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九十一話 お題:寝技 縛り:なし

 知人に柔道を極限まで追求している男がいる。彼の武勇伝はあまりにも数が多く、一々紹介していると日が暮れてしまうので、一番印象に残っているものを書こうと思う。きっかけは彼が私に、

「お前、幽霊に寝技かかると思うか?」

 と聞いてきたことだった。彼の頭の中が柔道で埋め尽くされていることは既に知っていたので、私は幽霊に触ることができるのならかけられるんじゃないか、と答えた。すると彼は、

「よし、わかった、試してくる」

 と言ってどこかに行ってしまい、しばらく音信不通になった。殺しても死ななそうな彼のことなので、そのうち戻ってくるだろうと思っていたのだが案の定彼は無事に帰ってきた。私が幽霊に寝技をかけてきたのか、と聞くと、彼は、

「あぁ、かけてきた。ついでに投げてきた」

 と言った。投げる方が先だろうと内心思ったがいちいちつっこんでいてもきりがないので、結論を急ぐために幽霊に寝技は効いたのか、と聞くと、彼は悔しそうに、

「あまり効果がなかった。かかることはかかるが、びっくりしただけで痛みがないみたいだった。その上すぐに消えちまってあっさり外された。今のままじゃ駄目だ、幽霊にも通用する寝技を開発しなきゃいけない、あ、投げの方は普通に投げられたから今のままでいい」

 と言った。彼は今も幽霊に通用する寝技の開発に取り組んでいるが、それが成功してしまった場合犠牲になるであろう幽霊達に同情せずにはいられない。

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