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136 王女の決断



今回捕まえた盗賊団は雑魚とは言え、かなりの悲劇を起こしているようだ。

この村には200人程度の人が住んでいたようで、全ての大人たちは殺されていた。殺されなかった者達は若い女性が17名。子供が21名で合計38名が生き残りだ。どちらも奴隷などに落とし売り飛ばすか盗賊たちの慰み物にされるだけになる予定だったようだ。


「で、私達を襲う予定だったという事か?」


「は、はい。でも依頼を受けただけなんです。」


だろうな。じゃなければ態々兵が居る一団を襲う様な馬鹿なマネが出来るわけもないだろうし、国境に近い場所で警備隊がウロウロしている地域でこの様に見逃される訳がない。


「誰にだ?」


「わかりません。ただ、この村を襲って占領してここを通る一団を壊滅させろ。そうすればもっと金をやるし、その村は好きにしていいと言われただけなんだ。」


「そんな事を?」


「王女さんは知らないかもしれないが、ここの領主様は承諾されているって依頼をしてきた奴は言ってた。アンタも可哀そうな奴だな。」


女盗賊がエリザネス第一王女を煽るように言い放つ。それを聞いてエリザネス第一王女は凛とした顔を崩さずに一瞥しただけ。


「情けない。我が国の貴族とは思えん所業だな。正面から私に向かってくればいいものを。」


怒りを瞳に灯したエリザネス第一王女。


「ザバルティ様、申し訳ないがそこの者を縄を解き武器を与えてやってくれぬか?」


「うん?わかった。」


直ぐにエリザネス第一王女の思惑が分かったので素直に受け入れる。


「女。私に勝てたらここから逃がしてやるぞ。」


「嘘つけ!どの道に見逃してはくれないのだろう?」


「嘘なぞつかぬ。我が国は強き者こそ正義なのだから。誰にも手出しはさせぬよ。」


「わかった。やる!」


縄を解き、女が持っていたであろう武器を返す。


「お主名は?」


「ステファネスだ。」


「ステファネス。お前に家族は居るか?」


「はぁ?くっくっくっく。居るわけねぇだろう。そうだねぇ。ここに居る男どもが家族かねぇ?」


笑い飛ばすステファネス。


「そうか、我が国の統治がまだまだ拙いという事か。では準備は良いか?」


「ふん。こっちから行かせてもらうよ!」


ステファネスは地面を蹴り上げ砂利をエリザネス第一王女の顔に向けて飛ばして自らも踊るようにエリザネス第一王女へと迫る。それを全て剣で捌き、ステファネスの放つ剣を躱しすれ違いざまに一閃。


「こんな国にしてしまいすまぬ。」


「あんたが悪い訳じゃないさ・・・。」


ボソリと呟くエリザネス第一王女の一閃を受けたステファネスの体は首から上がずれていく。


「「「「「親分!」」」」」


先ほど迄、商人風を装い、「俺達は盗賊じゃない!」とか言っていた者も叫ぶ。馬鹿な奴らだ。私は直ぐにステファネスに近寄り頭と胴体をくっつけ白い布で覆いこの場から引き上げる。


「お前達の親分は死んだ!これはこの村でした虐殺に対する処罰である。お前達は全て打ち首とする!」


エリザネス第一王女の宣言に皆顔を青ざめさせた。彼らの運命は決まったのだ。



◇◇◇◆◇◇◇



この後の行動をどうするのか?を考えなければいけなくなったのだが、エリザネス第一王女には考えがあると思っているので、聞いてみた。


「これからどうするんだい?」


「そうだな。先ずは保護した者達の対応をどうするかなんだが・・・。」


「それは、私に任せておけばいい。いったん預かるよ。」


「流石ザバるん。頼むよ。」


少しホッとする様子を見せるエリザネス第一王女は話を続ける。


「私に正面から来ればまだしも、民を巻き込んだ策略など使う輩は許しておけない。必ず首謀者に処罰を与えるわ。」


「だが、どうやってそれを証明するんだ?」


「普通に領都に向かいましょう。そうすれば、焦った奴は必ずここに連絡をとりに来る。そいつを捕まえて吐かせましょう。」


「確かにな。わかった。では直ぐにこの村に人を来させよう。ただし、保護した者は他の所に匿うようにしよう。これ以上あの子達を巻き込みたくない。」


「わかったわ。お願いできるかしら?」


「ああ、この村にゲートを繋げる事にする。だから、馬車使ってくれ。」


「えっ?って事は一緒に動けるって事?」


「そういう事だ。」


「「やり~!!」」


エリザネス第一王女だけでなくマリリン第三王女まで食いついた。二人でハイタッチしている。さっき迄のシリアスは何処?返して?


「どうしても、ザバるんの力を借りようとすると一緒に動けない未来しか想像できなかったのよね。」


「これで安心して動けますね。」


もしかして、一番懸念していた事ってそこ?


「さぁ、これで心置きなく動けるわ。」


「私も魔法で援護するわ。私達二人を敵に回した事を後悔させないとね。」


「「ふふふふふふ。」」


伝統ある二つの国の幼馴染の王女二人は、不敵な笑いを浮かべ、眼をギラギラさせている。


「ザバるん。ちゃっちゃと好きな所に拠点を構えて良いわよ。王女が許可するわ。」


「さっさと、動きましょう!ザバるん早く!!」


女って怖いね・・・。







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