109 要塞設営 その4
「ふむ。それは良いな。ザバルティよでかした!」
「流石ザバルティ君ね。」
がははとポワロ叔父上と、うふふとキーファさん。二人はかなり喜んでくれているようだ。王都と領都の間だけでもかなり嬉しいようだ。
「できれば、領都と俺の船も繋げてくれないか?」
「良いですよ。そうしましょう。」
「おっ?良いのか?」
「はい。ただ、父上には確認取ってくださいね?」
「勿論だ。こうしてはおれん。すぐ兄上にお会いしに行こう。」
「まったく子供みたい。」
ポワロ叔父上の喜び様にキーファさんも苦笑いだ。私はそんな風に喜んでくれる二人が嬉しい。
「ただ、船員には黙っておいてくださいね?」
「勿論だ。お前が有名になって【神の使徒】が公言されるまでは誰にも言わんさ。」
「よろしくお願いします。」
「ああ。それより兄上の許可が出たら絶対に船とここを繋げてくれよ?」
「わかりました。」
よし!と言って行こうとするが、まだゲート設置どころか、ゲート部屋すらまだ用意出来ていない旨を伝えると、ポワロ叔父上は恥かしそうに顔を掻いていた。
「そうだった。すまねぇ。」
それだけ嬉しく思って貰えているのだと伝わってきて嬉しかったので、直ぐに部屋を選定してもらい王都の屋敷と同じ様に亜空間の部屋を3部屋用意してゲートを設置して王都の屋敷へとゲートをくぐった。その先ではアイリーンを筆頭に待っていてくれた。
「アイリーン。もう一組分を追加してくれ。ポワロ叔父上の要請で船にもつなげる事にした。船は領都の城の繋げる。船側の人間が必要だ。それとブリエンドを呼んでくれ。」
「わかりました。では、取り敢えず先ほど選定しておいた予備メンバーを向かわせます。」
領都の城メンバーと船メンバー6名を引き連れ、領都へゲートで戻る。
「おお、戻ったか。」
「本当に凄いわね。」
ポワロ叔父上とキーファさんが待っていて、6名のダークエルフを見てゲートがちゃんと繋がっている事を証明した事になった。その後、6名を紹介しポワロ叔父上とキーファさんと一緒に船へと向かった。
「本当に繋げますよ?」
「勿論だ。」
「後、あの亜空間のゲート前には必ず私の仲間のダークエルフが守備に就きますので、了承してください。」
「ザバルティ君。本当に信頼できる者達なの?」
「ええ。大丈夫です。裏切ったりしませんよ。それにキーファさん達に攻撃する事もないはずです。私の命令で通すなと言わない限り、ゲートは利用できますよ。」
「そう。なら良いわ。これからよろしくね。」
「「「はい。ポワロ様。キーファ様。」」」
「後、メンバーは随時代わると思うからよろしく。それに、亜空間から船の中へはよっぽどの事が無い限りさせない。出来る限り別の使者等を立てるから。後程、ダークエルフの取締役に会わせるね。」
「わかった。ザバルティに任せるよ。」
快諾をくれたポワロ叔父さんに渋々頷くキーファさん。
船の船長室の奥のプライベート部屋に亜空間部屋を接続して他と同じ様に部屋の設置とゲートの設置をしてゲートで三人で戻り船担当に向かわせた。これで城は亜空間部屋が4部屋ゲートは二つとなった。
「じゃあ、ここは彼らに任せてポワロ叔父上とキーファさんは王都へ行くよ。」
「おお。楽しみだ。」
そして王都へゲートを使って戻るとその先にはアイリーンとブリエンドそして父上が居た。
「おお、ポワロ。」
「おお、兄上。こりゃあ本当に凄いな。外へ出ても良いか?」
期待した眼を向けてくるポワロ叔父上とキーファさん。それを援護するかのように父上が、
「久しぶりに王都の繁華街で飲むか?」
なんて言ってるからOKを出したら、直ぐに3人は出て行こうとしたので、待ったをかけてブリエンドを紹介した。
「彼女がダークエルフの取締役のブリエンドだよ。」
「紹介に預かりましたブリエンドです。宜しくお願い致します。」
「おお、君が取締役か、こちらこそよろしく頼む。」
ポワロ叔父さんが挨拶を返しキーファさんが礼を少し言葉を交わす。無事紹介は終わったので、父上達三人は部屋を出て行ったのを見計らってから私はブリエンドに顔を向けた。
「ブリエンド。君にゲート運用の責任者になってもらう。ゲート等の詳細はアイリーンから聞いてくれ。これから先はゲートの守護者として君達一族には動いてもらいたい。」
「なんと。勿体ないお言葉。我が一族は身命を賭してゲートの守護者となりましょう。」
こうして、ブリエンド率いるダークエルフの一族はこの世界のゲートの守護者になるのだった。
「頼む。但し、守って欲しいのはそれだけではないよ。君たちの生活も守る事。休みをちゃんと設定して休ませる事。これも大切だからね。衣食住はこれからも気にしなくていい。私が面倒を見るし、私の死後はやっていける様に色々準備するようにしておくから、心配しなくて良いよ。」
「はい。ありがとうございます。」
よし。これでゲートは繋げた。では馬車に戻り、ラムザの元へ向かう算段をしようかね。




