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七十四話 お題:積算 縛り:年始回り、ホルモン焼き、ソース、鼻茸、タッグマッチ

 知人のプロレスラーが重病で引退した、という話を聞きお見舞いに行ったところ、引退したのは本当だが別に重病じゃねぇよ、ソースはどこだ、と大笑いされた。ではどうして引退したのかと聞くと、

「それがなぁ、プロレスラーとしては致命的なことになっちまったのよ」

 そう言って彼は引退の経緯を話し始めた。事の発端は彼がある大物レスラーと組んで行ったタッグマッチ中に起きたことだった。

「年始回りで社長のところに挨拶に行ったらいきなりやれって言われてよぉ。といってもこっちとしても美味しい仕事だったからむしろ歓迎だったんだが」

 試合が始まり、相手の選手達と戦っているうちに彼はどうも鼻で息がし辛いことに気がついた。それも試合が進めば進むほど急激に鼻がつまっていく感覚があった。

「まぁこっちは怪我をするのも商売のうちだから、鼻がつまるぐらい別になんでもないんだが」

 やがて完全に鼻で息ができなくなると、今度は口で息をするのも辛くなってきたという。

「あ、このまま続けてたら息止まると思ってさ。ただその時はちょうどこっちが勝って試合が終わったんだ。ほんと際どいタイミングだったけどな」

 彼は試合後すぐに病院に行き、検査してもらったところ鼻の中と喉に鼻茸のようなこぶが複数できて呼吸を妨げていることがわかった。

「医者から激しい運動したら酸欠で倒れるぞって脅されてさ、でもちょっと大人しくしてたらすぐよくなっちまってよぉ、大した病気じゃなかったんだと思って試合に出たら」

 再発したのだという。その試合の中で彼はあることに気がついた。

「相手を攻撃すればするほどこっちの息が苦しくなってくんだよ。何回か確かめてみたんだが、やっぱり相手に攻撃した分だけ俺の鼻と喉にこぶができるって仕組みらしくてさ。これじゃあレスラーはやってられねぇってことで引退したんだよ。他のところにも結構ガタが来てたし、まぁ潮時だったんだろうな」

 彼は今ホルモン焼きの店を出し、中々繁盛しているという。

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