表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/367

1 死す時


 


私は今年で88歳を迎えた。

そんな私に遂にお迎えがきたようだ。唐突な死ではなく、こうやって家族に見送られながら死を迎えられた。


「父さん。今までありがとう。」

「父さんのおかげで、僕らは幸せに過ごせた。

「おじいちゃんにお休みと言ってあげて・・・。」

「おじいちゃんお休みなさい。」


あちらこちらから、すすり泣く声が聞こえている。

私は幸せ者だ。人生には色々あった。沢山の出会いや別れ。出来事を越えてここにきた。

平凡であったとも言えるし、かけがえのない人生でもあったと思う。

人生とは複雑で数奇な物だとも思う。

数年前に妻を看取り、今度は自分の番がきただけの事。自分より先に子供が亡くなる事がなかった事がもしかすると一番幸せな事だったのかもしれない。


【ありがとう。我が家族達】

【ありがとうございました。神様】

【今、そちらに行くよ。母さん】


そんな事を考えていると、だんだんと音が聞こえなくなり、視界が消えていった・・・。



◇◇◇◇◇◆◇◇◇◇◇



≪目覚めよ≫


そんな言葉が頭の中に響いた。


【なんだ?】


そう思いふと気づくと目の前に絶世の美女?が立っている。

真っ白な空間の中心にいるのだが、後光のような物がさしている。


≪これから、お主には我の力となって欲しい。≫


「えっと。すみません。貴女は?どちら様ですか?それに、力になれとは?」


≪フフフ。すまぬ。急ぎすぎた。私はそうだな。お主の世界でいう所の神という存在だ。力になって欲しい事とは簡単な事だ。私の使者として、ある世界に行って欲しいのだ。≫


「私は普通の人間です。そんな私が神様のお力になれるのでしょうか?」


≪安心するが良い。そのままの状態で行かせるわけではない。それとも嫌かな?≫


「滅相もございません。私のような者で良ければ、神様の命に従います。」


≪そうか。では、これから直ぐに行ってもらう事になる。なにか願いはあるか?≫


「ありがとうございます。願いですか?急な話なので、今すぐに思い浮かべる事のできる事がありません。」


≪であるならば、まずはお主に使徒としての力を与えよう。その上で転生した後に、もう一度お主に会おう。その時に今一度、聞こう。≫


「本当にそんな事ができるのですか?」


私はこの時、転生とは仏教の教えにある事以外の知識はなかった。だから不思議でたまらなかった。


≪ふふふ。信じられぬのも仕方がないだろうが、今現在のこの状況ですら、お主には夢だと思えるのではないかな?≫


「確かにその通りでございます。」


≪であろうの。これから向かってもらう世界には、多種多様な者がおる。お主の居た地球とは比べても似ても似つかぬ場所である。その世界に行き、生きて欲しいのだ。この地球で育ったお主の感性を大切に生きて欲しい。では頼むぞ。≫


そうおっしゃると。私の視界は光により埋め尽くされた。


「あっ、待ってください。私は何をすればいいのでしょうか?」


≪汝の心の赴くまま、行動し生きればよい。≫


「えっ・・・本当にそれだけですか?」


私は絶句すると共に意識を手放した。



◇◇◇◇◇◆◇◇◇◇



ジャポネス帝国統一歴 728年  


帝国の統一から700年以上の歳月が過ぎ、世界は混沌の時代を迎えている。

200を越えるこの世界の国の一つの貴族の家系に一人の男の子が生まれたのである。

名前をザバルティ・マカロッサという。

マカロッサ家27代目アルカティ・マカロッサの嫡男として誕生した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ