表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
158/367

158 『合間』に。



「ほっほっほ。」


「はっはっは。」


二人の笑い声が辺りを包む。


「それにしても、ロマネス様とミネルバ様にこうしてちょくちょく会える様になるとは思いませんでした。長生きはしてみるもんですなぁ~。」


「ほんにそうよの~。ワシもこんなに簡単に遠くの友人と会える様になるとは思ってもみなかったわい。」


ディスラテヌとロマネスが酒を酌み交わしながら話をしているのだが、その横には呆れた顔をしているミネルバが居る。


「まったく。ディスラテヌはいつからその様にオヤジみたいになってしまったのですか?それにアナタも飲み過ぎです。誰が昼間っから酒を飲むのですか?」


「そう固い事を言うでない。」


「そうですよ。ミネルバ様。」


ミネルバの厳しい問いかけにもどこ吹く風の二人。


「たまには良いじゃないかぁ~。」


「そうそう。」


二人は止める気は毛頭ないのだろう。


「そう言って昨日も、その前もその前の前も、何日続いていると思っているのですか?」


そう、この二人はゲートが開通した翌日から何か理由をつけては飲んでいるのだ。


「まぁまぁ、今日で最後にするから。」


「そうですよ。我々も暇ではないんですから。おとととと。」


そう屁理屈を言いながら次の酒をグラスに注ぎ合いながらのんべぇ二人は笑い合いながら酒を飲むのだ。


「知りませんよ?ザバルティの怒られても。」


「ザバルティは無しじゃろう?!」


「それはダメですよ?ミネルバ様?!」


びくりとしながらも懲りない二人を見て「はぁ~」とため息をついてミネルバはその場所から離れる。

そして、その場はまた二人の笑い声が支配するのだ。



◇◇◇◆◇◇◇



「なに?またディスラテヌはロマネス様の所へ行ったのか?」


「はい。行かれました。特級のお酒を持って。」


「良いのぉ~。」


「はい?何か言われましたか?」


「いや、何でもない。」


キリリとした顔を見せてセイレス女王はドコラテヌ宰相の追求を躱す。


「ところで、エリザネス第一王女の暗殺計画を指導したであろう者達はいかがいたしますか?」


「それじゃ。あの後調べたが、証拠らしい物は出んかったそうじゃな?」


「はい。ですが、エリザネス第一王女の説明では、襲撃者の首領は斬首したという事でしたが。」


「そうなんじゃが。あのザバルティ殿が一緒に居てそのままという事はあるまい。」


「そうですね。」


「じゃが、ザバルティ殿からは話が来ない以上、その線も難しかろう?」


「そこなんですが、直接聞くというのは出来ないのでしょうか?」


「う~む。」


ここにきて考え込みだすセイレス女王。


「試してみるのはありなのでは?そもそも普通に接してくれとおっしゃっているのですから、一国の女王として、聞いてみてはいかがでしょうか?」


「他に手段がないからのぉ~。怖いがそうしてみるか・・・。」


こうして、二人は手段を選んだのである。老害が居ない王宮は決議が早く進むと噂が流れたとかなんとか。



◇◇◇◆◇◇◇



「ここは診療所の予定です。そこは、警備隊の駐屯地予定で、そっちは商業区域にする予定ですよ。」


「ふむ。なるほど。では、ここは?」


要塞の敷地内における地図を睨みながら、二人の男は話し合いをしている。


「ほぉ。なるほど。これは全部ザバルティ殿の指示の内か?」


「はい。その通りです。どういう事態が起こり得るのかの想定とその対処を指示として受けています。」


「その指示内容は何通りあるんじゃ?」


「およそ、1000通りです。これでもこの規模では少ない方だとおっしゃっていました。」


「なんと!?1000通りか?しかも少ないと?」


「はい。」


「末恐ろしい御仁じゃな。」


「私も驚かされっぱなしですが、あのお方に師事出来る事はこの世界で二つとない経験となると自負しております。」


「そうじゃろうな。これらの貴重な経験があれば、殆ど怖い物はないな。」


「そうだと思います。」


深く頷き合う二人の男。


「お主たちダンバル一家が何故ザバルティ殿が凄いと言っているのかわかったような気がするわい。」


「はい。あのお方はもう別格です。建築神と後の世では呼ばれているのが普通となるでしょう。」


「そうかもしれぬな。≪建築神ザバルティ・マカロッサ≫か。」


「そうです。そしてその一番の弟子たちとしてダンバル一家は知識と技術を後世に残していく担い手になろうと日々精進しているのです。」


「ふむ。なるほどな。だからこその勤勉か。」


「はい。我らはザバルティ様に少しでも近づきたく思っておりますので。」


「恵まれた環境でもあるのだなぁ~。」


最後はぼそり独り言の様に呟くカンガリ大将は気を取り直すとまた現場監督であるカーリン・ダンバル

を質問攻めにする。


「で、最後なんじゃが、ワシにも少しは土地の余裕があるのかのぉ?」


「ええ、勿論準備されておいでです。ここです。この要塞の中心部の城の近くに用意されていらっしゃいました。」


「ここか!」


満面の笑みで聞くカンガリ大将にカーリンは説明を付け足す。


「そうです。この城の主にカンガリ大将がなられると考えられており、それほど大きくは確保されておられませんが、城まで5分とかからない場所にございます。」


「わかっておるなぁ~。」


うんうんと頷きながら感想を述べるカンガリ大将の顔は『満足!』と言う言葉が書かれたような顔であった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ