プロローグ
「何かを教える」
それは教師だけの仕事ではなく、様々な場所で日々行われていることだと俺、南野 賢斗は思っている。
例えば、部活の先輩が後輩に教えることもあるだろうし、
同級生とテスト範囲の内容を教えることもあるだろう。
おそらく社会に出ても上司や先輩社員から何かを教わって人は成長していくだろう。
そう、誰もが一度はやったことはあるはずだ。
大学1年生になり、これまで義務教育やら高校やらを乗り越えてきた俺にも、そんな経験はある。
父親が蒸発し、母親と二人で生活しながら生きてきた俺は
幸い勉強が嫌いな人種ではなく、学校の成績もそこそこのレベルを維持してきた。
いなくなった父親は教師をしていたと母が教えてくれたから
そこは血筋というやつなのだろう。
友人同士でテスト勉強を教え合ったことはあるし、後輩から請われて教師の真似事をしたこともあった。
親戚が一堂に会した場では、親戚の従姉妹の宿題を面倒を見たこともあって
「何かを教える」という事に関しては割と経験を積んでいると思う。
そういった経験もあって、大学に入ってから親戚の運営する個人塾で講師をやることになったんだが。
そこでも1年を通じて受験勉強を教えたり、相談に乗りながら合格へと導いてあげることができた。
人数は多くはないけど、この経験は何かを教えることに関して俺に自信を持たせてくれた。
これからも、きっと多くの人にいろいろなことを教えていくのだろう。
誰かに何かを教えるということを天職にするかどうかはわからない。
それでも、あと数年は誰かに教える立場に居続けることになると思う。
ここで、唐突だが一つアンケートを取ってみたい。
金髪碧眼の10人に聞いたら10人が可愛いと答えるであろう少女から
教えてほしいと請われたら、きっとほとんどの男性は教えることを否とは言わないと思う。
しかし見知らぬ場所にどうやってかわからないが呼び出され、第一声に
「先生、私を神様にしてください!」
「・・・はい?」
・・・もし、こんなことをお願いされたことがある貴重な経験者の方がいたら、是非教えていただきたい。
あなたは、どんな返答を返しますか・・・?




