表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

195/367

195 我らビラッキオ隊 その7



あれから、側近と呼び戻し話し合いを続行した。


「仲間にしてもらえるなら、してもらった方が良いのではないですか?」


「何でだ?そこまで恐れなければならない!」


あの時に居なかった者達は理解できない。それは仕方がない。俺たちは自身を鍛えそれなりに戦える者達なのだから、まずもって戦わずして降伏は基本的にあり得ない。しかし、今回は相手が悪すぎた。そして仲間であるジルベルト隊がした事はあまりにも非道過ぎた。だからこそ、あのお方は今回介入されたのだろうと思える。ただの争いであれば、眼をつむり自分のフィアンセを守る程度で済んでいたであろう。


「国に家族が残って居る者が居ないのが幸いだな。」


そう、ここに居る者は皆家族との縁を切っている。正確には切らされた者しか居ない。切らされたとは、何事があったとしても国が責任を取らなくても良い様に、という浅はかな考えと、親類に罰がいかない為の処置だ。確かに人に言えるような内容の事なんてほとんど無いから、その方が都合がいい。


「ビラッキオ隊長まで、何故そんなに弱気なのです?いつもなら笑って突入を命令するのに。」


「すまぬ。今回は無理だ。あのお方は我々が全て同時に攻撃しても、例え完璧な奇襲をかけても、倒す事は出来ないだろう。」


「はぁ?そんな事ってありますか?」


「そうだな。俺はこの隊ならドラゴンですら相手にしても怖くはない。だが、あのお方だけはマズイ。それほどに迄圧倒的であり、ランクが違い過ぎる。」


「そうです。あのお方は恐らく人を越えている超越者です。戦う選択は愚かな極み。ただ、死を選ぶ事と同じです。」


「リリアーナ様まで。」


俺の言葉にリリアーナは同意を示す。


「へぇ。そこまでわかったんだ?中々の実力者なのね?」


「誰だ?!」


「突然悪いね。アタシはザバルティ様の従者の一人でステファネスと言う者だ。」


突然俺たちの話し合いの場に現れた女が、ザバルティ様と呼んだ。咄嗟にマズイと思った。


「でも、わかってない者も居るようね?」


「死ねや!」


一人の側近が切りかかった。がそれをヒョイと言う感じで避けられた。そして避け様に蹴りを放ったようで切りかかった側近はその場に崩れた。


「何をした!」


「そんなにあわてなさんな。殺しちゃいないさ。気絶させただけ。もしかすると仲間になるかもしれない相手を傷つけるなんてマネはしないよ。」


一触即発な状態になりそうだった。これはマズイ!


「やめい!手を引け!ところでステファネスと言ったか?ザバルティ殿から、時間は頂いているはずだが?何か用か?」


俺の言葉で部下達は睨みながらも動きを止めた。


「そりゃあ気になってね。間違った答えを出すんじゃないかとね。」


「それはどう言う意味だ?」


ギロリと睨む。


「怖い顔しなさんな。忠告に来ただけだよ。ジルベルト隊と同じ様な末路になるのは忍びなくてね。」


「何?」


「ジルベルト隊はザバルティ様の逆鱗に触れてね。壊滅したからね。しかも人としての生はもう得られないだろう結果で殺されていないだけにされてしまったからね。」


「信じられぬ!」


「まぁ、いいさね。その内アンタの仲間が同じ情報を持って来るでしょうよ?」


ふむ。この女は我々が捜索隊を出したのを知っているようだな。という事は間違いなくザバルティ殿の従者か。


「で、ここからが本題さね。今からザバルティ殿の従者と腕に覚えがある者とで決闘しないかい?」


「それをして、お主に何の得がある?俺たちに何の得がある?」


「従者と戦えば、少しはザバルティ様の力を測れるんじゃないかい?」


確かに納得してない者達には丁度いいかもしれない。


「で、どうする?」


だが、今先ほどのこの女の動きを見てもうわかったハズだ。正直俺でも勝てるかどうかのレベルの動きだった。それが相手になって決闘したところで結果は見えている。


「いや、遠慮しておこう。それに万が一お主に傷をつけて、ザバルティ殿の心象を悪くするつもりは無いからな。」


「それは残念。じゃ、もう要は無いから、アタシは帰るよ。」


人のスピードとは思えない動きを見せてステファネスは出て行った。


「やはり、無理ですね。」


「ああ。」


戦うという選択肢はあり得ない。そして先ほどの動きを見た他の部下達もそれに反論する者はもう一人も居なかった。


「さぁ、どうする?今回の選択は俺たち全員の将来がかかった選択になるぞ?」


面々を見渡し俺は皆に問うた。


「国に帰る。仲間に入れてもらう。他国へ逃げる。死を覚悟して戦う。・・・。」


リリアーナも真剣な表情で俺に追従する。


「隊長。捜索隊が戻りました!」


「通せ。」


そんな中、捜索隊は帰還した。


「では早速報告を!」


「はっ!」


リリアーナに急かされるようにして捜索隊の者がジルベルト隊の行方と、どのような事が起こったのか?それらはつぶさに報告してくれた。そしてジルベルト隊のレリクランから渡された魔法の宝玉から流れる映像を見せられた。そこには壮絶な戦闘シーンがあったわけではなかった。ただ、神秘的なそして圧倒的な実力差でもって壊滅させられたジルベルト隊の終焉が映し出された。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ