第8話episodeシラト
今回はシラト君メインです!なぜ『忘れ者達の家』と言う名前なのかも判明します!
リュウが『忘れ者達の家』にやってきてから3ヶ月がたった。
外道悪魔も1番下のランクのやつらの3、4体くらいと戦っただけで、ここ1ヶ月何も起こらなかった。
「平和だな。」
「平和だね。」
「ここまで平和だと逆に怖いよ。なんか……嵐の前の静けさっていうか……」
シュリ、シラト、ゲンタロウは口々にそう言った。
「でも、このまま平和なまんまでもいいんだけどね、またイヴォルとか上級外道悪魔が来て仲間が犠牲になるのは嫌だし。」
そういうとシラトは棚の上に飾られた写真を見た。
そこにはシュリとシラトとゲンタロウとゲンタロウと同じくらい若いタツキが写っていた。スズは写っていなく、その代わり何故か顔の部分が黒く塗られた女性が写っていた。
そしてシラトは呟いた。
「タツキ……」
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僕にとってタツキは兄のような存在だった。
いつも目覚めの悪い僕を起こしに来てくれたっけ
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「おい、シラト、シラト!起きろー、何時だと思ってるんだー?もう11時だぞ!」
「う、うーんあと5分だけぇ……」
「ダメだダメだほら起きろって」
そういうとタツキは僕の布団をはいだ。
「うーん、う、ふわぁぁ……」
「ゲンちゃんとリンがもう朝飯作ってるよ、朝飯って言うかもう昼飯だけど」
リン……
誰だっけ、顔も思い出せない。
あぁ、そうだ、タツキの妻だ。
でも覚えてるのはそれだけ。
なんでだろ?
何か頭にモヤがかかって思い出せない。
ま、いっか。
そうそう、なんで『忘れ者達の家』っていう名前なのかもタツキが変な事言って決めてたっけ。
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「俺たちってさ、人々を守る組織だろ?なんかそういう名前とかあったらかっこよくないか?」
タツキはそういうと色々考えはじめた。
「いいかもね!この家の名前とか考えてみようよ!」
ゲンタロウもそれに乗った。
「四神……『FourGod』とかどうだ?」
タツキはそう言った。
「はははっ、いやそれまんまじゃねえかよ」
ゲンタロウはそれに笑った。
それに……そうだ、リンさんが確かこんな事言ってたっけ。
「あははっ、FourGodってなんかforgetみたいだね、忘れるっていう意味の!」
「忘れる……『忘れ者達の家』なんてどうだ?」
タツキはそう言った。
「いいと思うよ!」
僕はそう言った。
他のみんなも賛成してた。
そんな変な決まり方だったけど面白かったなぁ……
『忘れ者達の家』はそうやって決まったんだったっけ
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「頼む!リン!ゲンタロウ!リュウを安全なところに!」
タツキはそう言ってもう体もボロボロなのに上級外道悪魔とイヴォルに立ち向かって行った。
「タツキ、待って!僕も、一緒に行く。」
僕はそう言うとタツキのそばに駆け寄った。
でもタツキは悲しそうな顔をした。
「シラト、お前マスクを外したら……どうなるか自分がよくわかってるだろう?」
そうだね。僕はマスクを外して左目を隠すものが無くなったら、自分の体がボロボロになるまで敵を攻撃するんだ。
抑えきれない。
僕の中にもう1人の僕がいる。
でも。
「皆を助けたいから、僕の体なんて大丈夫だよ、タツキ。」
「そっか。気をつけろよ。」
タツキはグーにした手を僕に突き出してそう言うんだ。
僕はタツキとグータッチすると、マスクを外した。
力が、みなぎってくる。
体が熱い。
僕は、皆を守るんだ。
そして僕は言う。
「白虎、見参!!!」
そう言った瞬間神格化した僕は走り出していた。
稲妻のような速さで。
そして敵を倒し、倒し、倒す。
神格化したタツキも後ろの方で戦っているのが見える。
もう後戻りはできない。
自分の体をコントロールできない。
でもやっぱりイヴォルの側近の上級外道悪魔の4体、『破壊の四魔』は手強かった。
僕は『破壊の四魔』を食い止め、タツキをイヴォルの元に行かせた。
それが間違いだったんだ。
イヴォルは僕達が思っていた以上に強い。
異常なほどに強かった。
タツキも負けじと戦っていたけど、攻撃を受けてしまいその場に倒れた。
イヴォルもタツキと戦い、相当疲れているようだった。
「うっ、ぐっ、な、なかなかやるな青龍よ。私もこれまで、ダメージを受けたのは、久しぶりだ。」
僕は倒れたタツキを見て呆然とした。
動けなかった。でも
「……貴様ぁぁ!よくも俺の兄貴に攻撃してくれたな?貴様は、俺が許さない!」
〝僕〟は口を開いた。これは、僕の意思じゃない。
僕の中にいる、もう1人の僕がこう言ってる。
あぁ、やっぱり僕は僕なんだ。口調は違っても、体がボロボロになるまで敵を攻撃しても、僕なんだ。
〝あたりまえだろ?お前気づかなかったのかよ俺はお前で、お前は俺だ。まったく、気づくの遅せぇよ〟
僕の中の僕だ。
〝おい、俺、とっととこいつ片付けちまおうぜ〟
そうだね。こいつは、タツキを傷つけた。
許さない。
「『迅雷風烈』!!」
『迅雷風烈』は動くスピードがとてもはやくなり、敵に攻撃する、僕の技。
「おっと、子猫ちゃん……お遊びは、ここまでだ。」
イヴォルはそういうと片手を上げた。
すると外道悪魔達が現れた。
そしてイヴォルは笑いながら闇の彼方へと消えていった。
逃がした。
そして僕は無我夢中で外道悪魔達を倒して行った。
そしてようやく全部倒したあと、俺は元の姿に戻った。
周りを見渡すと、倒れているタツキの周りに泣いているリュウを抱きかかえたシュリと、ボロボロになったゲンタロウとゲンタロウに背負われ気を失っているリンさんがいた。
「おい、おい!タツキ!目を覚ましてくれよ!」
「リンさん!リンさん!」
僕にとって地獄絵図だった。
しかもシュリがその後衝撃的な一言を放った。
「タツキに、神の力を感じない!どういうことだ?このままでは普通の人間と変わらなくなる!」
なんてことだ。
きっと、さっきのイヴォルの攻撃でやられてしまったのだろう。
そんな。
嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ!
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「……ト?……ラト?シラト?シラト?」
ゲンタロウが心配そうな顔をして覗き込んでいた。
「大丈夫?ずっとぼけーっとしてて、なんか途中、威嚇する猫みたいにフーッ、フーッって言ってたよ?」
長い夢を見てた気分だ。
「ううん、大丈夫。ちょっと昔の事思い出しちゃって。ところでゲンタロウ、リンさんって覚えてる?」
気になった事を聞いてみた。
「リンさん……誰だっけ、それ。」
やっぱそうだよね。
まぁ、皆忘れてるってことは、それくらいの事だったんだよね。うん。
いや、なんかおかしい。
なんで僕達はこんなにも覚えてないんだ?
リンさん……
頭から何かが出たがっている。
変な感覚だ。気持ち悪い。
でも、今度は絶対に負けない。
イヴォル、お前を倒す。
読んでいただいてありがとうございます!
リンさん……謎が多いですね……
次回もお楽しみに!