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七十七話 お題:雄勁 縛り:なし

 外国の童話集で読んだ話である。昔ある国に鷹狩りが大好きな貴族がいた。貴族は国で一番美しく強い鷹を飼っていたが、ある日その鷹が死んでしまった。国で一番の鷹だけあって代わりが全く見つからず、すっかり落ち込んだ貴族の元に一人の男が現れた。男は自分は魔法使いだと名乗り、贈り物があると言って一匹の鷹を差し出した。その鷹は死んでしまった鷹に勝るとも劣らないほど美しく、狩りをさせてみても貴族の言うことをよく聞き、見事に獲物を仕留めた。貴族は大いに喜び、男にたくさんの褒美を与えた。男は、

「その鷹は私が作ったもので、限りなく精巧に作ったつもりですが思わぬことで壊れるかもしれません、どうか扱いにはお気をつけください」

 と言って去っていった。貴族はこんな立派な鷹が作り物であるはずがない、と男が言ったことを信じなかった。しかしその鷹と出かけた何度目かの鷹狩りで、嫌でも信じざるを得なくなる出来事が起きた。貴族はその日いつものように鷹を飛ばし、しばらくすると鷹が戻ってきたのだが様子がおかしかった。見ると鷹は何匹もの他の鷹に襲われており、貴族は家来に自分の鷹を助けるよう命令したが、上空で繰り広げられる鷹同士の戦いは激しくまるで手出しができない。やがて一匹、二匹と鷹が落ち、貴族の鷹は襲いかかってきた鷹を全て倒したあと力尽きたように地面に落ちた。貴族が慌てて自分の鷹の様子を確かめると、散々つつかれたりひっかかれたりしていたにも関わらず血は一切出ておらず、傷口からは奇妙な管や小さな歯車が覗いていた。また貴族の鷹を襲っていた鷹は全て雌で、どうやら貴族の鷹がつがいになってくれないことに腹を立て一斉に襲いかかったものと思われた。貴族は作り物なら直すこともできるだろうと家来に命じて男を探させたが、いつまで経っても見つからず、よい鷹がいないのではやる気が出ないと、次第に鷹狩りをしなくなってしまった。

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