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182 我らビラッキオ隊 その3


「隊長。あれからもう7日経ちましたね。一週間です。」


「そうだな。リリアーナ。ジルベルトはどの様に運んでくると思う?」


「さぁ?どうでしょうか?ただ、襲撃予定地に運ばれているのではと思いますが?」


「それもそうだな。」


何とも面白みのない会話なんだ?


「で?お前の細工の方は上手くいってるのか?」


「ええ。順調です。2週間後には反乱が起こるでしょう。」


順調か・・・。毎回思うんだが、人は欲に際限がない。今回も金に目がくらんだ連中が反乱の音頭を取る事になっている。まぁ領主が屑だから元々民に不満が溜まっていたのは事実だろうが、それにしても醜い。


「そうか。ではエグゼブトの街で騒ぐか?」


「良いですね隊長。」


「ほどほどにしといてください。体を壊して当日では目も当てられません。」


副隊長のイインデンが直ぐに賛同し、軍師のリリアーナが釘を刺してくる。


「もちろんだ。皆プロだから大丈夫さ。」


「そうですよ。リリアーナさんも偶にはどうですか?」


「私は遠慮しておく。」


畳みかける様にイインデンが乗っかりリリアーナが引くという感じだ。

ここでもバランスがとれていると思わせる瞬間だ。



◇◇◇◆◇◇◇



予定通りの日程で死体が用意された。

つまり、村一つが潰されたという事でもあるから胸くそ悪い事でもあるがな。


「ここまでは順調ですね。」


「ああ、そうだな。」


「面白くありませんか?」


「ああ、そうだな。」


「これが、今回の作戦です。」


「ああ、そうだな。」


「祖国の為です。」


「ああ、そうだな。」


同じセリフの繰り返し、俺ながらパッとしねぇな。

確かにリリアーナの言う通りだが、やっぱり釈然としねぇ。こればかりは仕方がねぇだろう?



◇◇◇◆◇◇◇



キッカリ指定した日の朝にレリクランが我が隊へ再度やってきた。


「ご無沙汰しております。」


「うむ。ご苦労。」


礼をしたレリクランは直ぐに報告と連絡をした。


「では、やはり襲撃予定地周辺にあるという事か?」


「はい。これがその場所を示す道具です。」


レリクランに渡されたのは魔道具。場所を示す魔道具だ。


「その場所には私がおりますので、安心してお越しください。受け渡しが完了した後、私共は戦場から離脱します。ジルベルト隊長はすでにこの国を離れる準備ができましたので、私共は後を追う形となります。」


「わかった。協力感謝する。」


「いえいえ。隊長は今回の協力を楽しまれておりました。名残惜しいともおっしゃっておりましたよ。」


「そうか。」


喜んでしていた姿が想像できる。吐き気が出るのを必死で堪え、感謝を述べた。


「では、私はこれで。」


また、レリクランはフッと姿を消した。


「いつも、消えるな。」


「そうですね。気味が悪いです。」


リリアーナはいつもの凛々しい顔では無く、心底気味が悪いという様な顔になっていた。


「今度、会った時にでも止める様に話をするか。」


「ええ。是非そうしてください。」


リリアーナの珍しい顔が見れるからまぁ良いかな?と思う俺が居た



◇◇◇◆◇◇◇



翌日、王都から捜索隊が出たとの噂を耳にした。


「なんでも、村一つ野党か魔物に襲われたらしくて潰れたらしい。生存者は残って居なかったという話じゃぞ?」


「おお、ワシも聞いた。何でも村中に血と死体が転がっておったらしいわ。」


「じゃが、そんあ事が出来る野党なんぞおったかの?」


「儂は魔物じゃと思うぞ?」


「こわやこわや。」


「俺が聞いた話ではまだ生きていた者が居たらしいが、全身を切り裂かれて逆さ釣りになっておって捜索隊がついた時に言葉を残して死んでしもうたとか?」


「なんぞ、死神が襲ってきた!とか言うたとか?」


「じゃあ人間でも魔物でも無く死神かぁ?」


「じゃが、死神がそんな惨たらしい殺し方はせんじゃろう?」


「では、やはり人がやったのか?」


「間違いないじゃろうの。にしても人の仕業とは思いたくないのう。」


「何でも捜索隊にはあのエリザネス第一王女の婚約者であるザバルティ様も参加されたようじゃ。」


「なしてじゃ?」


「何でも、かなり今回の事に激怒しておって、必ず加害者は処罰するとセイレス女王に言い切ったそうな。」


「何?では加害者を捕まえるつもりか?」


「まぁ表向きはそう言って人気取りじゃないかのう?」


「そうじゃな、将来の女王の夫じゃからの。」


「ほうじゃほうじゃ。じゃが、村全ての人が殺されるとか、げに恐ろしい事じゃ。」


酒場で飲んでいる時に地方から来たような者共がそんな話をしていた。


「うるせぇ。酒がまずくなる!余所でやれ!!」


つい怒鳴ってしまった。だが酒が不味くなったの事実で酔う事はできなかった。



◇◇◇◆◇◇◇



「準備整いました。!」


「了解。持ち場に戻れ。」


「はっ!」


我が隊の準備が出来たとの知らせが入った。


そう。アリアンレッド公爵家の領都エグゼブトで反乱が起こったのだ。

公爵家への反乱だ。

俺たちの思惑通りに事が進んでいるという事だ。胸くそ悪い。あれから毎日酒を浴びる様に飲んでいる。


「では、参りましょう。」


リリアーナに急かされる。


「わかった。皆の者出発だ!」


「「「「「おう!!!」」」」」


俺たちは襲撃予定ポイントへ隊を分けて進めた。





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