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188 片腕を失った時 その1


何だ?この光景は?


私が思った最初の事だ。今でもあの時の光景は忘れる事が出来ない・・・。



◇◇◇◆◇◇◇



『レリクラン。例の作戦の協力の指揮をお前に任せる。死体を運んでくれ。』


ジルベルト隊長から指示を受けて私は20名ほどの部下を引き連れ隊を離れた。ビラッキオ隊への協力は数百の死体を用意し、変装させて渡すというものだ。

我々ジルベルト隊も参加する予定の作戦だったのだが、『アリア様』を発見したという情報から、本国カーリアン帝国より別命をジルベルト隊は受けた。『アリア様』の捜索である。

このロードスト大陸ではなくイグナシオ大陸にあるミスル王国を捜索する事となったのだ。

その為に、移動する準備を早急におこなう必要が出た為に、そのような協力となった。


順調にジルベルト隊長の指示をこなして、後は引き渡しという段階に至り、ビラッキオ隊を待っている時に急報が入った。


「レリクラン様!」


「どうした?そんなに慌てて?」


「はい!ジルベルト隊が狙われました!!」


「何?!どうしてそんな事に・・・。」


思い当たる節は有る。死体を用意するのに、我々は村一つ壊滅させたのだ。あの時は楽しそうにしている隊員が多くいた。その時の事をジェスター王国に知られてしまったという事だろう。しかし、ここで疑問が残る。この国ジェスター王国には情報部みたいな組織あるにはあるが、かなり質が低い。そんな低い組織に悟られるようなヘマをしたつもりがないのだ。そうなると、その線は消える。では一体何故なのだ?


「ザバルティ・マカロッサという名の者が首謀者の用です。我々の存在を正確に認識している節が有ります!」


「いったい、そのザバルティ・マカロッサとは何者なのだ?」


「そんな事より合流をお願いします!」


「何?ジルベルト隊長が居るのに私が行く必要がないだろう?」


「いいえ。奴らは、奴は化け物です。手に負えないと思われます。よって合流並びに、逃亡をする。というのが隊長の考えです!」


あの、不遜な体長が?逃げを選択した?それこそあり得ない!


「とにかく合流してください!このままでは隊長が危ない!我々は全滅してしまいます。どうかレリクラン様のお力を!」


「わかった。ゾーイ!皆を直ぐに集めよ。直ぐに本隊に合流する。」


「はっ!で死体はどうしますか?」


「捨て置け。魔法で腐らなくしてある。それにもうすぐビラッキオ隊の者も来るだろう。」


「はっ!」


私の部下のゾーイは敬礼して直ぐに部下たちを集めに回る。


「では、私は先に戻ります。宜しくお願いします。」


「わかった。気をつける様に!」


「はっ!配慮ありがとうございます。」


私は回復魔法をかけ、体力回復薬を渡してやった。使者としてきたビースは直ぐにその場を離れた。その様子を見た私は間違いなく、ジルベルト隊長以下カーリアン帝国所属潜入かく乱第三部隊の危機である事を実感させられた。


それから、私たちは直ぐにジルベルト隊長と合流するべく行動した。とにかく急ぐ事。それを追求した動きだったと思う。


ジルベルト隊が宿営地にしていた場所にたどり着いたのはそう時間はかかっていなかったと思う。その場所に私がたどり着いて見た光景は精神を壊された私の仲間の姿だった。


「おい!ブレイン!」


私に従っていた一人が、ブレインと呼ばれた者を前にして声をかけている。


「へへへへへへへ。」


ただ、へへへと笑うだけだった。

「悪魔がやってきた・・・。」

「天使の微笑はを・・・。」

「けっけっけ。」

等、口走ったり笑ったり、突然動き出したり、普通ではなくなっていた。


「これは一体?人間がした事なのか?」


全くの外傷が見えない。壊れた人間を見た事はあるが、外傷が全くない者は見た事がない。しかも一緒に戦ってきた仲間がそうのような状況になっているのだ。更に、魔法を受けた様子もない事から、単純に幻惑されているわけじゃない。ただ純粋に精神が壊れているのだ。


「先を急ごう。」


私の胸は必要以上に高鳴っている。たぶんここに居る者たちはもう使い物にならない。いやそもそも人間としてすら生きてはいけまい。

一体、私たちは何と戦う事になってしまったのだ?


「何人か残しますか?」


「いや。今はこの者たちに構う暇は無い。ジルベルト隊長と合流してから考えよう。それに残念だが、たぶん彼らはもう人間として生きていく事は出来ないだろう。」


「そうですか・・・。」


ゾーイは私と同じ気持ちなのではないか?もしかすると私たちは、起こしてはいけない者を起こしてしまったのではないだろうか?使者に来たビースが言った『化け物』という言葉が今の私の頭を支配している。

はたして、私たちが到着しても何か出来る事は有るのだろうか?ただ、嬲り殺されるかのように、失わされるだけなのではないだろうか?


「では、行きましょう。」


ゾーイは何とか私に従っている者たちを再度集めて声をかけてきた。

はたして、この先にジルベルト隊長と共にいるであろう者は何者なのか?そして私たちの未来に明日があるのだろうか?


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