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七話 お題:月経 縛り:カントリークラブ、凍害、熱い
閉鎖した地元のカントリークラブにまつわる話である。そのカントリークラブには裏山があり、それが普通の山ではなかった。どこが普通でないかといえば月に一度、その山のいたるところから熱い湯が染み出してきて地面を流れ、麓をすぎてもまだ流れていく。湯が染み出すのはずいぶん昔から続いていて、周辺では山の女神様の月のものではあるまいか、などと言われていたらしい。困ったことに春、夏、秋のどの季節でもこの湯が触れた作物はすぐに枯れてしまい、唯一の例外は凍害に遭った作物でこれはむしろ湯に触れる前より出来がよくなったという。当然ながら山の周りの農家はその湯を大いに嫌っていたそうだ。カントリークラブの関係者も裏山の話は聞いていたようなのだが、馬鹿馬鹿しいと一顧だにせず工事を強行し、完成はしたものの裏山から流れてくる湯のために芝が次々と枯れていく。結局そのために閉鎖になったのか、単なる経営不振によるものなのかは定かではない。