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178 伝説ってさぁ~。


「これじゃ。」


目の前には日本刀の特徴を持った片刃でそりが有り、刀身が鮮やかな波打ちがある。和弓も洋弓と違い大きくまた上下の長さが違うという特徴がある。


「持っていいですか?」


「構わん。」


ブライトさんの許可を得て、日本刀を持たせて貰った。

すると、持った瞬間に電気が体に走ったかの様になり、頭の中に次々と画像が流れてくる感覚に襲われた。その画像は断片的な物では無く映像として映画の様に流れてくる。


「うっ。」


僕は呻き声を上げ、意識が遠のくを感じた。


「煉君、大丈夫?」


かろうじて、アリアさんの声が聞こえた事で意識を戻せた。


「えぇ、はい。何とか。」


手になじむとはこの事だろうか?刀が手にしっくりくる。今まで一度も持った事がない日本刀なのに不思議な感覚だ。


『我は村正が一つ。名は桜花、銘は村正。汝を主と認めよう。』


頭に響く様に聞こえた声を探して辺りを見回す僕を不思議そうに見てくるアリアさん。


「今、何か聞こえませんでした?」


「本当に大丈夫?」


聞こえていなかったのか、アリアさんに心配そうに見つめられる。

幻聴かな?疲れてるのかな?


「大丈夫です。ところで、この刀に名前がありませんか?」


「どういう事じゃ?」


「この刀の名前は桜花村正と言い。村正という方が打った刀で名が桜花と言うハズです。」


「何?初耳じゃ。ワシが知っているのは、伝説とされているリン・M・ジャポネス統一皇帝が使われていた刀であるという事だけじゃ。それ以上はわからん。文献があるのなら見たいもんじゃがな。」


「そうなんですか?」


「ああ、それより製法がわかれば助かるがの。わしもその様に美しい武器を造りたいからのぉ~。」


どうやら、日本刀を造りたいらしい。

「う~ん。どうですかね?あれ?分かる?ちょっと待ってください。」


僕の頭の中にドンドン制作過程や材料などの映像が流れてくる。気が遠くなるような感じになる。


「どうした?苦しそうじゃが?」


「煉君、大丈夫なの?顔が真っ青よ?」


僕は冷や汗をかきだした。背中がじっとりとしてきた。


「大丈夫です。だけど、苦しいかな?あはは。」


力ない笑いが出てきたが、少し落ち着いた。


「武器の作り方。日本刀の作り方がわかるかも知れません。」


「本当か?!」


ブライトさんが、僕の肩を掴んで揺らす。


「なんででしょうかね?その日本刀を掴んでからおかしいんですよ。『主に認める。』とか、女性の映像が頭に流れてくるとか・・。」


「なんと?刀に認められた?」


「そうでしょうね。名前を教えてくれましたから。それに刀の作成肯定も映像として流れてきましたから、元々は知識の欠片もなかったんですけどね。」


力なく笑いながら話す僕を見て、アリアさんは心配そうな顔になり、ブライトさんは興奮しだした。


「では、製法を教えてくれ。このニホントウ何だったか、「ムラマサ」?は小僧にくれてやる。」


「でも、本当かわかりませんよ?」


「いや、儂が聞いておる伝説に一説気になる箇所があったんじゃ。それが『この刀に認められし者には全ての情報が手に入るであろう。』という箇所じゃ。」


「それは私も聞いた事がある。だったら、『その者』が彼、煉君って事?」


「そうなるな。」


「それって歴史的事件じゃない?!煉君すごい!!」


明るい笑顔に戻ったアリアさんは僕手を取り喜んだ。逆に冷静になったブライトさん。


「じゃが、それが公になれば、問題も多く出る。」


「それもそうよね。リン・M・ジャポネス統一皇帝の死後にその情報は一度も出てないものね。」


急に緊迫した空気に変わった。僕はこの時、その大変さが理解できていなかったのだが、気が遠くなるという現象の疲れで考えられていなかったというのもあるのかもしれない。


「でも、儂も知ってしまったからには聞きたいのぉ~。」


「良いですよ。」


僕は簡単に答えた。


「でも、気を失いそうになったりするんで、ゆっくりで良いですか?」


「もちろんだとも、知りたい事が知れるなら、問題はない。」


「でも、本当に煉君は大丈夫なの?」


「うん。大丈夫です。ただ。」


「ただ?」


「アリアさんには側にいて欲しいです。」


「ふふふ。もちろんよ。」


「ありがとうございます。」


「オイオイ。ここで惚気るな。他でやらんか!」


怒られてしまった。


「すいません。でも本当にアリアさんが居てくれるだけで、かなり違うんです。」


ここは力説しておく。


「あ~、もうそこには触れん。好きにしろ!儂は技術だけ教えてくれたら、ええ。」


「ありがとうございます。」


「じゃあ煉君。宿屋を探して数日泊まれるようにしないとね?」


「はい。お願いします。」


「それは儂に請求せい。ただし一人一日銀貨1枚までだぞ?」


「わかってるわよ。でもありがとう。」


「ありがとうございます。」


僕とアリアさんに感謝を伝えられたブライトさんは心なしか嬉しそうだった。

さて、こうして僕達は当分の間、このセンブリの街に滞在する事になったのだった。


「とにかく、全ては明日からね。」


「おお。今日はゆっくり休むといい。」


二人の意見は一致していた。


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