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2 世界 



この世界には、剣と魔法がある。

この世界には、人族・魔族・妖精族・獣人族等多種多様な者が住んでいる。

この世界は、一度ある人物が治める国により統一されたのである。


統一した人物の名を、リン・M・ジャポネス。女性であった。

ジャポネス帝国の天帝にして、初代天帝でもある。

しかし、その初代が崩御すると直ぐに、各地で反乱が起こったのである。

余りにもあっけない帝国の崩壊も、仕方のない事であったのかもしれない。

人族であるリン・M・ジャポネスはあまりにも大きな力とカリスマによって統治していたからである。


この世界には肌の違いだけではなく、多種多様な種族が生きている。種族差別をしない天帝であり、民衆を大切にする天帝であった。その絶対的統治者の崩御後、2代目には血族の中から選ばれると思われていたが、全く関係のなさそうな人物が選ばれたのである。名を、エスクダートという魔族の者であった。

魔族が選ばれた事により、憶測が蔓延した。「天帝が、術により操られていると・・・」人族の恐慌が一番の原因だと、後の歴史学者は語る。

それは、ジャポネス帝国の崩壊の始まりであった。


混沌と戦争、そして欲望が渦巻く世界へと戻ってしまった。


結果、現在では大国・小国合わせて200以上の国が生まれてしまっている。

単一種族の国から複数の種族からなる国であったり、宗教国家であったりと多岐にわたる。


その沢山の国の中の人間族のみで成り立っている国がある。

その名をアスワン王国という。

隣国のフリーア王国から自治を認められ独立を果たした国である。

初代国王はフリーア王国の王族の出身であり、国を分け独立した。独立しているとはいえ、フリーア王国からの影響が大きくある国でもある。

アスワン王国は15の地区からなる国である。その東方地区にマカロッサ子爵家の領地がある。

領地は海岸沿にあり、他の国との交易を担う拠点の一つでもあり、交易の要所として栄えている地域でもある。また、海岸沿いでもある為、近くの島も管轄地になっている。


多岐にわたる言語が飛び交う地域に生まれたザバルティは、今日も港に出て走り回っている。

もうすぐ、10歳になろうとしていた。



◇◇◇◇◆◇◇◇◇



潮の香を風が運んでいる。

穏やかな海面から反射される光によって黒髪と青髪は綺麗な色を見せ、潮の風によりその二つの髪はフワリと浮かぶ。

その片方の青髪の少年がもう一人の少し高い黒髪の少年に顔を向ける。


「兄上。今日も風が気持ちいいですね~。」


黒髪の兄と呼ばれた少年は笑顔を見せる。


「そうだね。シャルマン。とっても気持ちがいいね。」


弟のシャルマンと共に黒髪の少年ザバルティは今、港に来ている。いつもの日課である。


「ところで、今日はどこへ向かうのですか?」


「今日は、ポウロ様の所に行こうと思う。」


「えっ?あの冒険家のポウロ叔父様ですか?今ここに帰って来てらっしゃるのですか?」


「そうだよ。今日はどんな話が聞けるかな?」


「早く行きましょう!」


「では、競争だ!」


二人は勢い良く駆け出した。




二人の目標となるポウロの船に到着した。


「ふざけんな!誰がそんな事を受けられるか!出ていけ!!」


大きな声が響いてきて二人は目を丸くする。


そして、黒いマントをした男達が、船から走って降りてくる。すれ違いざまに、シャルマンにぶつかってしまいシャルマンは飛ばされる。


「邪魔だ。どけっ!」


「イタっ!」


「大丈夫か?!シャルマン!」


「シャルマン?だと?」


一人の男が驚愕と共にシャルマンの腕をつかもうとする。


「触るな!」


ザバルティが間に割って入る。


「お前たち、まだ居るのか。早く立ち去れ!」


ポワロが船から顔を出し吠える。


「何をしている。行くぞ!」


他の男が声をかけ、立ち止まった男の腕を捕まえて足早に去って行った。

ポワロが船から降りてくる。


「なんだ、ザバルティじゃないか?」


「ポワロ叔父さん、お久しぶりです。」


「おう、久しぶりだな。すまんな。変な所を見せて。ところで、シャルマンは大丈夫か?」


これぞ、海の男という風貌で、ついさっきまで、大声をあげていた男とは思えないぐらいの破顔した顔をザバルティ達に見せる。目に入れても痛くないのではと思わせる位の顔だ。


「大丈夫です。ところで、何かあったんですか?」


「子供が気にする事ではないわ。わははは。」


豪快な声で笑うポワロの声に安心する子供たち。


「さぁ、中に入れ。」 「今日はどんな話をしてくれるの?」


「わはは、とりあえず一息入れてから、一度兄上にお会いしに行かなければならない。だから今日は冒険話はできないな。」


「え~そんなぁ~。」


二人の息はピッタリだ。


「まぁ、そんなにガッカリするな。後で暇をみて話をしてやるよ。」


「ありがとうございます。」


「まぁ、とにかく入れ。キーファ!飲み物を出してやってくれ!」


「了解です。さぁ、坊ちゃま方こちらへ。」


「ありがとう。キーファお姉さん。」


「いいえ。益々可愛くなられましたね~。」


「それは、男には誉め言葉ではないよ。」


二人は拗ねた顔を作る。キーファと呼ばれた金髪の綺麗な顔をしたエルフはポワロと同じように破顔したのだった。


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