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196 我らビラッキオ隊 その8



圧倒的であり、神秘的である。

闘いとは呼べない物であったが、決して不意打ちを喰らわせた奇襲では無い事がハッキリと映し出されていた。これを見て、あの場に居なかった者達も沈黙した。あのジルベルトが手も足も出ない。目で追う事も出来ていなかった現実。それを見る事になったのだ。


「神か?神の使いか?」

「遂に我らは裁かれるのか?」

「正義はこちらにある。邪神の使いなのでは?」

「凄すぎる。是非仲間に入れてもらうべきだ!」

「逃げるしかありません。国に戻りましょう!庇護を求めるべきです!」

「関わり合いになるのは止めましょう!全く知らない国へ行きましょう!!」


等など、闘う事以外で意見が割れた。

おおよそ、均等に分かれた意見になっているが、それも仕方が無いだろう。

ただ、活発な前向きな話し合いになった。


「どうするんですか?このままでは埒があきませんよ?」


「私は皆の意見を尊重し、それぞれが思う様に行動出来るように話をさせてもらえば良いと思います。」


「・・・。」


リリアーナが言う事が一番良いかもしれない。『尊重する。』とあの方も言っていたしな。


「では、幹部のみでの話し合いでは無く、全員を集めて思う様にさせてやろう。」


「わかりました。」


数分後、陣の中心に全員を集めた。総勢約1000名。そしてその全員に先ほど見た画像を見せた。

静まり返る俺の部下達。


「あのジルベルト隊が、壊滅。」

「あのジルベルト様が相手になっていない。」


動揺が走る。その上で俺は幹部での話し合いの内容の結論を伝える。


「皆も見てわかったと思う。我らは戦わない。これは決定事項だ。その上で皆に問う。この後どうしたいかを。」


ザワツキが始まる。


「先ずは幹部たちの意見だが、『国に帰えり保護を求める』『全くの他国に逃げよう』『仲間に入れてもらおう』の三つに分かれた。どれもこの国においての反逆行為は禁止だ。そしてこのジェスター王国を出るまでの安全は保障されている。仲間に入れてもらえる事も先方から誘われた事だ。」


ザワツキは益々大きくなる。


「俺は皆の意志に従った行動を望む。その上で、俺は仲間にしてもらう事を俺自身は選ぶ。」


「なっ!国を裏切るんですかい!?」


イインデンは国に帰るを主張していた。だからこその声だ。


「そうだ。俺は裏切る。いや、人としての使命に従事したい!」


「どういう事ですか?」


今度はリリアーナだ。リリアーナは自分の意見を言っていなかったが迷っている様子だった。


「今、見たジルベルトを圧倒し、レリクランが片腕を捧げた男は、俺には≪神の使い≫もしくは≪神そのもの≫だと感じた。相対する事でそれをより感じた。つまり、あの方に俺は誘われた。『私の仲間にならないか?』と、神の使い又は神だと思える方からの誘いを断れる者などいようか?国に忠誠を誓いここまで来たのは確かだ。後ろ指指されるような事もしたという記憶もある。その俺の全てを分かった上で仲間になれというあのお方について行き、俺は人としての使命に従事したい!そう思う。」


「しかし・・・。」


「そうだ。しかし、その思いに諸君らを巻き込むつもりは無い。自身で考え思う様に選んで欲しい。国に帰る者には『私が裏切り、隊は壊滅した』と報告させる。他国に逃げる者には『俺の財を分け与える』、そして俺と共に仲間になる事を選ぶ者には『身の保証と栄誉』がもらえる様にしよう!」


イインデンはそれ以上何も言わなかった。


「時間は日が昇るまで。それまでに、各自よく考えろ!以上解散!」


俺は言いたい事を言って、解散させた。陣の見張りは俺が一人でする事も宣言し、全員を自身のテントに戻させた。俺に出来る事はこんなもんだろう。そして一人で見張りをしているとリリアーナがやって来た。


「私も手伝います。」


「お前もよく考えた方が良いんじゃないか?」


「私の心は決まってます。それより、隊長こそ本当に良いんですか?」


「何がだ?」


「国を裏切る事。」


「あぁ、どうせジルベルトみたいなのを許している皇帝に対して不信感は持っていたからな。それにさっき言った人の使命は本当に感じているんだ。どこまでやれるかわからんが、少なくともあの方は本物だ。それに仕えるのは悪くないだろう?」


「ふふふ。正直じゃないですね?私はあの方を見た瞬間に自分の存在意義を見出した気がしましたが、貴方は違うでしょ?」


「あぁ?」


「ほんとは死んでも良いから、戦いたかったハズですよ?」


「はぁ?無理だろ?俺じゃ勝てないしジルベルトと同じ道になる。」


「そうだとわかっていても戦いたかったでしょ?貴方はそういう人だ。」


「ちっ!お前には敵わねぇな。」


「部下の為に、自身の考えを抑える事が出来る方ですからね。だからこそ、『仲間にならないか?』そうあのお方は言ったのではないでしょうか?」


「ふん。そうかもな?何でも見通していらっしゃる感じだったもんなぁ。」


「そうですね。でもおかげで、この嫌な任務から解放されますよ。」


「やっぱり、嫌だったのか?」


「他国と言えど、民は民。人は人ですからね。」


「違いねぇ。」


俺とリリアーナは決まっていたのかもしれないな。運命の出会いが・・・。

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