス』と唱えると見えるらしいのだ。
『ステータス』
僕のステータスを開示して、アリアさんとブライトさんに見せた。
「・・・普通ね。」
「普通より低くねぇか?いて!」
アリアさんがブライトさんを殴っていた。
どうやら、僕のステータスは普通より低いようだ。まぁ、ただの日本人だし、仕方ないよね?でも普通は転移や転生したら強くなるんじゃないの?
ちなみ、レベルは3で、平民レベルの同世代より低いのが現状のようです。
「でも、普通じゃないのがあるわね?」
「おぉ、なんじゃこりゃ?」
称号:伝説の武器に愛されし者(伝説を継ぎし者)
スキル:侍魂
よくわからない。物を持っていました。神崎煉です。




