表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

126/367

126 王都帰還(公的立場としては。)



「やっと、国にザバるんを連れて帰れるのね?」


「え~。なんかズルいな。」


そんな二人の王女の反応に苦笑いで返す私を余所に二人はドンドンと盛り上がっていく。


「う~ん。私もついて行く!!」


「はぁ?二人っきりになれるチャンスを棒に振るとでも?」


二人っきりになれるチャンスなんかないですよ?それにもう一人は公務はいいんかい?!


「なっ?そんなセコイ事考えてたの?!抜け駆けじゃん!?」


「恋も戦いよ!戦いにセコイとか無い!」


どんな闘いだよ?しかも抜け駆けって何?二人共婚約者になったよね?


「絶対私も行く!負けてられないもん!!」


「そう簡単に王女が国を出れる訳ないでしょ?」


遂にマリリン第三王女は駄々っ子になってしまった。エリザネス第一王女よ、貴女は簡単に国を出てるのは何故だ?


「やだやだやだやだ。絶対行くもん。ザバるんについて行くもん!」


「だめ!ザバるんは私が独占するんだ!!」


二人共本当に20代の女性ですか?大人ですよね?


≪心の中で冷静なツッコミをしないで、そろそろ止めませんか?≫


心の中でツッコミを入れてたら、カミコちゃんから私へのツッコミが入った。仕方がない。止めに入るか。


「はいはい。それ位にしてください。」


パンパンと両手を叩いて止めに入る。


「そもそも、二人っきりになる事はありません。それに私は馬車のゲートを使って動きますから、私自身が一緒について行く事はありません。ゲートがあるという事はお忍びでマリリン第三王女もついて行く事が出来るという事です。」


「「あっ!」」


笑みがこぼれるマリリン第三王女にシュンとなるエリザネス第一王女。対照的な二人の反応。


「まぁまぁ。少しぐらいはご一緒しますよ。その代わり、私の馬車でというのが条件です。」


「さすがザバるん。ありがとう。」


「ちょっと。その時は私の一緒に居ます。」


「いや、その時ぐらいは譲ってもらおう。」


「やだ。二人っきりにはしたくありません。」


また、ヒートアップしそうなので、仕方がない。


「順番にね。」


「「はぅ。」」


二人共、妄想の世界に旅立ったようだ。私の娘もこんな感じだったのかな?ちょっと父親だった時の記憶が蘇ると少し残念な気持ちになった。まぁ、娘が見ていたら『そんなわけない。王女達が子供なのよ。』と言いそうだが。


こんな感じで要塞にある私の屋敷で王女二人を前に話し合った。要塞も型枠は出来上がり、後は内装や生活家屋の建築だけなので、カーリン・ダンバルに任せて、動く事にしたのだ。因みに、エリザネス第一王女は隣国のジェスター王家のご息女である。ジェスター王国はフリーア王国の西に位置し、アスワン王国の北西部に位置する場所になる。代々フリーア王国と友好関係を結んでおり、我がアスワン王国の建国にも多大な貢献をしてくれた王家である。この三国は同盟関係にある。日本の戦国時代の武田家・今川家・北条家の三国同盟に匹敵するぐらい信頼と友好関係を持っている。その為、王家同士の婚姻や輸入や輸出も三国で完結する物も多く。長い同盟関係を築いている。それぞれ、少しずつ国土を広げたりしており、このロードスト大陸に影響を強く持つ王国の三国同盟でなのだ。


「では、旅の工程を考えて、一度王都テーストへ戻りましょう。」


「ちゃちゃとゲートを使って戻りましょうよ。ねぇ。」


「うん。そうしようではないか。」


「却下です。王女二人は公的立場でここに来ているんですから、馬車で戻りますよ。」


「「えぇ~。」」


即答で却下したのだが、王女二人はブーイングだ。


「はいはい。明日の昼には出ますから準備をしてくださいね。」


聞く耳を持たずそう言い切り反対を押しのけた。


「「ザバるんのケチ。」」


あのね。ケチとかの問題じゃないんですよ。あなた方が立場が高すぎるから面倒なんですよ。と心で叫んでおいた。じゃないと、ストレスで死ぬと思う。若禿は嫌だ。


「じゃあ、せめてザバるんの馬車で帰らせて。ゆっくりあの部屋でくつろいで帰りたい。」


「それもそうね。私からもお願いする。」


「それくらいなら良いですよ。」


どうせ婚約させられてるし、今更独身なのにとか言われても気にもならない。本当、今更だ。


≪マスター。泣かないの。≫


心の中で泣いていたらカミコちゃんに慰められた。情けないマスターです。


「ただし、護衛の方には王女達からちゃんと説明と説得をしてくださいね。」


「「え~。」」


「それをしないなら、無しです。」


「わかったよ~。」

「仕方がない。」


渋々と言う感じで答える王女二人だが、どうせ有無を言わせず強引に言いくるめるのだろう。ニヤニヤしている。・・・本当にこの二人は王女なんですかね?


こうして私達は公的には王都に帰る事になった。宿場町で宿泊する時は宿で寝泊まりし、そうでない野宿の時は私の馬車で寝止りする事になった。もちろんあの亜空間部屋のベットでそれぞれの部屋で寝るのだ。


護衛の人達は悪いが馬車の外で見張りをしてもらう。馬車が揺れたりしないから、問題は無いだろう。それに私は外のテントに入り、転移魔法で王都屋敷に戻り、ゆっくり休んでいる。


出来ちゃった婚にはしたくないかね。いい歳こいて恥ずかしい事はしない。何せ前世の記憶があるのだから。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ