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九十八話 お題:夜逃げ 縛り:ガードマン

 友人の男性の話である。彼はとあるビルのガードマンをやっているのだが、ある日夜間の巡回をしていると、電気がつけっぱなしの部屋を見つけた。

「俺、割と長くそこで働いてるんだけど、電気がつけっぱなしだったことって一度もなかったんだよ。で、珍しいなぁと思って部屋の中に入ったら」

 中では大勢の人間が部屋の中の荷物を片っ端から梱包していたという。

「完全に夜逃げの準備だったよな。慌てて何やってるんですか! って聞いたら」

 一人が彼に近づき、制服の胸ポケットに折り畳んだ一万円札の束を押し込んできたのだそうだ。彼はそれでも一体どういうことですか、と聞いた。すると、

「妙なことしてみろ、この人数ならお前一人どうこうするのなんて訳ないんだからな、って脅されてさ。仕事はもちろん大事だけど、命には代えられないだろ? だから言われた通り大人しくしてたんだよ」

 そして夜が明け、彼と交代するために同僚が出勤してきた。彼は昨日の夜ビルの一室で起きたことを同僚に話したのだが、

「はぁ? あそこ空き部屋だろ。お前ヤバい薬か何かやってるんじゃないだろうな」

 同僚の言葉でようやく、彼はその部屋が何も置かれていない空き部屋だということを思い出した。

「俺が幻覚を見てたってことならまだ納得できるんだけど、胸ポケットにはちゃんと金が入っててさ。臨時収入はありがたかったけど、正直二度と起きてほしくないわ」

 そのビルには心霊現象の噂などは一切ないそうである。

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