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157 ある一日。



ベロニカ第二王女様とドコラテヌ宰相様の強い意向により、王城に私の屋敷にある設備を設置する事になったわけだが、公にやる事になっているので、今は職人待ちの状態である。数日後には到着する予定だ。


シャワーと温水洗浄便座は早く設置して欲しいと言われ、ベロニカ第二王女様の部屋とびドコラテヌ宰相の屋敷に設置する運びとなった。設置に関しては私がおこなわなくてもダンバル一家が受けもってくれるので、私自身は特にする事はない。


「今日はどうするかな?」


「本日は久しぶりにゆっくりと時間をお過ごしになられるのではないかと思っておりましたが?」


独り言の様に呟いた言葉をシーリスは聞き逃さず聞いていてくれたようだが、少し恥ずかし。


「確かに、それも良いけど何かしたいと思ってね。」


「働き過ぎでは無いですか?」


そう言われてハッとなった。前世では社畜という言葉があったが正しくは私達の世代はその言葉は無かったが、そう言われるような内容だった。一つ社畜という言葉が出来ている時代の者達と違うのは、働く事に正しくプライドと責任を持って働いていたという事だろう。現代日本に生きる若者には考えられない事かもしれないが、日本のサラリーマンが世界を圧倒したのはその働きぶりにあったと思う。らくをして稼ぐなんてあり得ない。どれだけ会社に貢献できるのか?を常に考えて利益を産める人物になろうと考えていた。会社に対する忠誠心もあったのかもしれない。時代が違うと一蹴されるかもしれないが、それが日本人の美徳にも繋がっていたと思う。それもやり過ぎて多くの日本人は苦しんでしまったのかもしれないが、何事にも過ぎるというのはダメだ。それが私が理解した事だった。


私の死後の日本は一体どうなっているのだろうか?

どう考えてもいい方向に向いているとは言い難いと思う。極振りをしてしまうのが人間であるが、その最もたる結果は【ゆとり教育】であったと思うが、日本人はその経験を活かせるのであろうか?

死んでしまって転生した者が考える内容では無いか?


≪その通りです。それよりは今を考えましょう。≫


そうだな。私は今を生きる事が大切だ。日本人も今を生きている者が上手くやる事だろう。そう願うだけが、私に今出来る事かもしれないな。


「どうなさいましたか?」


「いや、少し考え事をね。」


シーリスのこと言葉で現実に意識が戻った。


「では、今日はどうされるのですか?」


「そうだな。一度屋敷へ戻って、色々と報告を受けて行動するかな?」


「かしこまりました。ではその様に準備致します。」


「ごめん。よろしく。」


シーリスは準備の為に部屋を抜けた。私が動くときは事前に準備をしないと皆が困るらしい。

ミーリアを筆頭にした皆に動くときは前もって行動を示して欲しいと嘆願された。


「う~ん。気にしなくても良いのにな。」


「そうはいきませんよ?」


「おっと、ミーリアか?」


「今のザバルティ様にいったいどれだけの者が関わって動いていると思っているんですか?そこら辺は考えてくださいね?」


「わかった。気をつけるよ。」


突然現れたと私はおもうのだが、彼女の方はずっと居たのかの如く自然な動きだ。


「わかって頂けたのなら、良いです。ですが、領地を出てまだ数ヵ月しか経っていないというのに大所帯になってしまいましたね。」


「そうだな、初めは4人だったものな。」


「そうですよ。直ぐに私の参加する事になりましたけど。」


「そういえばそうだったな。あっという間だったな。」


領地を出てからの事を思い出すが、一向にゆっくりしたと思える日が無かった。


「う~ん。何かゆっくり出来てないな・・・。」


「無理もありません。ザバルティ様の凄さに気づく者は皆一様に期待してしまいますから。」


「そんなもんかな?」


「はい。」


深く頷くミーリア。


「凄いというのは何も力の事ばかりを言っているのではありません。責任感というのでしょうか?責任もって行動する姿。力があっても責任を取ろうとしない者が多い世界で、力があり、責任感を持って行動してくれるそんな人に惹かれるものですし、そんな人に頼ってしまうものではないでしょうか?」


確かに、私も責任感を持ってやってくれる仲間に信用と仕事を任せている。


「それに、ザバルティ様はプライド?を持って事に当たっておられますよね?」


「そうだね。なかなか妥協できないという欠点を持っているよ。」


「確かにそういう面もあるとは思いますが、プライドがあるからこその成功だと私は思います。」


「ははは。買いかぶり過ぎだよ。」


「そうかもしれません。だけど、私は何時でもザバルティ様を見ていますし、見てきました。だからこそわかるんです。プライドと責任を持って動いてくれるザバルティ様だからこそ、皆、ザバルティ様にお願いするんですよ。それは信用になっているんだと思いますよ。」


そこまで言われると悪い気はしない。


「ザバルティ様、準備が整いました。」


シーリスが入って来て教えてくれた。


「わかった。では行こうか。」


「「はい。お供します。」」


私達はゲートを使い屋敷へ戻ったのだった。





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