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165 死んだ後に。 その4



「少しは成長したのかしら?」


「アタシもわかんないよ?けど、きつかったよ。」


挑発的な言葉を投げかけてくるエリザネス第一王女におどけて返した。

周囲は関係者のみという少ない人だけがいる。


「では、初めてもよろしいですか?」


「ええ。」

「ああ。」


「始め!」



≪エリザネス第一王女 VS ステファネス≫


開始の合図と共にエリザネス第一王女が先に動いた。


「一撃で終わらせてあげるわ。」


素早い動きで、ステファネスの懐に入り込んで剣を振るう。

が、ステファネスは少しずれて剣を剣で払う。

エリザネス第一王女は払われた反動を利用して回転して二撃目を繰り出す。

がそれにも確りと反応して剣で払いのける。

エリザネス第一王女は二撃目を防がれて驚いた顔をして、追撃を受けない様に間を取る。


「少しはやるようになったわね。」


「エリザネス第一王女。アンタ、弱くなったねぇ。」


「なっ?」


「ちゃんと本気で来てくれないと。実力を見せる事が出来ないんだけどねぇ。」


余裕の表情を崩さないステファネスは物足りないという顔になって、肩を落としてエリザネス第一王女に言い放つ。


「ふん。じゃあお望み通り本気を見せてあげるわ。」


エリザネス第一王女は、電光石火の動きを見せる。

目で追うのがやっと位の連撃を繰り返す。

だがしかし、それを全て避けてしまうステファネス。

暫くの間、エリザネス第一王女の連撃は続くのだが、一度もステファネスを捉える事が出来ない。


「口だけじゃないようね。」


「お褒めに預かり光栄です。エリザネス第一王女様。」


会話は成立しているが、二人は一度も動きを止めてない。


「ほぉ、すごいのぉ。エリザネスのあの攻撃を一度も受けないとは。」


セイレス女王が感嘆の言葉を漏らす。


「で、それが本気ですか?王女様?」


煽りの言葉と共にガキンという音がなり、ステファネスはエリザネス第一王女の剣を叩きエリザネス第一王女を吹っ飛ばす。


「うそでしょ?エリちゃんが飛ばされるなんて?前は呆気なく首を落とされた者が・・・。」


マリリン第三王女は驚きが強すぎているのか体が震えている。


「セイレス女王。もう止めて良いですね?」


「ああ。ステファネスの力は証明された。」


ザバルティはセイレス女王の側に寄り小声で話し、セイレス女王の同意を得た。


「そこまで!」


ザバルティのその言葉で、終了となった。



◇◇◇◆◇◇◇



ザバルティ様に止められた。


「よくやった。もう十分だ。全てを見せる必要は無い。実力を認めさせれば良いんだ。」


最後はボソリと言われた。


「わかったよ。」


アタシはそう言って剣を納めた。正直言うとエリザネス第一王女の攻撃は全て余裕を持って躱せる事が出来ていた。あの訓練の効果なのか≪躱す≫≪払う≫事は問題なく出来たのだ。しかし、攻撃手段は普通の事しか出来ないし、魔法なんて知らないから、魔法を使われたら厳しかっただろう。


「エリザネス第一王女。実力はわかりましたね?」


「ええ。彼女の、ステファネスの力を認めます。」


ザバルティ様はエリザネス第一王女に確認を取るように笑顔で話しかけてエリザネス第一王女からも力を認める言質をとっていた。笑顔で話し合う姿にアタシの心は掻き毟られる様な間隔に陥る。


「よくやったわ。これで『死』をもう一度経験しなくて済んだわね。」


いつの間にアタシの横に来ていたシェリルに言葉をかけられていたのだが、私の目はザバルティ様とエリザネス第一王女に釘付けだ。


「ああ。そうだな。」


アタシの答え方がぶっきらぼうだったのか、気に入らなかった様子のシェリルに鳩尾に肘を打ち付けられて「うっ!」となり睨めつけるアタシにシェリルは苦笑いをしていた。


「あんたさぁ。あんまり見つめすぎると流石にまずいわよ。気をつけなさい。」


パイセンのありがたいお言葉を浴びせさせられた。


「まだ、ザバルティ様のお相手としてノミネートもされてないんだから。今は我慢しなさいよ。」


アタシの気持ちを分かっているかの様なシェリルの言葉。


「わかってんよ。」


そう答えるので精一杯だったアタシは溜息をついて下を見る。すると、そこには足がある。いやアタシの足があるのは当たり前だ。そうじゃない。


「本当によくやったね。頑張った結果だね。」


その足の持ち主?いや、足の本人?どっちでも良い。ザバルティ様がアタシの前に来ていてアタシを褒めながら頭を軽くポンポンと叩いて撫でたんだ。


「で、怪我とかないとは思うけど、どうかな?」


「無い!」


ザバルティ様の優しい言葉に咄嗟にそう返していた。

つうか、卑怯じゃねぇか?頭を軽くポンポンして撫でて、その上で褒めて、気を使われて。

そんな事する奴がとんでもない実力の持ち主で、カッコいい上に将来有望な男なんだぞ?

女だったら、絶対食いつくだろ?アタシも女だよ?世界中の女はアタシと同じ状況になったら、絶対!絶対にザバルティ様に逆らったり、ましてや裏切る行為なんて出来ないと思うぜ?そうだろ?


「そうか。それは良かった。じゃあ、申し訳ないけど、このまま一緒に来てくれないかな?」


「わかった。」


アタシは乙女か!って自分にツッコミを入れたよ。だって顔は真っ赤だし、一言しか言えない元盗賊の頭領なんて、アンタあり得ないだろうよ・・・はぁ。



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