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八十五話 お題:お題:大力 縛り:なし

 昔話の本で読んだ話である。昔ある村に異様な怪力を持った男が生まれた。男は怪力だったが器用ではなく、物を壊したり、人を誤って傷つけたりと村人達に迷惑をかけることがよくあった。男の両親はいつも男をかばっていたが、次第に村人達から嫌がらせを受けるようになり、段々と心も体も弱っていった。だがそれでも両親は男を見捨てなかった。男が嫌がらせをしてくる村人達をやっつけたいと言った時、両親は、

「お前の力は仏様が与えてくださったのだから、仏様のように人を救うためにそれを使いなさい」

 と言い聞かせた。両親の言いつけ通り、男は決して村人達をやっつけようとはせず、少しでも村人達の役に立とうと懸命に働いた。しかし嫌がらせはやまず、とうとう両親は揃って死んでしまった。男は大いに悲しみ、村を離れ一人山奥で暮らし始めた。男は山の中で毎日何のために自分の力を使えばいいのか、何をすれば人を救えるのかを考え続けた。そしてある日、ついに男は自分のやるべきことを見つけた。男は自分を最後までかばってくれた両親のために、自分の手で二人を救ってくれる仏様を作ろうと決めた。それから男は毎日山の麓の川まで下りて河原から石を拾っては、それを素手で削って仏像を作った。作られた仏像は次々に山の中に置かれ、男が死んだ時には山は仏像で埋め尽くされていた。男が作った仏像の顔は全て、両親の微笑んだ顔を模していた。

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