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クラス転移された最弱勇者の異世界英雄譚  作者: 長田英治
~第一章~呪われし王女
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行間1

 あなたは運命を信じますか?

 突然こんな質問をされたら、人はどう答えるだろう。

 「信じる」という肯定か。

 「信じない」という否定か。

 または「どちらとも言えない」という曖昧な答えか。

 答えは人それぞれだろう。これらの答えが大半を占めるか、それ以外の答えが返ってくるのか。

 しかし、肯定しようが否定しようが運命というものはどうやっても人の隣に付いてくる。いや、人間だけに限らず、他の動物や植物、原子や分子などの粒子やそれらで構成される物質、果ては宇宙というスケールのでかいものにまで。

 生物の進化や火山の噴火などの自然災害、宇宙の現象等が運命という決められたレールの上を走らされる。

 運命が存在しないと仮定しよう。

 たとえば、パラレルワールドという説がある。A点において一つの選択をしたとして、それをB点とする。ならばA点の時点で別の選択をしたとすると、その選択肢はB点とは別のC点という道に分かれるというものである。

 しかしこれだと、その分かれた別の世界の数はもの凄いことになる。

 二つの道に分かれた世界はまたすぐに二つの道に分かれる。それを何回、何十回、何百回と続けば無数の世界が成り立つ。しかも人間は脳内でいくつもの選択を一つに絞っている。そのいくつものの選択がパラレルワールドとして新たな世界が構築されていき、数秒の間に選択が分かれ、さらに世界が構築される。世界の人口は約七〇億人。そこに人間以外の動物や虫などの意志あるもの、風や水の流れなどの意志無きもの。それらの一秒一秒の選択、または動きによって世界が構築される。

 たとえどれだけ小さな変化だったとしても、その僅かな変化で世界は別の世界となっていく。

 生命が誕生する前。

 星が誕生する前。

 宇宙が誕生する前。

 あるいはもっと前か今に至るまでに、一体いくつの世界が生み出されてきたのだろうか。

 これほどに複雑だからこそ、運命というオカルトじみたものを信じるのかもしれない。

 これは現実逃避に近いかもしれない。


 これほど複雑ならばいくら考えても仕方ない、運命という言葉でひとくくりにしてしまおう。


 科学等の理論的なもので説明できないなどは奇跡と言う。

 奇跡は運命と似たようなものだろう。非科学的という共通点もつ。信じたくなくても、目にしてしまった、体験してしまった。だからこそ運命は今現在信じられている。

 もしも。

 もしもの話だ。

 そのオカルトじみたものを操る者がいたとしたら?ゲームのストーリーがあらかじめ設定されているかのように決められた道しか無かったら?そんな管理者、製作者のような存在がいたとしたら。人間、星、宇宙、神。もしくはそのさらに先。

 最早抗うことすら叶わない、理不尽。

 そんな事があったら、その真実を知ったら。その先は絶望しかない。

 泣き、叫び、嫌悪し、憎悪する。

 そんな世界は生きる気力を奪う。自殺も厭わなくなる。


 でも、その絶望しかない世界に、僅かな希望があったなら。

 運命をねじ曲げ、二つの選択がどちらとも死しかない所から、全く新しい選択肢、第三の選択肢を提示する者がいたら。絶対的な世界の中に生じる僅かなエラー、バグ。

 それは運命を破壊する者。

 『運命殺し』。

 その存在は表れるのか、表れるならば一体いつ、誰なのか。

 レベル〇の最弱の少年か。

 最強の英雄か。

 それとも────

 

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