160 策謀に対する策 その2
シェリルが言った通りに数日後には黒幕の情報をゲット出来た。
「流石だな。」
「恐れ入ります。」
目の前にはそのシェリルが居て跪いている。
「感謝する。ありがとう。」
「勿体ない言葉であります。」
彼女の優秀な部下は私の仲間が長く探していても見つからなかった情報を手に入れて来てくれた。
「何かしてあげたいと思うのだが、何かして欲しい事や欲しい物などあるかな?」
「いえ。そう思って頂けるだけで充分でございます。」
「そうは言わずに何かないかな?」
「でしたら、私と私の部下をザバルティ様の配下の末席にでも加えてください。」
剛速球が飛んできた。
「それは、私としては嬉しい事で大歓迎だけど、ラムザは良いのかい?」
「すでにラムザ様には伝えてあり、許可はとってあります。」
「わかった。念のため、私からラムザに会って話をしてこよう。」
「ありがとうございます。」
既に確定事項みたいな感じになっているけど、本当に大丈夫なのだろうか?少なくとも私が行けば間違いなくダメだとは言わないだろうが・・・。
「そんなに心配されなくても大丈夫ですよ。ラムザ様からは『お前が思う通りに好きなようにすれば良い。』と言われておりますし、そもそも私を召し抱える様にとラムザ様よりザバルティ様に言うぞともおっしゃっておりましたから。それは嫌だと答えたら、笑っておいででしたが。」
なんとまぁ、そこまで話が進んでいたのね。
「わかった。では明日にでも行くと伝えておいてくれ。後、彼女が一人前と認めれる能力を有したなら直ぐに報告をくれ。」
「かしこまりました。」
すっと下がっていくシェリル。
先ずは明日ラムザに会いに行くかぁ~。」
◇◇◇◆◇◇◇
空中に漂うかのように物体が浮かんでいる。その物体の甲板と言える部分に二人の男が立っている。
「本当に良いのか?彼女はお前が育てた部下だろ?」
「良いんだ。お前に協力したいから、許可をくれと言ってきたシェリルを許したのは本当だし、相手がお前であれば文句ないよ。それにな、俺は自由主義なんだ。好きなようにさせてやりたいのさ。」
話の内容を聞く限り、遂にシェリルは行動を起こしたようだ。彼女は私からみてもだ優秀な女だがいつの頃からか、この目の前に居る男について行きたいと言う様になっていた。我には何故なのかわからないのだが、それも仕方がない事だろう。我は常にラムザの側に居るのだから。我はラムザの精霊だから当然である。
「だが、彼女と彼女の部下を私に譲って大丈夫なのか?」
「あぁ、戦力の事か?もちろん少なくないダメージはあるが、代わりもちゃんと育ててくれているから安心しろ。今後は俺とお前の間の連絡係はソフランが就く事になる。後で後任になるソフランを紹介するよ。」
今、ラムザの前に居る男はザバルティと言って、ラムザが友として認めている男だ。人族とは思えない力を秘めている者で、我でも及ばぬ実力者であり、もしかするとあの大精霊フェニックス様でも勝てぬかもしれぬ。超越した力を持った男だ。
「わかった。お前がそう言うならありがたく力になってもらうよ。」
「ああ。そうしてやってくれ。」
叡智の悪魔ジャスティを倒したと言われている。叡智の悪魔ジャスティは名の知れた名前持ちの悪魔であった。とは言え神では無い。悪魔を使役するのが邪神と言われる存在だ。逆に天使は聖神に使役される存在である。
「ところで、お前にはドラゴン情報が無いか?」
「どうした?ドラゴンに何か用でもあるのか?」
あの悪魔に狙われたこの男はもしかすると聖神の者の使徒である可能性が高い。何せこのザバルティと言う男の祖父はあの伝説のSS冒険者≪W・B・S≫なのだ。≪W・B・S≫とはフェニックス様が頭が上がらない存在として精霊界では有名なのだ。四大精霊王の方々がフェニックス様のヤンチャ振りに頭を悩まして相談した相手が≪W・B・S≫で解決したのも≪W・B・S≫だった。
「いや、そろそろモンスターテイマーになりたくてな。」
「はぁ?≪神の使徒≫だけじゃ物足りないってか?」
一度、ラムザと一緒に会った事があるが、四大精霊王の方々の寵愛を受けている事がわかってビックリしたのを覚えている。圧倒的な力だった。四大精霊王の方々が寵愛を与え、フェニックス様が頭が上がらないのも頷けるというものだった。
「そういう訳じゃないけどさ。やっぱり、その憧れるじゃん?」
「わかるけど。テイマーの心得とか知ってるのか?」
流石、精霊界に名を残す人族なだけはあると思う。その孫であるのだから、それだけの資質?素質?はあるのだろう。まぁ、ラムザの友というのにしょうもない男では困るがな。
「まぁ、わかるというか分かってしまうというか。」
「歯切れが悪いな。まぁ出来るならしたいのが男か。」
「「そこに山があるから登るのだ。」」
ふむ。こ奴らの話はよく分からん時がある。が、そういう時は今の様にいつも笑っている。
「始めはスライムからが良いんじゃいのか?」
「定番のな。『僕は悪いスライムじゃないよ。』聞きたいよな。」
ほら、また大声で笑っている。こ奴らの頭は大丈夫なのか?頭がおかしくなったんじゃないかと偶に心配になる。いつも杞憂に終わるのだがな。




