171 気がついたら朝なんですが?
トントントントン
心地よい音が聞こえてくる。あぁ、もう朝なのか?今日も学校に行かないといけないのか?とか頭の中で考えながら目を開けた。
「煉君おはよう。ゆっくり眠れたか?」
「あっ。はい。おはようございます。」
そうだった。僕はアリアさんとういうエルフに会って小屋で沢山話をして。
現実が一気にやってきて頭が直ぐに覚めた。そうだ。僕は今、よくわからない所に来ているんだった。
「もうすぐ、ご飯が出来るから、顔を洗っておいで。」
「はい。昨日はすいませんでした。一方的にしゃべってしまって。」
「うん。気にしないで良いよ。楽しかったから。」
アリアさんはこちらに振り向き笑顔を見せてくれた。安心した僕はアリアさんに教えられた水が入っている樽の場所へ向かった。昨日は少しタガが外れてしまったな。喋り過ぎたからか、喉が少し痛い。
心地よい音が聞こえてくる。
顔を洗い終わり小屋の中へと戻るとアリアさんが作ってくれた食事が待っていてくれた。
「さぁ、召し上がれ。」
「いただきます。」
メニューは昨日と同じクレープの生地のような物とスープだが、味付けと中身が違う。少し塩分が多めだ。
「美味しい。アリアさん美味しいですよ。」
「ふふふ。ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいわ。」
笑い合いながら見つめ合う。僕は恥ずかしくなって顔を逸らしてしまった。
「ところで、昨日聞いた煉君の話からすると、君は剣や弓や魔法を使った事が無い。または使えないって事よね?」
「えぇ。そうです。」
「そっかぁ、じゃあやっぱり君はこの世界の人では無いのかもしれないね。」
「えぇ?それは??」
「つまり、煉君。君はこことは別の世界から来た人ではないか?って思うって事よ。」
僕も少しそうでは無いか?と思ってきていた所だった。
「煉君もそう思っているんじゃないかしら?だって君の話の中に出て来た物は、私は全く分からなかった物が沢山出て来た。貴方がいたであろう世界は私が知るこの世界よりも平和であると思えたもの。」
「そうですよね。やっぱりそうなのかなぁ?」
「その可能性が高いわね。君はこれからどうするつもりなの?」
僕は黙りこくってしまった。僕にもどうしたら良いのかわからないからだ。だから正直に言った。
「わかりません。正直どうしたら良いのか見当もつきません。」
「そ、そうよね。まぁどうするか決まるまでゆっくりと考えたら良いわ。その間はここに居ると良いわ。」
「えっ?良いんですか?」
「もちろんよ。ただし、働いては貰うけどね。」
アリアさんがウインクをくれた。マジ女神だ。って本当に思った。可愛い。
「もう、あんまり見つめないで恥ずかしいから。」
「す、すいません。」
またやってしまったようだ。だけど、昨日と違って恥ずかしがるアリアさんの様子を少し落ち着いて観る事が出来る様になっていた。恥ずかしがる姿も凄く可愛い。
その後、僕はアリアさんに言われた通りの仕事をした。河への水汲みであったり、薪割りや小枝探し、そして食料の調達として木の実や畑仕事。狩りも手伝った。とはいえ、ほとんど役に立ってないとは思うけど。僕にとってはどれもこれもが未知の事であり難しかった。
「あのね。この世界には魔法以外にも君の知らない物が多くあると思うの。例えば、魔物ね。これは動物とは違って、とても人にとって危険な存在なの、一般的なのはゴブリンかな?このゴブリンは集団で行動する事が多くてよく人を襲う凶暴な性格をしていて危険だわ。ありがたい事にここら辺ではあまり魔物が出る事は少ないけれど、外に出る時は注意が必要よ。君には戦える手段がないみたいだから、見つけたら直ぐに逃げる事をお勧めするわ。」
「わかりました。」
こんな事を教えてくれたりした。ある意味、僕にとっての「この世界の先生」だ。
僕は異世界で魔法がある世界だと納得した。そして、『冒険者』という職業があるのか?という質問をしたら、YESという事ばが返ってきた時は少しワクワクした。やったぜ!!とは思う事は無かったけどそれでも男の子だからなのか、『冒険者』という物を聞いた時はどうしても胸が高鳴った。
アリアさんは僕にこの世界の事を色々と教えてくれた。
その中でも一番ビックリした事が言葉が通じている事で同じ事く日本語だと思っていたんだが、どうやら発音や意味は通じていても書き出すと全く違う物だった事だ。つまり「ひらがな」や「漢字」という日本語では無かった事だ。理由は分からないが違う文字なのだ。僕はその日から文字を教えてもらう事になった。アリアさんは本当に先生となった。
文字の他にこの世界の歴史も聞いた。この世界は一度統一された過去があるという事だった。リン・M・ジャポネスという女の人が統一したらしい。だけど、直ぐにこの国は分裂してしまったようだった。でも女性が統一するとか、この世界の女性は強いのかな?
後、魔法の他に精霊魔法や精霊が存在する世界である事もわかった。異世界はそうでなくっちゃ。と改めて思った事もつけ足しておく。




