149 ゼロゼロワンの証言
「こいつは・・・悪魔。」
騒ぎ出す貴族を前に動じる様子がないティファール女王達。
「安心するが良い。封印が施されており安全じゃ。」
「はい。ティファール女王様のおっしゃる通りです。」
ティファール女王の声掛けに返事をするミネルバ。
「さて、このモノが申すにはこの中にいらっしゃる貴族様方の中に契約者が居るとの事です。」
「「なに!!」」
益々ざわつく貴族たちを余所に更にミネルバは続ける。
「ですよね?ビリトリア公爵様。」
「なっ、何を言っておる。」
「貴方がこの悪魔の契約者ですよね?」
「なわけがあるまい。それに何故私が王城へ襲撃するというのだ。」
「時期王座を狙ってでありましょう?」
「ふん。この国の王は古来より女王がなると決まっておる。例え私が王族であるとしても継承権は無いわ!」
「ですが、貴方の娘には継承権がありますよね?」
「ぐぬぅ。」
ビリトリア公爵に対してミネルバの追求は止まらない。
「それに、今回の襲撃でティファール女王もセイレス王女も亡き者にしてしまう事で色々でっち上げて自身が王になる事を企んでいたのでは無いですか?」
「いい加減な事ばかり言うでない。どこに証拠があると言うのだ!!」
「証拠ですか?必要ですか?必要なら出しますが?」
「・・・。」
「往生際の悪い方ですね。魔法なんて無意味ですよ?」
ビリトリア公爵は下を向き魔力を高めようとしているのに気付いたミネルバは牽制し自身の魔力をビリトリア公爵にぶつけると同時にビリトリア公爵を封印結界で包んでしまう。
「なっ!ふざけた事しやがって。女のくせに!!」
「あら?これ位で本性が出てしまうとは、以外ですねぇ。」
「うぬぅ。」
ミネルバの追求は更に加速する。
「で、貴方があの悪魔の契約者ですよね?」
「違う!ティファール女王をこれはどういう事です?」
今度はティファール女王に救いを求めようとするビリトリア公爵。
「あらあら、ですがあの悪魔が貴方と契約していると言っておりましたよ?」
「そんな事は絶対ない!そんな嘘をついてまで私を愚弄するのか!!」
≪その者が我の契約者だ。≫
言い争いが激化する中、悪魔が呟いた。
「これは何かの間違いだ!あり得ない!!」
「本当にそうでしょうか?」
「悪魔は契約者を裏切らないんだ!だから、私が契約者であるとゼロゼロワンは言う訳がない!!」
ビリトリア公爵は自分で言ってシマッタという顔になり俯く。
「そうですね。言うハズが無いんですよ。悪魔は契約者を裏切る事は出来ないんです。それが契約ですから。ですが、このモノの呼び名がわかるのは、契約者しか居ないんですよ。」
ガックリと膝をつき崩れるビリトリア公爵を見たティファール女王は直ぐに命令する。
「その者を捉えよ!反逆罪である!!」
衛兵が直ぐにビリトリア公爵を押さえつける。周りの貴族たちにどよめきが広がる。
「くそがっ!」
悪態をつき続けるビリトリア公爵は衛兵により連れ去られる。
「本日はこれまでじゃ。追って沙汰を申し付ける。大臣たちは緊急会議を開く様に!」
「「「「「はい!」」」」」
いつにないキリリとしたティファール女王の命令に貴族たちはピシりとした返事を返す。
「さて、あともう少しね。」
「ああ、本命はまだ別に居るからね。」
そんな中でミネルバとロマネスは一息という感じで会話をする。ひとまずこれでティファール女王とセイレス王女の安全は保たれる。後はこの事件の黒幕を捕まえるだけであると二人は考えているのだ。
「どうやって、炙り出すの?」
「次の策にもティファール女王に力を借りないといけないね。」
はぁ~と二人は溜息をつく。まだ事件は終わっていないのだ。
「で、あの悪魔どうする?」
「どうしようか?あっ、そういえば、アイツがおかしなことを言っていたんだよね。我より弱いものに負けったって・・・どういう意味だろ?」
ロマネスが本当にわからないって顔で聞くのだが、ミネルバは直ぐに気づいたらしくロマネスの頭を小突く。
「あんたわからないの?」
「えっ?」
「あんたは偽装してるでしょう?能力の偽装を。」
「あっ!」
ミネルバは呆れたという顔になりロマネスを見る。ロマネスは恥ずかしそうに顔を赤らめて下を向き頭を掻くのであった。
◇◇◇◆◇◇◇
私の祖父は昔から抜けている所があったらしい事が判明した。
「ロマネス様はおっちょこちょいな所があったが今もそうなのであるか?」
「いや、そんな感じでは受けませんでしたよ?」
セイレス女王の問いかけに答えるエリザネス第一王女。だが、私はその答えとは反対で今でもそういう所がある。
「それにしても、ザバるんの強さのルーツは祖父母様であるロマネス様とミネルバ様にあるんですね~。」
マリリン第三王女の感想にうんうんと頷くエリザネス第一王女。
「ほほぉー。ザバるんはそんなに強いのかな?」
「うん。強いの。」
セイレス女王は感心したように唸り質問するとエリザネス第一王女は直ぐに肯定する。
「そうかそうか。アルカティとポワロも強かったからのぉ~。」
あら?こんな所で父上達の名前が・・・。




