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147 精霊王の登場?!



闇を駆け抜ける一団がいる事に気づかない街。ただ、風が舞うのみであり姿などそこにはない。普通の者では気づく事など無いだろう。我ら≪闇の者≫を捉える事など出来る人間など居るハズがない。我らにとって人間を暗殺する等、息をする事と変わらない。闇が支配する夜は我らの天下だ。


「001(ゼロゼロワン)。もう直ぐだ。」


「002(ゼロゼロツー)。了解した。」


我らに名前は無い。便宜上ナンバーで呼び合っているに過ぎない。しかしそれで良い。闇に生きる我らに名前が与えられるのは実績を積んだ者のみ。そして名前を得て更に実績を積めれば爵位が与えられる。闇に住まう我らの望みは人間の魂と自身の強さのみ。


「では、行動に移る。」


「了解した。」


我らは城に近づくと各々が潜入し王女を殺すという至ってシンプルな作戦だ。


「そんなに急いで何処に行くのかな?」


「???」


急に我らに声をかけてくる者が居る。


「待ってたわよ~。」


一人では無さそうだが、脅威と感じなかった。


「殺れ。」


小さく我が呟くと一番近くに居た同胞が動く。


「会話が出来ないのかな?」


そう言いながら白い鎧を着ている男の手が動いたと思うと直ぐに襲おうとしていた同胞は上下に真っ二つになる。


「なっ!」


「あんた達をミスミス放っておくと思う?」


黒いローブを着た女を襲った者は炎に巻かれて灰になってしまったようだ。


「ほぉ。」


ここまで強いとは、予想外だった。


「お前達が噂のSS級冒険者か?」


「だとしたら?」


ニヤリと口角が上がる我を見て、不審の色を顔に滲ませる二人。


「これで、ナンバーではなく名前持ちになれるという訳だ。」


答えたと同時に我はこの地に居る全ての同胞を呼び寄せる魔力を放つ。


「ちっ、面倒な事を・・・。」


女の方が気が付いたようだ。神官には見えないが魔術に詳しいのかもしれんな。


「そうか?ここに集まってくれるんならその方が楽じゃないか?」


ふん。強がりを男が言っておるわ。


「そうね。そういう考え方も出来るわね。」


ぞろぞろ集まってくる我が同胞たちを見ても顔色を変えない奴らはやはりSS級冒険者なのであろうが数で圧倒すればよい。


「今のうちに結界を張ってくるわ。」


女の方がそう言うとスッと居なくなり男がズイッと前に出てくる。


「さぁ、始めようか。」


男の魔力値が一瞬上がったような気がする。まさか?そんなハズは無いだろう。

一瞬気をとられている内に同胞がやられていく。流石に我と同格の者はやられてはいないが下位の者達は一瞬にして斬られて死骸となる。


「やるようだな。お前だけで我らに勝てるとでも思っているのか?」


同格の者であるゼロゼロエイトが男を挑発するように動き出す。ゼロゼロエイトは知力で我と同格になった者だ。何か策があるのであろう。


「お前如き矮小な存在である人間が、我ら≪闇の者≫に盾突こうなど100年早いわ。」


「そうかもしれないけど、やられる訳にはいかない事情があるんだよ。雇い主を教えてくれるんなら生かしておいてあげるよ?」


逆に煽られる始末のゼロゼロエイト。そこに突っ込むゼロゼロシックス。アイツは力が優れている事で同格になった者だ。アイツの後ろにはゼロゼロフォーが隙を伺っている。今回はシンプルな作戦で動くつもりだったが決して連携が取れない訳では無い。勿論下位の者達は苦手だが、ナンバーであれば、一定以上の知力と技術と経験がある。苦手では無いのだ。ここは見物する事にしよう。


「うん。筋は良いけどまだまだだね。格上と闘う経験が少ないのかな?」


奴はそんな事を言いながらヒラリヒラリと攻撃を躱す。舞っているかのような動きである。

実力的に負けている様では無いと思うが、面倒であるのは間違いがない。あの魔力量でこちらが負けるハズがない。


「ゼロゼロワン。我はゼロぜロファイブとゼロゼロセブンと本来のターゲットへ向かう。」


「了解した。」


こうしている間にもゾロゾロと同胞がこの場所へ集まってくる。それに紛れて向かうつもりなのであろう。


「行かせる事は出来ないな?【イフリート】と【ウインディーネ】頼めるかな?」


≪任せるが良い。≫

≪良いわよ。≫


「なに?精霊が姿を現すだと?しかも二つの相反する存在を?あり得ん!!」


我は困惑した。この世界には精霊がおりその精霊の力を借りて精霊魔法を使う者は居る。しかし、彼奴はただの精霊では無く精霊王と呼ばれる存在の精霊を使役しているのだ。【火の精霊王イフリート】【水の精霊王ウインディーネ】相反する二つの精霊王を使役する等不可能では無いのか?


困惑している間にも我の同胞たちは次々に精霊王イフリートとウインディーネにやられていく。炎で蹂躙され水に駆逐されていく。


「馬鹿な・・・。」


「う~ん。二人共張り切り過ぎじゃない?」


我が信じられないと呟いていると男は独り言の様に言いながら我の周りの同胞を壊滅させていく。


「まぁ久しぶりだったから、しょうがないか?」


嬉々として火と水の精霊王達は我の同胞を殲滅していた。


「あとは、君だけだよ?どうする?」


想像できる未来は一つしかないが、人間に何もせず屈する等出来るハズがない。

我は飛び込んで行ったのだ。「死」を意識して・・・。












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