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193 死んだ後に。 その12



たく!あのスケは!何だかんだアタシにチョッカイをかけてくる。

はぁ~。でも良い匂いだったな。って思ったのは本当だから質が悪い。


で、あのやり取りの後、アタシはビラッキオ隊長の別動隊の方へ向かった。

気づかれては意味がないから慎重に動く事を要求される。しかし、敵は油断しているのか、見張りが立っているだけで斥候みたいな者はいないようだ。

とは言え、アタシは熟練者では無いから、細心の注意を払って動く。


「ガサ!」


しまった!枯草の音を立ててしまった!


「なんだ?」


見張りがこちらへ寄ってくる。どうする?どうするアタシ?


「なんだ、サルか?」


そう言って見張りの兵は去って行く。もう少し近くまで来たなら飛び掛かろうと思ってた。

えぇ?サル?どういう事?アタシをサルと見前違えた?はぁ?


「もう少し、修練が必要だね?」


「えっ?」


肩をポンポンされて言われた言葉。その声を聞いてアタシは誰がアタシをポンポンしているのか分かった。そぉ、ザバルティ様!てか何で?どうして?ここに居るの?


「バン!」


アタシはアタシの顔を一発殴ってみた。夢でも幻でも無い、そこにザバルティ様は居た。


「実践訓練をするって言ったから、見に来てみたんだ。そうしたら偶然危なそうだったから、魔法を使わせて貰ったんだ。迷惑だったかな?」


「そ、そんな迷惑だなんて!」


つい大声を上げそうになるアタシの口に、静かに立てた人差し指を当たるか当たらないかのギリギリの所まで指を持ってきた。


「大声はダメだよ?」


「す、すいません・・・。」


アタシは自分の顔が真っ赤になる瞬間が分かった。今回は暗闇の中だからバレないはず!


「良いよ。じゃあ見張り頼んだね?私は行動に移すから。」


「は、はい!あっ!」


ついついアタシは大声で応えてしまったが、そんな様子をザバルティ様は見て笑顔になって魔法を使われた。


「シッカリね。」


去り際に残された言葉はアタシの頭の中をグルグルと回る。やべぇ!アタシのキャラ変わってねぇ?

シェリルがニタニタする顔を想像してしまったって少し気分が悪くなる。はぁ~。


『大丈夫ですよ。今回は私しか知りませんよ。』


あぁ、そうだった。カミコちゃんが居た。居た?まぁ、秘密にしてもらえるだろう。


『秘密にするんですか?何故?』


恥ずかしいからです。お願いします。


『わかりました。』


なんか、最後の方笑いを堪えた感じに聞こえたんだけど?アタシの気の所為かな?



◇◇◇◆◇◇◇



それから1時間位たったころだろうか?


ピラッキオ隊の別動隊の陣地が慌ただしく人が動き始めた。だからアタシはもう少し近くに行く事にした。そう陣の中に入って行く事にした。柵の近くまで音もなく近寄って、飛び越える。物置となっている様子のテント裏に忍び込む。ふぅ、成功。


「何?ビラッキオ隊長が呼んでいる?」


「はい。リリアーナ様は至急本陣に帰還されたしとの事です。」


女性の声の主はこの別動隊を指揮している奴かな?もう一人の男の声の方は伝令かな?


「隊長は何を考えているのだ?」


「わかりません。直ぐに伝えろと言われただけですので。」


そりゃそうだろうな。


「それはそうだな。」


でもつい言いたくなる言葉じゃあるな。


「わかった。直ぐに準備し向かおう。」


「はっ!」


男は返事を聞いて直ぐにこの陣を後にしたようだ。


「センテス!」


「はい!」


「お前はこの陣に残り指揮しろ、どんな状態になっても勝手に動くな。ここを死守だ。」


「はっ!」


そしてテキパキと命令や指示を出していく。かなり優秀な人物なのだろう手際が良い。アタシが団長をしていた時にこれ程の指示が直ぐに出せていたらもっとましだったかと思うとツラい。


「では行ってくる。後は任せた。」


「はっ!」


そう言ってリリアーナと呼ばれた女性が陣を出て行く。


「カミコちゃん。どうしたら良い?ついていく?ここに残る?」


『ここは、シェリルの部下に任せて、貴方はリリアーナを追ってください。』


「了解!」


こういう時は敢て口に出して相談するようにしている。だって心読まれるのはわかっているけど、あまりね?ほらね?


『無駄な感情は無くして直ぐに追いかけてください。」


はい。直ぐに追いかけます。

アタシは直ぐにテントを抜けて陣を抜けた。この後に行く方向は見当がついているので、最短距離を選んで追いかける。相手は馬を使って動くから早い。やはりここの隊はカーリアン帝国の軍部の一部だから装備品等の質が高い。だから、馬の質も高いし、乗馬技術も高い。


「早いなぁ~。」


『早いなぁ~じゃありません。集中してください。』


カミコちゃんに怒られた。あはははは・・・はぁ~。

その後はカミコちゃんの指示に従って森を縦横無尽に駆け巡って、最短ルートを走破した。

行き着くその先は、勿論ビラッキオ隊本体の陣地だった。つまり、アタシ達の陣地の直ぐ近くって事。

でも何故か静まり返っていた。こっそりと忍び込んだ。スルスルと奥へ進むとひと際大きなテントを見つけた。たぶんここが目的地。アタシは更に神経を研ぎ澄ませ潜入する。


「初めまして、リリアーナさん。私はザバルティ・マカロッサです。よろしくお願いします。この隊の軍師をされているんですよね?」


あぁ、ザバルティ様の声はいつ聞いても良い声だなぁ~。

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