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八十三話 お題:マイクロホン 縛り:平場、粟粒、色男、奪還、禁

 高校の頃の同級生の話である。彼は男でも見とれてしまうような色男で、その見た目をいかして女の子とつきあっては別れつきあっては別れを繰り返していたため、俺を含め周囲の男達から非常に嫌われていたのだが、ある時その彼が、地元では有名な心霊スポットに複数の女子と肝試しに行って女子達ごと行方不明になるという事件が起きた。その心霊スポットは古くから立ち入りが禁止され、そこで起きたトラブルは警察ですら関わらないほどなのだが、それでも時たまわざわざ禁を犯して入る人間がいる。彼を知る男達は皆、彼が行方不明になったことを大いに喜んだのだが、問題は彼と一緒に行った女子達だった。彼はどうでもいい、むしろなるべく痛い目に遭ってくれていた方がいい、だが女子達は何としても奪還しなければならない、というのが俺の考えであり、複数の男友達がそれに賛同してくれた。俺と男友達は彼に巻き込まれた女子達の救助隊を結成し、問題の心霊スポットに乗り込むことにした。心霊スポットは山の中にあり、満足に整備もされていない山道を歩くのは骨が折れたが、それでも何とか到着することができた。そこは山の中にあるにしては異様なほど広い平場で、最初何もないかと思ったが、見ると中央で行方不明と言われていた彼が座り込んでいる。俺達は急いで彼に駆け寄り、女子達はどこだ! と問い詰めたが、彼の様子は明らかにおかしかった。彼はヒッヒッ、と呻き声だか笑い声だかわからない声を出しながら、自分の側の粟粒ほどの大きさの白い何かが積みあがった山を手ですくってはこぼし、手ですくってはこぼし、ということを繰り返していた。結局彼と一緒だったという女子達は見つからず、俺達は彼だけを連れて帰った。またその際彼のビデオカメラも回収した。カメラの方はすぐ壊れたらしくまともな映像が撮れていなかったが、マイクは問題なかったようで、彼と女子達の悲鳴、何かを殴る音、何かを破る音、何かを千切る音、狂ったような彼の笑い声、何かを切る音、何かを割る音、何かを磨く音、更にそれ以外の様々な音が録音されていた。また彼がいじっていた白い何かだが、成分を調べた結果人の骨を加工したものだということがわかったそうだ。彼は現在療養中だが、未だ会話をすることもできず、彼と一緒に行方不明になった女子達は誰一人発見されていない。

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