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願い事

作者: 9741

 振るとどんな願いも叶えてくれる小槌。

 磨くと魔人が出てきて三つ願いを叶えてくれるランプ。

 七つ揃えると龍神が出てきて願いを叶えてくれる球。 


 世界には人の願いを叶える宝が多々ある。 


 サリーはそんな宝を求めて探していた。 

 彼女にはどうしても叶えたい願いがあった。事故で死んでしまった恋人のジョニーを生き返らせる、それが彼女の望みだ。 


 ジョニーを蘇生させるため、サリーは長い長い旅を続けた。 

 ある時は険しい山道を。ある時は荒々しい海を。ある時は罠だらけの遺跡を。 

 女性一人では決して楽ではない道のりだった。 


 しかしサリーは諦めなかった。全てはジョニーを生き返らせるため、自分のために。 


 そしてとうとうサリーは手に入れた。 

 どんな願いでも二つだけ叶えてくれる、魔法の壷。それをサリーは入手した。 


 サリーはとても喜んだ。 

 そして壷を横取りされないように、誰もやって来ない無人島で、壷の蓋を開けた。


『我を起こした者よ。一つ目の願いを言え。叶えてやる』 

 

 壷が喋った。間違いない、この壷は本物の魔法の壷だとサリーは確信した。


「ジョニーを、死んでしまった私のジョニーを生き返らせて」

『容易いことだ』 


 壷がそう言うと、壷の中から紫の煙がもくもくと出てきて、それはやがて人の形になった。 

 それはサリーが長年求め続けたジョニーその人であった。まだジョニーは眠っているが、確かに呼吸をしている。


『叶えてやった。さあ、最後の願いを言え』

「私とジョニーを不老不死にして! どんなことがあっても死なない身体にして!」

『承知した』 


 再び壷から煙が舞い上がり、サリーとジョニーの二人を包み込んだ。 


 しばらくすると煙が消える。


『これでお前達が死ぬことはなくなった。さらばだ』 


 壷がそう言うと、蓋が勝手に閉まり、壷はどこかへ飛んでいってしまった。


「う、ううん」

「ジョニー!!」 


 ジョニーが目を覚ます。 

 寝ぼけ眼だったジョニーは、サリーの顔を見て一気に目を覚ます。


「さ、サリー!!? な、なんで……」

「ああ、よかった。本当に生き返った。よかった、これでまた……」 


 サリーは涙ながらに、こう言った。


「またあなたを虐めることができる……!!」 


 サリーの願いは叶った。 

 拷問中の事故で死んでしまった、サリーの不注意で死んでしまったジョニーを生き返らせることに成功した。これでまた彼女は彼を拷問することができるようになった。 

 そしてもう一つの願いで、二人は不老不死に。 

 サリーのジョニーへの痛い愛は永遠のものとなった。 


 誰もいない無人島で、男の恐怖の叫び声が響いた。

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