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142 SS級冒険者様。



「私は、ジェスター王国第一王女セイレスである。」


メイド服の女性が止める前に言い切ってしまった少女を見て黒いローブを来た女性は微笑み返す。


「これは丁寧にありがとうございます。私はミネルバ。こっちのはロマネス。二人で冒険者をしているの。」


王女と聞いても詫びれる事もなく敬語を使わない二人を見てメイド服の女性は訝しむが、ハッと思い出したかのように言う。


「もしかして、SS級冒険者者の【W・B・S】様方ではありませんか?」


「うん。そうよ。でも良く知っていますね?」


「そのいで立ちとドラゴンをあっさりと倒す力量を見ればすぐにわかると思います。」


今巷で有名な冒険者でこのジェスター王国に滞在していると噂されており、それをたまたま聞いていたメイドだからこそ気づけたという事では無い。世界の人々がこの二人組の冒険者を知っていると言っても過言ではないのだ。


「そうですか?有名になったもんですね?」


他人の事のように言うロマネスに同意するかのようなミネルバ。


「本当ね。」


二人は顔を見合わせて笑っている。


「じゃあ、ミネルバはそこに居る騎士様を回復させてあげて、俺は辺りを探してくるよ。数人は生きている様だから。」


「わかったわ。セイレス王女手当をさせて頂いても良いかしら?」


そうやって二人は直ぐに行動を開始したのだった。



◇◇◇◆◇◇◇



あれから、ロマネスは何人かの生存者を連れて戻ってきた。死んでいた者の遺品も集めて来ていてくれたようだった。


「これで最後だ。」


「わかったわ。」


怪我人や気絶した者達の全てを回復させるミネルバ。なのに全然疲れた様子が見受けられない。


「凄い・・・。」


その言葉だけが、その場に出てくる感想であろう。

次々に回復している者達から感謝を受けるミネルバであるのだが。


「いいえ。私は出来る事をしているだけです。貴方達の様に身を挺してセイレス王女を守った方々を全て救えない私達をお許しください。」


謙虚にそう答えるだけだった。確かにミネルバの言う様に全てを助ける事は出来ていない。死人が出ているのだ。しかし、何の縁も無いであろうロマネスとミネルバが助ける事で救われている命はたくさんある。皆が回復魔法で回復した後、ロマネスが回復して話が出来る様になった騎士に声をかける。


「しかし、何故セイレス王女はこんな所へ来ているんですか?そもそもこの辺にドラゴンなんていましたっけ?」


「いえ、いません。今回は我がジェスター王国の習わしの一つで次期女王となられる立場のセイレス王女の訓練であるのです。」


騎士が話した通り、ジェスター王国は女王が君臨している王国であり代々女王が王位を継ぐのである。そして古くからある習わしとして次期女王となる者は小さい時より戦闘訓練を施されるのである。

それも形式的な物では無く実践的な物である。何故ならジェスター王国は強き者が国を継ぐに相応しいと考えられている国でもあるのだ。もちろんそれは表向きであり、初代女王であるプロメラル女王が男に負けない強者であった事と男に負けない武威を示す必要があった為だとされている。それが歴史を綴り長きに渡り行われた事で風習となったのが今の時期女王となる者が小さい時より実践的な戦闘訓練を行う事に繋がっているのである。ジェスター王国の歴代の女王の中には先陣をきる者も居たらしく、伝統的にも血筋的にも武闘派の女王が多い国でもあるのだ。と騎士は説明する。


「なので、比較的安全な地域を訓練場として選んでいるのです。ですから前もって先遣隊も送り状況を把握しての訓練派兵なのです。ドラゴンが出るなど情報はありませんでした。」


それを聞いたロマネスは眉間に皺をよせる。それも見たミネルバは敢てそれを指摘せず違う質問をする。


「それは、不運でしたね。まぁこの世界に絶対はありません。今後は護衛を増やしたり、魔物に強い冒険者を連れて行くなど対策を確りする必要がありますね。」


「おっしゃる通りです。面目ない。」


「ふふふ。別に責めてる訳ではありませんよ。なんにしてもセイレス王女が無事だったのは良かったですね。」


そう言って、セイレス王女を見るミネルバに釣られて騎士たちも笑顔になってセイレス王女を見るのであった。



◇◇◇◆◇◇◇



「ねぇ。どうしたの?」


「あぁ、騎士殿の話が本当であれば問題なんだ。」


「どういう事?」


怪訝な顔でミネルバはロマネスに聞く。


「ドラゴンは少なくともあまり生存圏を動かない生物ねのは知ってるよね?」


「そうね。ドラゴンには敵がいないものね。あのエルダードラゴンレベルでも相当よね。」


「そうなんだ。だから居る事を分かっていて報告をしたのか?それとも態々連れて来たのか?その二つの可能性が高いと思うんだ。偶々ここにエルダードラゴンが来たとは考えにくいからね。」


「なんで?」


「ドラゴンの好物となるモノが居ないからさ。」


「なるほどぉ~。」


賢者と呼ばれるミネルバであるが精霊の事とドラゴンの事はロマネスに敵わない。否、ロマネスが精通しているという事だ。


「じゃあ、仕方がないねセイレス王女について行くのね。」


「行きたくはないけど、親戚の子供をミスミス殺されたくは無いかな?」


肩を竦めるロマネスを見て仕方がないぁ~と笑うミネルバであった。







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