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170 超絶綺麗な人ですが?



「私の顔に何かついてる?」


「い、いえ。」


バッと顔をそむけたんだけど、ヤバい。ガン見しすぎてバレバレのようだ。どうしよう?


「どうしたの?さっき迄の威勢は何処にいったの?」


「いや、あの、その、あ、あまりにも綺麗な顔だったので。」


どうしよう?いきなりドストレートに思っていた事を言ってしまった。

その女性は急にオロオロしだした。先ほど迄の傲慢というのか自信に溢れた言動が影を潜めた。


「ふふふ。そんなにストレートに言われるのは恥ずかしいわね。」


「す、すみません。心の声が出てしまいました。」


本日2回目のパニックになってしまいそうだ。意味不明な釈明をしている自分が恥ずかしい。顔から火が出るんじゃないかって思う位に熱い。


「ふふふ。貴方の方が恥ずかしがっているなんて。」


「ああ。すいません。」


「誤ってばかりね。もう良いわ。こちらに座りなさい。」


「は、はい。」


その女の向かい側に座る。僕の心臓はバクバク激しい音を立てている。聞こえるんじゃないかな?


「私は、アリア・エイベクト。ハイエルフよ。貴方は?」


「え?エルフ?」


先ほど迄は、顔ばかり見てしまっていて気付かなかったが、耳の先が尖がっている。漫画とかで見た事のあるエルフの特徴と一緒だ。それで、人族って言ったのか。


「何?エルフを見たのは初めて?」


「あっ、すいません。僕は神崎煉です。」


「カンザキ?レン?」


そうか。ここは海外なのか。名が先で姓が後なんだな。


「すいません。名はレンです。レン・カンザキです。」


「そう。レン君ね。よろしく。」


そう言って、アリアさんは僕に握手を求めてくれた。ガッツク勢いで僕は右手を差し出し握手をした。


「はい!よろしくお願いします!!」


「ふふふ。変な子ねぇ。」


あっ、しまった。女性の手を慌てて握るとか失礼だったかもしれない。失敗ばかりだ。


「す、すいません。」


「また、誤ってる。ふふふ。」


「あはははは。」


僕は苦笑いだが、アリアさんはにこやかな笑顔を見せてくれたので、ちょっと安心した。


「で、君は何でこんな所に来たの?それにそんな軽装でこんな森の中に居るなんて。」


「えっと、僕にもよくわからないんです。気づいたら、あの丘の向こうにある平原に居たんです。どうすれば良いのかわからず、丘の上から見えた建物に向かってこちらへ来たんです。」


「そう。変な話もあるもんね。貴方が嘘をついている様子は無い物ね。魔法か何かで連れてこられたのかしら?この世界には色々な魔法もあるし。」


「えぇ?魔法??魔法がこの世界にあるんですか???」


魔法なんて空想の世界だけの物だと思ってたんだけど。


「そうだけど?貴方は魔法を知らないの?」


「はい。僕の居た所には魔法なんてモノはありませんでした。」


「変ね。どんなに辺鄙な田舎でも一人か二人は魔法が使える者がいるはずなんだけど。もしかして、山岳民かしら?」


「わかりません。僕の居た所では魔法というのはおとぎ話の中にあるだけでした。」


どういう事なんだろう?地球にそもそもエルフとか、魔法なんて常識から考えてあり得ないよね。


「そうなんだぁ。そんな所もあるのかもね。私は別に世界を回ったわけでは無いし、知らないと所があっても不思議ではないか。この世界は大きいしね。」


「そうですかぁ。僕はどうしてこんな所に来たんだろう?」


「何か意味があるのよ。この世界は不思議だらけだけど、意味のない事なんて一つも無いわ。」


「そうですか?」


「そうよ。それに少なくとも私は貴方がここに来てくれた事で話し相手が見つかったわ。」


「あはは。そうですね。ありがとうございます。」


アリアさんの言葉に少しの希望と温かみを貰った。さりげない優しさが嬉しかった。少しほっとしたからなのかお腹が「ぐ~」と主張した。


「お腹が空いているのね。良ければ一緒に食べる?たいした物ではないけど。」


「はい!頂きます。」


ふふふと笑ってアリアさんは食事を用意してくれた。

薄いクレープの生地みたいな物と野菜のスープだ。暖かい食事だった。物自体が温かいのは勿論の事、気持ちが暖かくなった食事だった。日本に居た時には考えられない事だ。こんなに食事は暖かい物だったのか。よくわからないけど、僕の両目から涙が溢れだした。アリアさんが本当に困ったという顔をしていたが、僕にもこの涙を止める事は出来なかった。その後、僕はここまでの事や日本の事。そして他愛もない事。日常の事。色々と話をした。いや話をしたというか一方的に喋り続けたと言うべきだとろう。たぶん、アリアさんには意味がわからない事ばかりだったはずなんだけど、何も言わず、ただ頷いて聞いてくれた。僕は一生分の喋りをしたのではないだろうか?喋り倒したのは人生初の事だった。そしていつの間にか僕は寝てしまったようだ。寝てしまう最後に見たのは、優しく微笑むアリアさんの顔だった。

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