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129 ジェスター王国への旅路 その1



ジェスター王国の王都ジュピターへ約二週間の馬車の旅をおこなう事になった。

勿論、同上する形はとるがいつもでは無くあちらこちらへと動くつもりだ。ちなみに、ケンブリット王から許可をもらったらしくマリリン第三王女も一緒に行く事になっていてエリザネス第一王女が脹れたのは仕方がない事だろう。


「何故、お前迄来る事になるのだ?」


「絶対に二人だけにはしません!」


そんな二人をスルーして別室に行く私についてくるミーリアとシーリス。ミーリアは直ぐに飲み物と茶請けを用意してくれる。何故ミーリアが居るのか?それは約二か月間の夏休みに入ったからだ。なので、トーマスとロバートも一緒について来ている。彼らは馬車の護衛として外で馬に乗っている。更に私設兵団から今回も団長のユカと直属の団員がついて来ている。セシリアも馬車内の別室に居るし何故か、ブリエンドもいる。馬車に繋がる亜空間なので問題は無いが結構な多人数での移動だ。


「本当に疲れるな。これでただの馬車での旅であったらと思うとゾッとする。」


「確かにそうですね。あの二人の王女は私達の前ではただの煩いメス・・・女でしかないですからね。」


また不穏な言葉を言いそうになるミーリア。君もだからね?自覚ある?


「何かおっしゃりたいことでも?」


可愛らしい顔に似合わない鋭い眼光で私を見るミーリアは、心を読む力でもあるのかね?


「いや。特にないよ。ただ・・・わかっているよね?」


「はい。勿論です。例え心ではそう思っていても言葉には出しませんよ?」


わかってらっしゃるようで何よりです。と言葉に出さずに笑顔で返す。そんなやり取りをしていると扉をノックする音が聞こえてきた。


「失礼します。もう直ぐ、闘技都市ライアンの奴隷商につきます。」


「わかった。向かおう。」


来たのはスカウト組の者でスクルドだった。ブリエンドの部下でセリエンデス一族の中の幹部の一人だ。返事をして立ち上がり直ぐに現地へ向かう。つまり馬車からゲートを利用してスカウト組の馬車へ移動する。


「今回の奴隷商の名前はチャンプリンと申します。真っ当な商売を行いっているようで、かのケインズ伯爵との取引を断るなど、『金』では動かない商人としてこの街では有名な様です。」


「へぇ。それは凄いね。」


とは言え、この街は半自治を認められている特別な街だからな。王の直轄地でもあり、代官は置かずに各ギルドの代表が参加する議員制をとって街を治めている。その分税収は高いと聞くがそれはあくまでも所得の高い者達に限られているので一般の者は高い税金を納めている訳では無いそうだ。


スクルドからの情報を聞きながら歩いて直ぐに馬車へとついて降りる。凄いね馬車に着いたら商館についているというタイミング。測っているのかな?


「ようこそお越しくださいました。ザバルティ様。」


「出迎えご苦労様です。」


人の善さそうな人と挨拶を交わして中へ案内される。中に入って直ぐに如何にも悪人ですっていう顔つきの悪い人が立っていた。


「ようこそ、我が商館へお越しくださりました。」


「これは丁寧にありがとうございます。」


そう、この如何にも悪人ですって顔をした人が今回のチャンプリンさん。私もこの情報を得ていなかったら剣を抜いてしまうんじゃないかって位の悪人顔なんだけど、凄く素直な正直者らしいのだ。


「ほぉ、この顔を見ても顔色一つ変えないとは。」


「変ですかね?」


「いえいえ。ただ、普通の方は身構えるか、ビックリされますので珍しいとは言えるかもしれませんな。」


チャンプリンさんはそう言いながら笑う。確かにそうだと思うと納得するぐらいの悪人顔だからね。ある意味『地獄の閻魔様』って感じだもんね。少し世間話をして出された飲み物を呑んだりする。


「で、今日はどのような奴隷をお探しですか?」


「仲間となってくれる信用できる者が欲しい。」


「信用できる者ですか?」


「ええ、信用できる仲間となる者です。」


「奴隷契約を結べば少なくとも従属される者になると思いますが?縛りを強くすれば良いだけでは?」


「従属させたいのではないのですよ。まぁ難しいと思いますが、ここに居る全員と話をさせてもらえませんか?」


「それは勿論構いませんよ。ではご案内致しましょう。」


奥の奴隷達がいるであろう場所へと案内された。部屋のような形になっており、ある程度自由に出入りが出来るような感じになっているようだ。全ての健全者と話をさせてもらい次に欠損者の者の方へと向かう事になった。階層が違うようで階段を降りた。このフロアは全て欠損者か病気を患っている者達ばかりのようだが、病院のように清潔感が溢れている。


「他ではこんなに手厚く保護していないのではないですか?」


「その様ですね。確かに奴隷としては価値として下がってしまいますが彼らも人である事には変わりません。少なくともここにいる間だけでもと思い対応している次第です。」


チャンプリンさんは、この世界の奴隷の常識には当てはまらない考えのようだ。普通商人であれば、このような対応は出来ないだろう。ボランティアでは無いのだから。


「あいにくと、奴隷商売だけでは無く別の商売が上手くいっており金に困る事はありませんから出来ているのですがね。」


ラムザの部下の大商人プリメラが一目置く商人なだけあるな。よし決めた。






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