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六十六話 お題:随時 縛り:通日、銘ずる、曲線、厄除け

 大学の先輩から聞いた話である。先輩の地元には厄除けのための奇妙な風習があるという。

「ほんとめんどくさいんだよ。毎年村の若い男の中から一人が選ばれて、選ばれたやつは決められた日に全てのパーツが曲線だけでできたお面かぶって、丸一日村を歩き回ってさ、それで通りかかった人が必ず食い物が欲しいって言ってくるから、言われたらその度に何か食い物をあげなきゃなんねぇんだ」

 あげるものはそれこそ飴玉一個でもいいらしく、村人の人数も少ないためできないことではないのだが、それでも通日やるとなるとやはり大変なのだそうだ。

「一度親にこんなことわざわざやる意味あるのかって聞いたんだよ、そしたら」

 やらないと村の人皆体を齧られるよ、と言われたのだという。なんでもその風習は厄除けのために行うが、除ける厄というのは病気や災害ではなく心霊的なものらしく、それによる被害を最小限に留めるためのものなのだそうだ。

「なんか昔飢えて死んだ人達の怨念が集まってどうとかって言ってたな。カクカクしたものがあると嫌がってよってこないから曲線だけでできたお面をかぶって、食べ物を配ることでそいつらを慰めるんだと」

 なお選ばれた男性は時折体の一部を齧られることがあるそうだが、齧られたとしても耐えろ、自分が厄を抑えなければ村全体に被害が及ぶことを肝に銘ずるように、と言い含められるという。先輩に齧られたことはあるんですか、と聞くと、

「俺はねぇんだけどこの間友達がよりにもよって鼻持ってかれたらしくてさ。俺もう一生地元帰らねぇわ」

 本来ほめられることではないが、流石にそれは仕方ないと思った。


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