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155 私は見た。 その3



あのお方は凄すぎた。


「つまり、転移魔法の応用でゲートを繋げたんだ。半永久的にゲートをくぐれば移動できる事になるよ。」


うそぉ?あり得る?・・・あり得た。

今私は、アスワン王国の王都テーストの街並みを家の中から見ている。あの城は間違いなくアスワン王家の紋章があり、外観もその物だ。


「婿殿は凄すぎるのぉ~。」


母上の発言に私も同意だ。


「ははは。すいません。セイレス女王。どうしてもあの話を聞かせて頂いたのでお会いさせたくて。」


「いや。感謝はあれど、驚いているだけじゃよ。」


「この事も内緒でお願いしますね。」


「わかっておるよ。ただ、ちょくちょくこちらに来たいからゲートは繋げておいてくれぬか?」


「それは構いませんが、大丈夫ですか?」


「それは、大丈夫です。ザバルティ殿を信用しております。それに万が一にザバルティ様に狙われたらその時点で我が国は滅ぶでしょう。」


「あははは。」


凄く物騒な話だけど、もっともな話をドコラテヌ宰相が言うとあのお方は苦笑いだった。


「内緒にして頂けるのと、ただ祖父母と会いに来るぐらいであれば、大丈夫です。繋げておきましょう。後で、ゲートの守護についている者達にも通達しておきますね。」


「すまぬ。ありがとう。」


「いえいえ。こちらこそ祖父母に会いに来て頂きありがとうございます。」


母上とあのお方は感謝し合うという状況になっている。

そして、私とギャニックの前にはザバルティ様のご兄弟が近くにやって来て挨拶を交わした。

その後、ギャニックはシャルマン様に連れられてシャルマン様と遊んでいるようだ。そんな中、私と同い年の方はここには居なかったので、姉上やマリリン第三王女と一緒に居る事になりあのお方の側に居る事になった。


「では、少し屋敷の中を案内しよう。」


「おぉ、それは興味深いですね。」


ドコラテヌ宰相が食いついてきた。ドコラテヌ宰相はまだ20代という事もあり、姉上と仲が良いのでこちらのグループに入ってきたという感じだろう。


「では、設備系の物でも見てもらいますか?」


何故かマリリン第三王女が我が家の様に話し出すのをあのお方は苦笑いでみていると、近くにいたメイドの方がマリリン第三王女に睨みを利かせた感じがしたのだが、それを見たマリリン第三王女は下を向き黙った。メイドの方はあのお方の専属らしく綺麗な顔立ちをしている方だが、何故か時折神々しさを感じる。何故だろうか?あのお方の側にいるとそうなるのだろうか?


「貴女は見る目があるようです。」


ぼそりとそのメイドの方は私とすれ違いざまにおっしゃった。


「私はミーリアと申します。王族にも貴女の様な聡明で落ち着きがあり理解が出来る方もいらっしゃるのですね。少し安心いたしました。貴女とは仲良くやれそうです。」


ニコリとその神々しい顔を笑顔にされてミーリア様は私におっしゃった。


「いえ。私なんて・・・。」


「ふふふ。謙遜は美徳だと思いますが、し過ぎるのは美しくありませんよ。」


「はい。ありがとうございます。」


賛辞を素直に受けなおすとまたニコリと笑って元の場所に戻られた。

ただの移動でしかないはずなのに、神々しさが滲みだす様なそんな感じがした。

後で、ミーリア様の噂を耳にした時、この時の事を思い出し、納得したのは言うまでもない事でしょう。


「さて、先ずはどの場所が良いかな?」


「上から水が出る物か下から水が出る物ではどうですか?」


「うん。そうしよう。」


あのお方の質問にミーリア様がお答えになり、それに同意するあの方の案内でその後色々と屋敷の中の設備を見て回った後、私は直ぐに母上の元に行きお願いをした。


「母上、どうかこの屋敷の中にある設備を我が城に設置してください。直ぐに許可をください!!」


「ベロニカ第二王女様の言う通りです。直ぐに承認を!!」


私だけでなく、ドコラテヌ宰相も同じ思いの様で、二人して母上に詰めよっていた。


「どうしたのじゃ?ベロニカもドコラテヌ宰相も?」


「ふむ。ドコラテヌは別としてベロニカ第二王女にしては珍しいの?」


母上とディスラテヌ叔母さまは私の発言と行動に驚いているようだが、私にも譲れないものがある。いや正確には出来たと言える。

私が真剣になっているのを感じた母上はベロニカがそこまで言うならと承諾してくれたのだが、後にこの設備を実際に使われた母上に言われた言葉。


「ベロニカよ。よく、進言してくれた!本当に凄い設備じゃ!もう私はこれ無しでは生きて行けん!!」


と絶賛していた。


「このような設備を考え出すとは!本当は神では無いのか?」


とも疑っていたが、私もそれには深く同意した。


その様なやり取りは後日となるのだが、その時にミーリア様はニコニコして私を見ていた。


「貴女は本当に聡明な方ね。これからもよろしくお願いしますね。」


そうおっしゃって握手を求めてこられた手を私は両手で握りブンブンと振った。あのような設備を考えるだけじゃなく、現実に構築してしまうあのお方はやはり≪神の使徒≫なのだと思う。

いや・・・神そのものでは無いのだろうか?そしてあのミーリア様も・・・。





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