表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

186/367

186 死んだ後に。 その8



アタシとこいつ等の差は何だろう?そもそも差なんてあるのかな?


「そんな顔をしない。アンタとこいつ等では全然違うよ。」


「そうかな?」


「そうだよ。アンタは生きていく為にしたんでしょ?でもこいつらは国の為にという建前で村一つ潰したんだ。全員を殺すだけでなく、嬲り痛めつけて、尊厳を奪う形で殺したんだ。快楽の為にした。建前を理由にして。」


シェリルはアタシに慰めの言葉をくれた。だけどアタシがしてきた事も結果、誰かを傷つけてきた事に変わりは無い。それを改めて考えさせられる事だった。


「我らは国の為にやったに過ぎん。命令だ!」


「「そうだ!そうだ!」」


「俺たちが悪いんじゃねぇ!命令を出した奴が悪いんだ!」


目の前に居る奴らはこう叫んでいた。そうアタシたちは今、ザバルティ様の指示で村一つを壊滅させたカーリアン帝国所属の潜入攪乱第三部隊のジルベルト隊を追い詰めている最中だ。


「それで?愉快な殺しを楽しんだ?そういうのかな?」


「そんな事はしてねぇ!」


「そうか。ではこれに映る者は君達では無いと?人の尊厳を破るような行為はしてないと?」


「「そうだ!」」


あっ!


「そういう事を平気で言う奴らは人として見れないんだよ。私は!」


ザバルティ様から発せられる圧が半端なくなった。


「あちゃ~。」


シェリルが言う通りの状況になった。アタシたちも身動きがとりにくいザバルティ様の威圧をまともに受けた奴は間違いなく穴という穴から水分を出してしまう。人外の存在になっているザバルティ様と野党まがいのキチガイ殺人者では物が違うのだから、当たり前だ。高い所から低い所へ流れる水の様に自然であり当然の事だよね。

大惨事が目の前に繰り広げられた。たぶんこいつ等はもう人間として生きていけないんじゃないかな?精神が壊れていると思う。ただ、それすらもザバルティ様なら治してしまうだろうが。


「先を急ごう。まだジルベルトは捕まえていない。」


「「はい。」」


「この者達はどう致しますか?」


「放置でかまわない。もう悪さは出来ないだろうから。」


「わかりました。」


シェリルとザバルティ様の会話だ。ある意味殺されるよりツライのでは無いだろうか?精神が壊れた者など、人では無いと思う。人の形をした何かでしかないと思う。


「さぁ、行こう。」


「「はい。」」


ザバルティ様を中心として私とシェリルで脇を固めてシェリルぼ部下がついて来る感じで移動する。


「なぁシェリル。何でこんなにザバルティ様は起こるんだろうな?」


「はぁ?」


「だってよぉ。ザバルティ様はこのジェスター王国の貴族では無いし、いくら婚約者の国の事とはいえさぁ。」


移動中にも関わらず、アタシはシェリルに質問を投げかけた。


「う~ん。何か昔から、ザバルティ様は子供に暴力を向けられる事を非常に嫌がってたみたいなの。子供の時に、アスワン王国で違法の奴隷取引が合ったみたいなの。その時にある領主が奴隷商人と組んで、村を滅ぼすまではいかなかったけど、子供を誘拐したり、親を目の前で殺して子供を攫ったりしてマカロッサたんですって、その時にマカロッサ家は立ち上がり解決したんだけど、その時まだ7歳とか8歳だったザバルティ様は先頭に立って解決に尽力したらしいわ。その時に助けたのがミーリアさん。そしてその時に一目ぼれしたのがマリリン第三王女なのよ。しかもその時には今のような特別な力が無かったらしいのよ。」


「えっ?うそっ!?」


そんなに長くあの二人はザバルティ様の近くに居たのかぁ。羨ましい。じゃなっくて。ザバルティ様は小さい時から凄かったのね。力が無くても突き進む力と心を持っていたのね。昔から優しい人なんだな。


「事実よ。それに、つい数か月前にも王都だったか領都だったかでも、子供が攫われたりして奴隷にされてた時も相当にキレてたらしいわ。父であるアルカティ様が止めなければ、ザバルティ様は怒りのあまり関わった全ての者を殺してしまうんではないか?って様子だったらしいわ。」


「そんな事があったのか。」


別に嘘だなんて思ってないけど。子供が犠牲になる事なんて珍しい事じゃない。アタシが子供を虐待していたりしたら、今のアタシは無かったのかもしれない。


「ザバルティ様が言ってた事なんだけど『大人は自分で選べたり、選んできた結果がその状況なだけだが、子供は選ぶ事や選んだ結果は少ない。その子供に暴力を振るう強者は許す事が出来ない。世界中の子供は世界中の大人や強者に保護されるべきだ。』ってね。だから、そういう信念で動いたり考えたりするから、今回の惨事も見過ごす事が出来なかったんじゃないかな?」


あぁ、だからアタシがジェスター王国の王都ジュピターで保護した子供達にも優しく接してくれるし、保護したアタシに色々気を使ってくれているんだな。納得した。


「そうなんだな。だからあれほど怒っているんだ。いや、泣いているのかな?」


そう、アタシは怒っている表面的な事だけじゃなくて、内面的な泣いている気持ちがアタシ達に伝わってきている事を理解した。ザバルティ様はマジかっけぇな。本物だよ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ