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180 我らビラッキオ隊 その1



俺はビラッキオ隊の隊長をしているビラッキオだ。

何?隊の名前が安直だと?俺に喧嘩を売っているのか?あぁん?


「隊長。何か考え事ですか?」


「何でもない。それより呼び出しだと?予定より早くないか?」


俺達ビラッキオ隊は某国の潜入攪乱第一部隊というのが正式名称なのだが、いつの間にかビラッキオ隊と呼ばれるようになっていた。そんな俺達が予定より早く呼ばれるのだから、あまり良いとは言えないのではないか?と考えるのが普通だ。


「はい。どうも上手くいってないようです。最初は順調だったみたいですが、エリザネス第一王女の帰還後に調子が狂ったようです。」


「ふ~ん。まぁ、早く呼ばれようと、遅かろうと、俺達が行けば上手く行くだろうがな。」


こいつは俺の隊の副隊長でイインデンだ。頭は無いが腕はすこぶる良い。


「で、軍師殿は今回はどんな形でやるんだ?」


「今回は傭兵ギルドの形をとります。」


「ほぉ~。で、俺達の役割は?」


この女は我が隊の軍師でリリアーナと言う名前だ。かなりの美人だが、いつも俺達と動くときは男のような恰好をしている。が、かなり切れる頭がある。


「セイレス女王の方に加担している体を装います。今回の反乱の首謀者であるアリアンレッド公爵家の領地で民による反乱を起こさせます。その鎮圧に向かう軍を急襲する潜入攪乱第三部隊を倒す予定です。で、そのままセイレス女王軍に入り込むという感じです。」


「おい。ジルベルト達を、味方を殺すのかよ。」


「いいえ。倒したと見せかけるだけです。元々仲間なんですから、隊に組み込めば良いだけです。潜入攪乱第三部隊の方とは話がついています。適当な死体を運んで来てくれるでしょう。」


良い性格してるぜ。ジルベルト達は別名カマキリって名前がついている。鎌切だ。つまり全てを刈りつくしてしまう奴らなんだ。そいつらに死体を用意させるとなると・・・村が一つ消滅する事になる。


「マジかよ。アイツらに任せたのかよ。」


「はい。彼らはどうもストレスが溜まっていたようなので。」


平然と答えるリリアーナ。こいつが敵じゃなくて良かったよ。血も涙もねぇ。まぁ、育ってきた環境が悪かったんだろうがな。


「で、俺達はこれからどうするんだ?アリアン何とかっていう公爵様の領地にでも行くのか?」


「そうですね。領都エグゼブトに入りましょう。」


「ですが、俺達は1000人規模ですよ?大丈夫ですか?」


「だから、傭兵団なんですよ。今日から流れの傭兵団『ブラックスコーピオン』です。」


「「はぁ?何だよそのダサい名前は?」」


「ダサい方が良いんですよ。どうせ仮の名なんですから。」


こいつリリアーナは頭が切れるんだが、ネーミングセンスが悪いんだよ。『ブラックドラゴンアイ』とかつければカッコいいのによ。


「まぁ良いや。で、本国からは何処迄やるように言われてるんだ?」


「反乱を起こさせろ。弱体化させよ。と言われてます。近い内に戦争を仕掛けるつもりの様ですよ。」


俺達の国はこのロードスト大陸の統一を狙っている野心家の国だ。その為なら何でもするのが俺達の祖国だ。このロードスト大陸の東の三強国のバランスを崩すのが一番の狙いだ。その為に目の前にあるこのジェスター王国を狙って大規模な騒乱を起こすのが目的だ。


「そうか、閣下が遂に動き出すか。」


「ええ。だからシャズナ様も焦っておられるのかもしれませんね。」


「はん!あんな奴でも閣下によく見られたいってか?」


「誰もが、そうなのでは?」


そうだ。あの閣下の為だからこのような汚い事でも一生懸命やるんだ。誰が好き好んでこんな汚い仕事をやるかってんだ。この俺と同じ様に考えている者は多いいだろう。カリスマとは閣下の事を指す言葉だ。


「ふん。まぁリリアーナの言う通りだろうよ。精々頑張ってもらうか。」


「隊長。あっしらも頑張りましょうや。」


イインデンもやる気のようだし、今回も暴れまくってやるかぁ?


「仕方ねぇな。いっちょやるか?」


「ええ。やってやりましょう!」


「では、準備に入ります。」


リリアーナは冷静に、イインデンは熱く準備に取り掛かった。

まぁ、今回も楽勝だろ?俺達の手にかかれば簡単さ。だが、引っ掛かる事がある。


「リリアーナ。準備の前に少し話相手をしてくれ。」


「何でしょうか?」


「お前、今回の事少し妙だと思わないか?」


「どういう事です?」


リリアーナは少しも変だと思ってないのか不思議そうな顔をする。


「いや何。エリザネス第一王女の帰還後に順調な動きでは無くなったという点だ。」


「まぁ、エリザネス第一王女は優秀であると聞いていますから、何かに気づいたのでは無いですか?それにレストエア辺境伯がおおいにしくじったようですし。」


「そうかもしれないが、俺はザバルティとかいう男が気になるんだ。」


「たかが15歳の男の子ですよ?おおかた見た目が良いとかでエリザネス第一王女が連れ込んだ男でしょう?」


「まぁ、その通りなら良いんだが、昔一度エリザネス第一王女を見た事があるんだが、男にうつつを抜かすような女には見えなかったが・・・それに自分より強い男がどうとか?」


「そんなに心配しなくても大丈夫ですよ。たかが一人の人間に出来る事なんて限られますから。」


「そうだな。」


「では、準備に戻りますね?」


「ああ。呼び止めてすまなかった。」


心配し過ぎなのかもな。今日は酒でも喰らって早く寝よう。そう決めた。




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