113 二人の王女へ その1
「今日は仕事の方は良いの?」
「ええ、休みをもらいましたので。」
「そうなの?じゃあ今日は私達の相手を1日してくれるという事ね?」
「そうなりますね。」
「やったー!」
「嬉しいものだな。」
王女二人は喜んでくれているようだ。ミーリアとユカは傍に立っているが、会話にも入って来る様子は無い。そして二人の王女の護衛も入ってはこない。世間話を少しした後本題に入る。
「少し真面目な話をしても良いですか?」
「えっ?なになに?」
「勿論だとも。」
「お二人は、私の秘密を聞きたいですか?」
「「もちろんよ!!」」
「その秘密を知れば後に引けなくなってもですか?結婚できなくても誰にも話さないと誓えますか?」
「もちろんよ。元々ザバるんの傍から離れるつもりなんて無いもの。」
「私も同意見だ。結婚できないのは嫌だが、その秘密を誰にも話さないと誓おう。」
「その秘密がどんなに有益な事でもそれを利用しようと考えませんか?その秘密がどんなに悪い事でも糾弾しないと誓えますか?」
「なんか、怪しいけどザバるんの秘密であるなら誓うわ。」
「どんな事であっても君との秘密は口外もしないし全てを受け入れるとしよう。」
≪二人は嘘偽りのない心で答えています。本心です。≫
カミコちゃんのチェックにも不審な点は無いようだ。ミーリアとユカにも、目で確認するが問題ないようだ。
「わかりました。ではここからの話は3人だけで話をしましょう。」
スッと立って二人を従えて馬車へと入る。
「護衛の方はここでお待ちください。」
ミーリアとユカが護衛を止める。王女二人も護衛に命令しその場で待機を命じる。
「では、こちらへ。」
「ドキドキするわ。」
「本当にそうね。」
馬車へ入り扉を閉めて亜空間の部屋へ足を踏み入れる。二人の王女が後に続くとそこは広くなった空間が現れる。それを見た二人の王女はシンクロした。
「「何?これ?」」
それには答えずに私は二人の王女の手を取る。右手にマリリン第三王女。左手にエリザネス第一王女。
様子を第三者が見れば両手に花という言葉がしっくりくる事だろう。そしてそのままゲートのある部屋へ向かうとそこにはゲートの守護者が立って待っており、敬礼をしてくる。それに軽く答えてゲートに入っていく。
「「どうなってるの?」」
答えずに進む。先ず入ったのは屋敷へと続くゲート。ゲートの先にはゲートの守護者とアイリーンとロバートとトーマスとアリソンが待っていた。
「「「「いらっしゃいませ。」」」」
「あれ?貴方達は王都に居るはずでは?」
マリリン第三王女の質問にここでも答えず、そのままゲートのある亜空間部屋を抜けて屋敷へ入る。
「あれ?ここは?あれ?」
「ここは何処かで見た場所では?あれは城?まさか?」
まだ無言で今度はゲートを使い領都シャンデル城に向かい。ゲートの先には父上と母上が待っていた。
「ようこそ。我が城へ。」
「お二人とも、お待ちしておりましたわ。」
「へっ?ザバるんのお義父様とお義母様?」
「アルカティ殿にエスネス殿?」
王女二人は混乱した顔をしている。それを見た両親は困り顔。
「えっと。お義父様?ここは?」
「ここは私のマカロッサ家の領都アンバーにあるシャンデル城です。」
「「まさか??」」
聡明な二人の王女はもう理解したようだ。
「「「転移した!!」」」
「そういう事です。」
「さぁさぁ、ザバルティ。可愛いお嫁さん候補が二人も居るのにおもてなししない訳にはいきませんでしょう?それに立ち話もなんですからご案内しましょう。」
母上がそう言って二人の王女を伴い亜空間部屋を出る。そして亜空間部屋の繋がっている私の部屋に入るとお茶会の準備が出来ていた。母上が好きだと言って私に作らせたムースケーキとアイスクリームのセットの準備が出来ている。
「お義母様。なんですかこれは?」
「それはね。ケーキとアイスクリームという物らしいの。ザバルティが発明したデザートよ。美味しいから食べてみてね。」
早速女性陣は席に着きお茶会を始める。
「凄い。甘くてひんやりして口の中でとろける。美味しい!すごく美味しい!!」
「うむ。美味だ。素晴らしい。是非作り方を私の料理人にも教えて欲しいものだ。」
絶賛されたデザートはアッという間に無くなった。
「美味しい物を食べて少しは落ち着いたでしょう?」
「「はい。」」
王女二人を完全に部下の様にしてしまった母上。やりおる。
「さぁ、二人の美女にちゃんと話をしてあげなさい。」
「母上、ありがとうございます。
「何かあれば呼ぶと良い。俺達は隣の部屋で待機している。」
「父上、ありがとうございます。」
父上と母上は席を立つと隣の部屋へと去った。それを見送った私は、改めてマリリン第三王女とエリザネス第一王女をみつめた。
「それでは私の秘密をお話しします。」
二人の王女の顔が幸せそうな顔から真剣な顔になる。
「覚悟を決めてください。」
「「わかりました。」」
そして私の秘密を少しづつ二人の王女に話す事にした。




